新システム?
「……あの、白か……いえ、冬雪お嬢さま。本来、当店に指名のシステムはないのですが……」
「おや、ですが店長さんには躊躇なく承諾してくださいましたよ? それも、何とも楽しそうなご表情で」
「……まあ、理由は何となく察せられますが」
その後、ほどなくして。
僅かに吹き込む風が心地の好い窓際の席にて、何とも楽しそうな笑顔を向ける冬雪お嬢さま。今、お嬢さまご自身の希望にて彼女の接客を務めているわけで。……うん、当店にはないんだけどね、そんな制度。
ちなみに、店長さんとはこの期間、率先してクラスを引っ張ってくれていたボブカットの女子生徒、中山さんで……うん、なんだか目に浮かぶね、その様子。体育祭のあの件――白河さんに付き添ったあの件に関して、あの子とはどんな関係かってちょっと前に目を輝かせながら聞かれちゃったし。
「――それにしても、分かってはいましたが本当に良くお似合いです、奏良先輩。それこそ、可愛すぎて思わず嫉妬してしまいそうなくらいに」
「……きょ、恐縮です。ですが、冬雪お嬢さまの方が断然可愛いですよ」
「……そ、そうですか……あ、ありがとうございます」(……うん、ほんとなんで私には平然と言えるんだろ、この人)
その後、ご注文を受けつつ和やかにそんなやり取りを交わす僕ら。ところで、最後の方はいったい何と……うん、まあいっか。
ともあれ、受けたご注文をキッチンの方々へと伝えるべく一度その場を離れる僕。すると、主にクラスの皆さんからの何とも楽しそうな視線が僕へと注がれ……えっと、どして?