凝り性?
「……ところで、なんとなく分かってはいましたが、先輩って凝り性ですよね」
「……へっ? そ、そうですか?」
「ええ、私に料理を作ってくださる時も、随分と細かいところまでこだわっていますし。もちろんとても嬉しいですけど、お店で出すものならともかく、私にまでそこまでする必要はないかなと心配になるほどで」
その後、歩みを進めつつ少し可笑しそうに告げる白河さん。……そ、そうかな? 確かに色々と考えて作ってはいるけれど、流石に凝り性とまでは……まあ、それはともあれ――
「……もちろん、お店でご提供するものも心を込めて作らせていただいてます。ですが、白河さんに対してそこまでする必要がない、とは全く以て思えなくて。僕の料理で、白河さんが少しでも喜んでくださるのなら……僕は、本当に幸せですから」
そう、少し躊躇いつつ伝える。もちろん、勤め先であるカフェでも心を込めて作っている。尤も、そもそも代金を払っていただいているのだから当然そうあるべきなのだろうし……それ以上に、少しでもお客さまに喜んでほしいから。
だけど、申し訳ないとは思うけれど……それでも、白河さんに作る方が心が籠もっているのは、自分でもどうにもごまかしようがなく――
「……そ、そうですか……ええ、もちろん喜んでいますよ。それはもう、少しどころでなく……その、本当に私も幸せで……」
すると、顔を逸らしつつそう口にする白河さん。逸らしているため、その表情は窺い知れないけども……それでも、その声音からも本心であることは伝わって。……そっか、だったら良かった。