やっぱりあれだよね?
「…………ふぅ」
それから、二週間ほど経て。
お昼休み、中庭へと向かう途中にてふとそんな声が洩れる。疎らに雲の浮かぶ青空に、緑豊かな木々に、少しだけ暑くも柔らかな陽射しに心の安らぐ心地がして。
さて、どうして中庭に向かっているのかと言うと――僕の数少ない友人たる後輩の美少女、白河さんの昼食を共にするため。僕が彼女の教室を訪れたあの日から、こうして何度か中庭にて昼食を共にしていて。
ところで、これ自体は何度かあるんだけど……ただ、現地集合ということは今日が初めてで。今までは初日の通り彼女の教室へと赴いていたのだけど、どうしてか今日は……いや、もちろん良いんだけどね。どころか、僕としては歓迎でしかなくて――
「…………ん?」
すると、ふと微かに声が。方向は、校舎の裏。どうやら、男女二人が何かをお話ししているようで。男性の方は分からないけど、女性の方は大変お馴染みの声。そして、微かに聞こえたやり取りから、恐らくは――
「――大変お待たせしました、奏良先輩。こちらから呼び出しておいて、遅くなって申し訳ありません」
「いえ、お気になさらないでください白河さん。そもそも、少し遅くなるとお伺いしていましたし」
それから、ほどなくして。
中庭のベンチにて、仄かに微笑みそう口にする白河さん。だけど、気にする必要なんてない。遅くなるとは事前に聞いていたし、よほどでなければ待つのも嫌いじゃないし。
……ところで、それはそうと……うん、あれはやっぱりあれだよね? ……いや、自分でも何を言ってるのかという感じだけど……でも、あれはどう考えても――
「――ところで、奏良先輩。ひょっとして、ご覧になっていましたか?」
すると、ランチクロスを開く前にそう問い掛ける白河さん。中々に漠然とした質問ではあるけど、流石にその意味が分からないはずもなく……だけど――
「……いえ、見てはいません。その、これ以上聞こえてしまうのも申し訳ないと思ったので、早々に立ち去りました」
「……そうですか。それはまあ、何とも先輩らしいご判断です。ですが、そのご様子だと、どのようなお話をしていたかは察しているのかと」
「……まあ、はい……」
そう答えると、仄かに微笑みそう口にする白河さん。そして、全ては聞いていないのものの、確かにその内容はおおかた察していて。つまりは――
「――まあ、端的に言えば告白を受けていました。これでもモテますので、私」
すると、さながら答え合わせをするかのようにそう口にする白河さん。……うん、そうだろうね。尤も、そのやり取り自体を耳にしたわけではないけど、その前の会話で流石に察せられて。
「宮本くん、と申しても流石に分からないとは思いますが……そうですね、だいたいいつも教室の真ん中辺りで友人達と昼食を取っている、茶色のマッシュヘアの男の子です。お分かりですか?」
「……ああ、あの端整なお顔立ちの……」
「まあ、先輩ほどではありませんが――はい、その生徒で間違いないと思います」
すると、ふっと微笑みそう口にする白河さん。……なるほど、彼が……うん、思い返せばひときわ鋭かった気もするね。僕に対する視線が。




