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15話 裏庭の木陰でランチタイム


学校生活にも少しずつ慣れてきたある日の昼休み。響と一緒に食堂へ向かおうとしていたところ、校内アナウンスで響が先生に呼び出されてしまった。


「わりぃ悟、先生に呼び出されたから昼飯1人で食ってくれ!」と響が申し訳なさそうに言う。


「大変だなあ……」俺は軽く肩をすくめつつ、少し残念な気持ちで響を見送る。


食堂で一人はさすがに寂しいので、俺は購買部でカレーパンとコーヒー牛乳を買うことにした。昼の混み合う食堂から離れ、教室で一人で食べようと廊下を歩いていると、ふと窓の外に見覚えのある姿が見えた。


「あら、椿芽?」


視線の先には、裏庭の木陰のベンチで一人静かにお弁当を広げている椿芽がいた。風に髪を揺らされながら、どこか落ち着いた雰囲気で食事をしている姿が目に留まる。そういえば何故か椿芽とはお昼一緒にたべたことなかったと気がつく。


俺は思わず足を止め、窓越しに彼女の様子を眺めていた。


 

「よし……」

と軽く気合を入れて、俺は椿芽がいるベンチへと向かった。ちょっとした悪戯心も芽生えて、買ってきた缶ジュースをそっと彼女の首元に押し当てる。


「ひゃぁ!?」

椿芽がビクッと肩を震わせて、なんとも言えない変な声を出した。なんだか新鮮な反応で、ちょっと笑いが込み上げる。


「さ、悟くん!?な、なにすりゅの!」

動揺してるのか、珍しく噛んでしまっている。俺は思わず吹き出しそうになるのをこらえて、


「ごめん、ごめん。ジュース飲む?」

と差し出すと、椿芽は不満げに頬を膨らませながらも、

「むー、貰う……」

と素直に受け取ってくれた。


「一人でお昼?」

俺が尋ねると、椿芽は軽く頷いて答える。


「今日はね」


「普段は誰かと食べてるのか?」

気になってさらに訊くと


「うん、朱音ちゃんと食べてるよ

椿芽は嬉しそうに微笑む。


「朱音……? 若狭さんのことか?」


「あ、そう!朱音ちゃんとは初日の校内散策の時に仲良くなって、それから一緒にお昼食べたりするんだ」

椿芽はその時のことを思い出したように、楽しげに話してくれる。


「へー、そうなんだ」

どうやらいい友達ができたらしい。


「でもさっきね、急に先生に呼び出されちゃって……」


「あー、なるほど。なら俺と同じ理由だな」

俺も響が突然呼び出されたことを思い出して、ちょっと親近感が湧いた。


「えっ、ひーくんも? じゃあやっぱり学級委員のお仕事かな?」


「そうだと思う。…もし良かったら、あぶれ者同士一緒にお昼でも食べないか?」


「いいよ!」

椿芽は嬉しそうに頷いてくれる。


「ありがと」

そう言って俺は、椿芽の隣に腰を下ろし、二人並んで穏やかな昼休みを過ごすことにした。


「悟くんのお昼……なかなかの組み合わせだね……」

椿芽が俺の手元にあるカレーパン2つとコーヒー牛乳を見て、苦笑いを浮かべる。


「慣れると気にならないんだよ」


「そ、そうなんだ……」


俺がちょっと開き直って答えると、椿芽は笑いをこらえながらも、お弁当を開いて食べ始めた。ちらっと覗くと、色とりどりで見た目も華やか。さすが女の子って感じだな。


「椿芽のお弁当、美味しそうだね」

思わずそう言うと、椿芽は少し得意げに微笑む。


「うん!叔母さんが作ってくれたんだ」


「叔母さん……?」

意外な人が登場したので驚くと、椿芽は嬉しそうに説明してくれた。


「そう!叔母さんは旦那さんと一緒に大衆食堂をやっててね、どれも絶品なんだよ!」


「へぇー、道理で美味しそうに見えるわけだ」

まるでプロの料理みたいな感じがしたのはそういうことか。


「お1ついかが?」

椿芽が、卵焼きを一つ箸で摘まんで俺に差し出してくる。


「え、いいのか?」


「ふっ、叔母さんお手製の卵焼き、美味しいよ」


「ほう……では、お言葉に甘えて」

椿芽から卵焼きを一つもらい、口に放り込む。


「お、これはなかなか……」

卵焼きはとろっとして甘みがちょうどよく、何とも食べやすい味だ。思わず声が漏れてしまう。


「ふふん、叔母さんが作る料理は本当に美味しいんだぞ!」


「へえ……ちょっと気になるな」


「でしょでしょー!もし良かったら食べに来てよ!私もたまーにお手伝いしに行ってるんだ!」

椿芽は楽しそうに誘ってくれる。


「じゃあ、今日行かせてもらおうかな」


「え、即日!?」

椿芽は驚きつつも、「ならお店の場所、あとでルインに送るね」とにっこり笑ってくれた。


「じゃあ今日は私もお店に行く予定だったから、そこで待ってるね」


「わかった」

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