アルバイト
「……あ、ありがとうございました! またお越しくださいませ!」
「ふふっ。うん、また来るね奏良くん」
「またね、奏良くん」
「は、はいお待ちしております!」
それから、数日経た休日――柔らかな陽射しが窓から差し込む、麗らかな午後三時の頃。
そう、カウンターの後ろからたどたどしく挨拶をする僕。そして、そんな僕に少し可笑しそうに微笑み答えてくださるお二人の女性。近くの大学に通っているとのことで、当店にしばしば足を運んでくださる、いわゆる常連の方々で。
さて、今いるのは『喫茶 SHUNA』――住宅街の路地裏にひっそりと在する、素朴な和の雰囲気が心地の好い古民家カフェで。
「ふふっ、今日も人気だったね奏良さん」
「……へっ? いえそんな僕なんて人気もなければ人気もなくて――」
「うん、別に上手いこと言えてないからね?」
それから、数時間ほど経た夕暮れ時。
それぞれ閉店の作業をしつつ、悪戯っぽく微笑みそう口にする可憐な少女。だけど、僕の返答には少し呆れたように……うん、そうなるよね。別に上手いこと言えてないし、そもそも人気の使い方もおかしいし。
さて、彼女は嶺井秋奈さん――私立の進学校、西添高校の一年生で、このカフェを経営する嶺井夫婦の娘さんで。
そして、ほぼ説明不要かもしれないけど――高校入学ほどなく、僕はこの素敵なカフェにてアルバイトをさせてもらっていて。




