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原作知識を使った全てを奪っておいて、今更勇者頼むというのは身勝手ではない?  作者: 安藤昌益


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ゼブラの要求

 ゼブラは、小さく深呼吸してから、ほんの僅かな間黙っていた。

“何か考えがあるのかしら?”

“もったいぶりやがって。”

“こちらの出方を見ているのか?”

“とんでもない要求を言い出すんじゃないか?”

“穏便に収めてくれないかな…。”

“神様!お願い、助けて下さい!”

 それから、6人の勇者達の顔を、表情をチラッと見て、“何を考えているかな?分からないが…。”と思いながら口を開いた。

「さっきも言った通り、もやもやしたものがないと言えば嘘になるが、君達がやったことは、無理無体な運命を変えようとするのは当然だと思うし、君達が得たものを取り返そうとか、ざまあしようとなんかは思っていない。君達の、今手に入れている立場、地位を決して害さないし、魔王討伐については、あくまで君達を主役として、支援の勇者として、それ以上に奮闘するが、あくまでも自分の立場から出ないように、身を慎むことを約束するよ。それで、僕の要求だが。」

 6人は、あらためてゴクリと唾を飲み込み、ゼブラの次の言葉を待った。

「まずは、ある意味順序は逆になるけれど、魔王打倒後の僕への恩賞についてだ。

 僕はね、4人の妻達とそのうち生まれるだろう子供達と不自由ない生活をおくれる領地と地位が欲しい。兵役免除とかの特権も欲しいね。この領地経営が円滑になるまでの資金と両親への仕送りになるだけの報奨金も忘れないでくれよ。

 私の4人妻達にも、地位と報奨金を。彼女らも、親兄弟への仕送り金をしたいだろうからね。 

 チームの他の仲間たちにも、しかるべき地位と報奨金をね、頼んだよ。

 それ以上の報酬は、僕からは求めないよ。

 それから、今後のことについてだよ、この社会、世界についての今後のことでだよ。魔王、魔族との共存を考えてくれないか?実はね、魔王は何人もいる。今戦っている魔族と魔王と対立し、そいつらとは違って、我々に近く、うまくやっていけるような連中がいる。共存は正義、などとは考えていないよ。だからさ、何人もいるらしい魔王の何人かとは、利害の一致があると思うんだ。共通の敵を倒し、その後は、互いに提供しあえることで、共存共栄をするんだ。共同で防衛することだっていい。どうだい、この意味は、転位者なら分かるだろう?単に戦いあっていては、無意味だし、もったいないだろう?俺達で、王侯貴族族長、長老に語りかけないか?冷静な政治家なら、聞く耳があるはずだ。理想主義者は、馬鹿がつくほどの奴なら信頼できるけど、そうでない奴らは信用できないだろう?どうだい?人気小説、漫画、アニメのさ、正義派の王女様とか、あり得ない、それに当てはまるのは信用できないと感じないか?共存という美名ではなく、互いの利益に基づく、同盟、提携こそが真の共存共栄だ。俺の妻の一人が魔族の貴族、騎士なんだ。彼女を通じて提携、同盟の手づるをたどれる。俺達にとっても利益があると思う。

 それから、ざまあはしないで欲しい。あんた達は小説、漫画だと、俺に、何も知らない勇者に一方的にざまあして、闇堕ちさせることになるだろう?多分、一度は実際に考えた、夢想したんじゃないか?まあ、痛快だろうけど、それはなしにしてくれないか?俺は、破滅も、闇堕ちもしたくない、ささやかでもいいから、この世界で幸せになりたいだけだよ。

 もう言ったけど、俺は4人の妻とともに悠々自適の地位で満足するよ、辺境の領地であっても。まあ、不毛な領地を与えるなんてしないでくれよ。この力を、領民のために魔獣、山賊退治に活用することで満足するから、信じて欲しい。君達を害しようなんて思っていないから。初めにも言ったように、今更、俺のものを返せなんか言わないよ。

 俺は前世では、完璧な善人にはほど遠い程度の善人だった。まあまあ何とかがんばって、まあまあのところで何度かなったけど、後悔や失敗の連続だった。決して、満足できる人生じゃなかったよ。転生して強大な力を得たわけだけど、得てみると、恐れも何も、前世で感じていたものだけど、なくなったんだ。そうなると、なんかひどく寛大になって、心を広く持てるようになった上に、人を助けることができるからできるだけ人を助けてやろう、助けたいなどと思えるようになったんだ。この勇者の力を持った者の生活に満足している。ここから成り上がろうとか、さらなる権力、地位、富を・・・それに女を、とかなんか求めようと思ってもいないんだよ。

 だから、君達とうまくやっていきたいと思っている。それを信じてほしい。

 ああ、それから、今の俺のチームは常に俺と共に行動させてほしい。いいだろう?」

 ゼブラは一方的に言うと、背もたれに体重をかけて、ふうっと小さく息をしてから、目の前のハンバーガーもどきに手を伸ばした。ぱくつき始めた彼を見ながら、6人は互いの顔を見渡しながら、頷きあった。


「7人目の勇者。支援の勇者、グレイト・ゼブラ殿です。」

 その日のうちに、6勇者達に同行していた聖職者、諸国からの騎士団長達の前で、ゼブラは紹介され、7人目の勇者として魔王打倒に尽力することを、その地の大聖堂で誓いの儀式に参加したのだった。簡単な式典ではあったが、7人目、支援、各国各部族各勢力各教会の関係上、目立たない方がよかったからだ。

「弟子が勇者だったとは、師匠として嬉しいぞ!」

 簡単な式典の後、ゼブラをまず迎えたのは、師匠のアトキンスだった。自分の大きな乳房の間に、彼の顔を挟んで、抱きしめた。

 彼女は、S級の冒険者であり、武術家で、その教師でもあり、ゼブラは武術を、彼女から学び、冒険者の心構え、生き方、戦い方を学んだ。浅黒い、均衡の取れた、少し大柄過ぎる美人は、教え子としてゼブラを愛した、もちろん男女のそれの意味ではない、と少なくともゼブラは思っている。そして、度々、彼をS級に、飛び級してSS級に推薦したのは彼女であり、7人目の勇者がいるというならゼブラしかいないと推薦したのも、彼女だった。

 恩義を感じるし、尊敬している師匠だが、こういうスキンシップは迷惑だ、と思いつつ、それを言い出しかねているゼブラだった。4人の視線も痛い…。しかし、ひとしきり、過剰なスキンシップを終えると、鍛錬を怠っていないか、彼の筋肉を調べ、何だか最近は怪しい手つきになっているような気がするゼブラだったが、大丈夫だと感じると、基礎訓練をその場で始める、師匠アトキンスだったので、彼は安心した。

「これで、私達も勇者のチームの一員というわけね。」

「勇者の妻…、妻達と言うべきではないかしら?」

「ハーレム?これは嫌ね、まあ、そう見られるかもしれないけど?」

「勇者様と私が一緒にいてよろしいのですか?」

「何言っているのよ?彼は、あなたも選んだのよ、何時までそんなこと言ってない!でも、大丈夫、支援の勇者様というのは、含みがない?」

 バディが一番早く現実に戻ってきていた。

「その通りだよ。だから、まず君たちと話したい。あ、師匠もお願いします。」

とゼブラが言うと、4人は、

「まさか?」

と小さく叫び、

「そ、そんな、私を5人目とは…歳の差が…。」

と師匠がもじもじ始めた。ため息をつきながらも、急いで、

「妻の追加ではないよ。勇者としての今後の相談だ!」

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