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原作知識を使った全てを奪っておいて、今更勇者頼むというのは身勝手ではない?  作者: 安藤昌益


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これハンバーガーだよね?

 翌日、迎えに来た6勇者の使者達に従って、ゼブラは彼の4人の妻達を連れて、勇者達の待つ、修道院へと向かった。彼は、4人をはっきり妻達と呼んだ。彼女らを連れて行こうとしたところ、勇者達の使者達が、1人でとどめようとしたため、

「彼女らは、私が一番信頼し頼りにしている、そして愛している妻です。私と一心同体ですから、どうか同行をお許し下さい。勇者様方は、絶対笑ってお許しになられるはずです。」

と強く主張した。舌打ちし、捨て台詞的な罵り言葉を吐き出す者が半数を超えていたが、勇者達を待たすわけにもいかず、止む無く同意した。真っ赤になって、上気した顔でうっとりしている4人の目を盗んで、盗まなくても気がつかなかったろうが、チラチラと勇者の使者達の顔を窺った。女達の顔見て、“こいつも、こいつも、俺の妻になるはずだったんだよな。美人だな、みんな。”と思いながら、同時に"勝った!"“4人の方が美人だな?”と思っていた、思おうとしていた。

「こちらの広間で、勇者様達がお待ちです。奥様方には、外でお待ちいただきます。」

 金髪の、まさに賢者としかいえない感じの整った顔立ちの若者がゼブラを広間に案内しながら、穏やかだが断固とした口調で告げた。彼を見上げる顔を見ながら、中背なので彼よりかなり低かったからだ、"俺のもっとも頼りになる親友、片腕・・・のはずだったんだよな、こいつは、たしか。"

「中には、6勇者様方しかいないのですか?」

「はい。そうです。」

「それでは仕方がないですね。」

 ゼブラは、あっさり引き下がって、振り返って、

「悪いが、ここで待っていてくれ。」

 4人は緊張した面持ちになっていて、小さく頷いた。

「くつろいで待つことのできる部屋を用意してありますから。」

 ゼブラは、その声を背に、開けられたドアから入っていった。


 大きな円卓には、既に6勇者が座っていた。

「冒険者グレイト・ゼブラです。今日は。」

と彼が言おうとすると、

「まあ、緊張なさらず席について、軽く食べ、飲みながら話をしましょう。」

 女の勇者がやんわりと言ったので、頭を下げて開いている席、彼女が手で指示した、の前に進んだ。そこには、食べものを載せた皿とハーブティーをいれたカップがあった。皿に載せられた食べ物を見て、"こいつら転生者だな。"とグレイトは確信した。"どうする?腹を割って話すか?"

「おや、これはハンバーグではないですか。どこで買ったのですか?」

 彼は、日本人なら誰でも知っているファーストフード店の名前をいくつも言った。皆の顔が厳しくなった。

「あなたも転生者だったんですね。」

 女勇者が皆を代表するように、ため息交じりに言ったので、

「それは、こちらのセリフですよ。」

 彼は、席に着くと6人を順番に見渡した。ほんの少しの間静寂が、沈黙が、その部屋の中を支配した。“結界が…。聞かれたら不味いからな。”それに耐えられなくなったのか、1人が立ち上がって、椅子が倒れて音をたてた。

「どうして名乗り出なかったんだ?」

と叫ぶように抗議?した。

“こいつは…、覚えがないから、モブから成り上がった系かな?ああ、こいつの腰の剣…!”

「どの段階で?もうあんたらが勇者様に認定されたんだ。もし、私が名乗り出たら、それぞれの勇者様達を後援する国、教会は黙っていないだろう?その上に“俺が本当の勇者様だ。”と名乗り出たらどうなっていたろうね?」

 それに反論はなかった。が、

「それで、どうしてここに来たの?」

 ハイエルフの女勇者が、喉から振り絞るような声はだした。

「だって、6勇者様の呼び出しを拒否したら、怖いじゃないか?勇者様を敵にしたら、人間・亜人の全てを敵にしてしまうじゃないか?」

 いかにも、怖いよ、とひょうきんな仕草をしてから、真顔に戻ったゼブラは、

「単刀直入に言うよ。全面的に協力するよ。支援の勇者だったっけ?6勇者様を助けて、時には先鋒として、切り込み隊長として、先陣を切り、時には、陽動、囮、斥候となり、助力し、加勢して…6勇者様達の縁の下の力持ちになって、粉骨砕身、全身全霊でもって務めるよ。」

“侮れない奴だわ。”“食わせ物だな。”“何を考えてやがる?”“皮肉か?”“一段落?この後は?”“何を要求する気か?”

「それで、あなたの要求は?私達が、あなたから奪ったものを返せってことかしら、本来の勇者様?」

 その問いにゼブラが、言葉を選んだ間、数秒間のことだったが、その時間に耐えられなくなった者がいた。

「わ、分かったよ!この聖剣を持っていけ!」

と自分の腰につけていた聖剣を鞘ごとテーブルの上に叩き置いた、大きな音がした。

 それを合図のように、ゼブラの口が動いた。

「奪われたものを返せと言っても、そんなことは不可能だろう。聖剣の類いは、既に主と認めているんだし、まして、人間になると絶対無理だろう。あんた達だって、妻達を俺に返せるかい?俺は寝取りの趣味はないしね。俺は、もう既にそっちの聖剣とか、美人さん達も、親友達も必要ない。もう、持っている。彼女らを捨てて、本来の恋人達を、失った恋人達を得たいなんて重っていないさ。」

 彼は、ゆっくりと穏やかな調子で答えた。

「では、あなたの要求は?」

 その質問に、ため息をついてから、彼は、そのことを話し始めた。




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