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楽しそうで何より?

「……結構、美味しいね。見た目のわりに」

「……はい、美味しいですね。見た目のわりに」



 それから、数十分後。

 そう、驚きの声を洩らす僕ら。先ほど、ちょっぴり奇抜な屋台で買ったイカ焼きなのだけれど……うん、美味しい。こう言っては申し訳ないけど……うん、この見た目でこんなに美味しいとは。これは、是非とも僕も参考に――


「……あははっ」

「……桜野さくらのさん?」

「……いや、こう言うのも可笑しいんだろうけど……なんか、ちょっと得した気分、みたいな?」

「……桜野さん……ふふっ、そうですね」


 すると、可笑しそうにそう口にする桜野さん。……得した気分、か。なんか、ちょっと分かるかも。こう言っては本当に申し訳ないけれど……見た目的に美味しくなさそうなものが実は美味しかったら、確かに得した気分になっちゃうかも――



「…………あっ」


 そんなほのぼのとした雰囲気の中、思わずポツリと声が。と言うのも――ふと、こちらを見つめる清麗な少女と目が合ったから。一人茫然としていると、少女は徐に口を開いて――



「――こんにちは、奏良そうら先輩、桜野先輩。頗る楽しそうで何よりです」



 そう、ニコッと微笑み告げる。そんな彼女――白河しらかわさんの隣には、何とも気まずそうな表情で視線を彷徨わせる華やかな少女、弓島ゆみしまさんの姿が。……うん、なんだか意外な組み合わせかも。事情があったとは言え、少し前に四人で遊びに行ったわけだし仲が悪いとは思っていなかったけど……それでも、白河さんはともかく弓島さんが白河さんを好意的に思っているとはあまり思えなかったから。尤も、仲が良いのならそれに越したことはないのだけども。


 ……まあ、それはともあれ……えっと、どうしてここに? 確か、今はお化け屋敷に――


「――実は、色々と諸事情があり休憩時間がずれてしまいまして。なので、先ほど偶然お見かけした弓島さんと折角なので一緒に回ろうというお話になったんです」

「……なるほど」


 すると、僕の疑問を察したのかそう説明をしてくれる白河さん。うん、そういうことだったんだ。まあ、急に予定が変わることもあるよね。


 ……ただ、それはそうと……うん、気まずい。桜野さんと回ることは昨日の夜に伝えているので、隠していたことがバレた、とかではないんだけど……それでも、何というか――



「……白河さん、だっけ。悪いけど、今日一日借りるから、あんたの大切な『友達』を」

「ええ、どうぞ。是非とも、素敵な時間をお過ごしいただけたらと」



 すると、白河さんをじっと見つめそう口にする桜野さん。すると、そんな彼女にどこか不敵とも思える笑みで答える白河さん。別に、何の変哲もない普通の会話なのだろう。なのだろう、けども……うん、ちょっと怖い。






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