待ち合わせ
「……その、おはようございます桜野さん」
「……ん、おはよ三崎。……その、今日はありがとね」
「……へっ? あっ、いえとんでもないです! こちらこそ、お誘いいただき本当にありがとうございます!」
それから、数日後の休日にて。
午前11時の少し前、いつもとは何処か違う雰囲気の中そんなやり取りを交わす僕ら。そして、いつもとは違う私服姿の桜野さん……うん、すっごく綺麗で思わず見蕩れ……いや、もちろんいつも綺麗なんだけども。
さて、僕らがいるのは自然豊かな大きな公園の噴水の前。……うん、まさか桜野さんと待ち合わせをする日が来るとは。これは、ひょっとして――
「……あの、桜野さん。ひょっとして、僕は今日死ぬのでしょうか?」
「なんでだよ」
……ところで、それはそれとして――
「……それにしても、遅っそいわね奨斗。まさか、寝坊とかじゃ――」
「……そう、ですね。寝坊なら良いのですが、万が一にも事故などに遭っていたら……あっ、すみません寝坊でも良くはないですよね!」
それから、40分ほど経て。
そう、軽く頭を掻きつつ口にする桜野さん。そんな彼女に、僕も控え目に答え……たのたけど、この良い方はまずかったかな? そこそこ大幅な遅刻なのに、寝坊なら良いとか言っちゃったら――
「……やっぱり、優しいね三崎」
「……へっ? あっ、いえそんなことは……」
すると、ふっと微笑みそう告げてくれる桜野さん。だけど、僕にはたいそう勿体なきお言葉で……ただ、それはそうと――
「――すまん、二人とも! 遅くなっちまった!」
すると、不意に届いた慌てた声。見ると、そこにはバシッと両手を合わせ謝意を告げる美少年。すると、桜野さんは彼をじっと見つめ――
「――ねえ、奨斗。なんでこんなに遅れたの?」
「ほんと悪い! いやあ、服が中々決まんなくてさあ」
「……はぁ。男なのに、とかそんなくだらない偏見は全く言う気ないけど、時間が掛かるんなら最初からその前提で準備しなさいよ。あたしもそうしてるし」
「ああ、ほんとすまん!」
そう、少し呆れたように告げる。そして、そんな彼女に再びバシッと手を合わせ謝意を告げる笹宮くん。だけど、注意をしつつもその表情は何処か安堵しているように見えて……そっか、やっぱり心配してたんだ。やっぱり優しいなぁ、桜野さん。
その後、桜野さんの隣に笹宮くん、そしてお二人の少し後ろを僕という配置で歩いていく。その間、楽しそうに会話を交わすお二人の様子を羨ましくも微笑ましく眺めつつ歩を進めていると、時折振り返っては僕をじっと見る桜野さん。……ひょっとして、はぐれそうとか思われちゃってる? いや、流石に大丈夫ですよ?
ともあれ、歩くことおよそ20分――到着したのは、大きな白いピンが特徴的な娯楽施設、ボーリング場で。




