表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原作知識を使った全てを奪っておいて、今更勇者頼むというのは身勝手ではない?  作者: 安藤昌益


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/35

奪った訳じゃない…それが奪ったということでは?

「お前のようなモブが、聖剣光の神速剣を手にいれてしまって、勇者候補として魔法学校に入って、勇者と結ばれる庶民の特待生と公爵令嬢を助けた挙げ句、自分の恋人に、婚約者にしてしまったから、いけないんだろうが?」

「そ、それを言うなら、神童と呼ばれて努力しない、かつ傲慢ないけ好かない貴族野郎のあんたが、鍛錬を怠らずに、名声を赤丸急上昇させたせいで、勇者捜しが小規模になって、不活発で、そのうち止めることになったからではないか。それに、勇者が手に入れるはずだった、聖具、腕輪や有力国の姫様と結ばれた、つまりは取ったじゃないか?」

 イーノとゴッチが罵りあいを始めた。モブの男爵家次男に転生したイーノは、原作知識を利用して、本来勇者が手に入れる聖剣を得て、それによる活躍で、勇者候補とされ、魔法学院に入学、魔法力が優れているため特待生として入学した庶民の娘と当初対立していた公爵令嬢と結ばれ、晴れて勇者と認定されて、ここにいるのである。

 ゴッチは、魔法の才能豊かな神童と幼少期から呼ばれた侯爵家長子、その才能を伸ばして、勇者認定されたのだが、6人の中で一番最初に注目も、候補になったのも、認定されたのもである。本来は、途中で才能に溺れ、傲慢、わがままな悪党貴族で、悪い取り巻きを従えて、勇者に絡み、簡単にあしらわれたのを恨み、物語の当初の悪党として登場、倒される悪党役である。それが、勇者が得る魔法装備の一つを得た上、彼と結ばれるはずの王女を既に妻にし、妊娠させている。さらに女聖騎士団長と聖女も妻にしている、彼女らも本来の勇者と結ばれることになっていた女性達である。

「俺の場合は、全部努力した結果だよ!」

「それは、俺のセリフだよ!」

「まあまあ、2人とも。今更、自分達の悪行を非難し合わないでよ。」

「何、自分は無関係のようなことを!勇者の魔法具を手に入れて、勇者になって、勇者と結ばれるはずだった義姉を追い落として、殺したあんたはもっと恨まれて当然だろう?」

「か、彼女は出奔したのよ。行き先も知らないし、まして、暗殺なんかしてないわよ!」

「噂では、そうなっているよ。それに、彼女を不幸にしたことは変わらないよ。勇者を利用しようとして、義姉を暗殺事件しようとして、勇者に阻まれて処刑された腹黒王女様。」

「な、なんですって、言うに事欠いて、何という事を!」

 見事な金髪の小柄なロピア王女が、流石に真っ赤になって怒りだした。慌てて、

「まあ、皆同じだろう。誰も悪い事はしていない。置かれた立場からすれば、当然のことをしたまでだろう。それは、俺も同じさ。ただ、本来の勇者にとっては、寝取られた、奪われたと思ってもしかたがないってことが、問題なんだよな。」

「私もそうだけど、みんな一度は勇者にざまあしてやろうと望んだり、ざまあする自分を想像したことはあるんじゃない?私達ってさ、そういうことをするように描かれるでしょう?勇者も転生者で原作を読んでいたら・・・それを恐れるでしょうね?」

と間に入ったのは、リッキーとスタアだった。

 リッキーは伯爵家の次男で、赤髪の端正な顔立ちであるが、我がまま、乱暴者で、自分の使用人、奴隷達にも辛くあたった。よく小説に出てくる屑貴族である。その奴隷、後に覚醒して神獣の子孫であり、その力を受け継いでいたことを示す、フェンとリルの狼系獣人の姉妹を虐待していたのに見かねた勇者と対立、様々な嫌がらせをした挙句自滅していくキャラだった。フェン・リル姉妹は、勿論勇者の戦力として、恋人として・・・となる。だから、使用人にも、領民にも、奴隷にも優しくし、回復魔法などを特に熱心に学び、使用人達、奴隷達、領民達に施した。フェンとリル姉妹にも慕われ、彼女達を妻にし、やはり勇者のものとなるはずの聖盾を手に入れ、武術も魔法の才も開花させて、これも勇者が学ぶはずだった、勇者だと認定されたのである。

 スタアはというと、典型的なハイエルフで、姉が勇者と出会って手に入れ、その力も覚醒することになる聖弓を、原作知識でずっと先に手に入れて、勇者とされたのである。勇者と結ばれるはずの姉を幼馴染と結婚させるように工作した。勇者と結ばれる姉は既に人妻、子供もできている。彼女は、本来姉に嫉妬するが、結局自滅するキャラなのである。

 1人、リョクゼンだけが黙っていた。1人冷静と言うわけではなかった。言い出す機会がなくなったからである。彼は、勇者とぶつかる地方の大領主、侯爵であるが、やはり返り討ちを何度もされて、また、領地支配が暴政で、領民はおろか家臣達にも見放され、自滅のように魔族の侵攻により、惨めに死んでいくキャラである。領地支配は、領民のことを考え、あくまでも主観だが、家臣達にも優しく、領地の繁栄、防備の強化に熱心に務め、人材の登用も進めた。その結果、勇者のパーティーに入る、ハーフエルフの女戦士とかが、彼に忠誠を示す家臣兼愛人となり、領地防備のために、これまた勇者のものとなるはずの防御結界を広く張れる指輪を手に入れていた、もちろん原作知識を使ってである。

「だけどさ、だからといってさ、この種の成り上がり者のような無双とか、すごいものにはならなかったんだよな。」

との声がでて、皆が思わず頷いた。

 リッキーは、確かに領民、家臣、使用人、奴隷達によい領主、主人だと慕われている。フェンとリルは、ますます美人になり、相思相愛、力も覚醒し頼もしいし、領地経営はうまくいき、順風満帆と言えたが、そこまでである。本来、このような話なら、例えば、奴隷達に崇拝されるようになり、彼らの力もあって、どんどんと拡大路線というか、ビッグになっていくものである。だが、それがないのである。前世の知識で、の農業改革といっても、この世界のこの時代に合う農業とは何ぞや、である。全く分からない。現代技術の製品を、魔法で補って作ろうとも、ドライアーなら、ちょうどいい温度、風量を調整するにはどうすればいいのか、ということは難しい。

 たこ焼きは、当時のラジオ焼きと明石焼きを組み合わせたものだが、これに合うたれを三年間かけて作り出したのと同様、実現にはかなりの労力と時間が必要になるからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ