魔王城攻略
攻城兵器、巨大な石弓式の投石、巨大な矢の発射機、シーソー式や弾性を利用する投石器、城壁や城門を破壊する石鎚や亀甲車、そして攻撃用の櫓が、移動用梯子が魔王城を取り囲んでいた。さらに、大小の石弓、弓、投槍器を持った曳いた弓兵、槍兵、騎士、重装甲歩兵、大楯兵、魔導士、賢者、魔法修道士達が続いた。その後ろには、将兵のための天幕、仮づくりの砦が並んでいた。
魔王城は、隙間のないほどに囲まれ、囲んでいる方は完ぺきに近い状態で配置されていた。もちろん魔王城側が、攻城側がこのようにならないようにしようと事前に襲撃しようとはした。何度も伏兵を配したり、夜襲をしかけたりした。脱走した捕虜を装った特殊部隊を侵入させて、内部かく乱しようとも試みた。
ただ、全て失敗しただけである。支援の勇者グレート・ゼブラとそのチーム、それに従う人間・亜人・魔族の軍に阻まれた、壊滅させられたというだけである。
「ここは通さないよ。」
と、グレートは対峙した。彼の前には、みすぼらしい姿の男女、数十人の人間、亜人達だった。
「どうしてです。私達は、魔族の下から逃げ出してきたのです。どうか助けて下さい。」
と彼らは口々に訴えた。
しかし、グレートはうんざりしたという表情で、
「モフモフは可愛いペットなら歓迎だが、添い寝する相手には勘弁願いたいんだよ。君達の正体、見えてないと思った。」
"モフモフ系じゃないのもいるようだけど。"亀型、トカゲ型、ワニ型、しかも変に人間と混ざったグロテスクなもいた。変身というか、幻惑魔法がグレートの張った結界を通った時点で消えていることに彼らは気づいていなかつたのである。
「くそ。死ね、人間。餌魔族ども。」
と叫んで、グレートに襲い掛かった。
口から吐かれた炎は、グレートの水平打ちで消し飛ばされ、その斬撃で半数以上が倒れた。後は、ロジャー達が呆気ないくらいに簡単に片付けてしまった。
「うおー!」
身体強化魔法を目いっぱいかけての、ゼブラのフライングキックで魔王城の城壁は音もなくくずれおちていった。あまりのことに、動きが止まってしまっていた魔王城の城壁付近の守備隊は、自分達がどうなったか分からないままにグレート達に倒されてしまった。何とか、気を取り直した将兵達はグレートを先頭に突入してくる攻城側の軍に一方的に押しまくられるだけだった。
「六勇者様方。魔王の元に!後は、我らにまかせて下さい!」
グレートが叫ぶと、六勇者は、
「感謝します。」
「後はまかせろ。」
「後ろは頼んだ。」
「すぐに…よろしく。」
「ありがとう。」
「気をつけてね。」
と言って、彼らに従うチームの面々と共に、魔王城の奥に突入していった。
リッキー達3人は、数日前に、秘かに話をしにきていた。自分達も、魔王退治などでは争わない、互いに提携しあおう、と申し入れてきた。グレートは合意したのはもちろんである。
「後は、ゆっくりやりましょう?」
「あっちがいいだしたとですし。」
「今のうちに休みましょうか?」
「本当は、私が止めをさしたいのですが・・・ここは休んだ方いいと思います。」
4人は、小休止して、6勇者達に後を任せることにして、周囲を警戒しながら、しばらく小休止を取ることにした。軽い食事、飲み物、回復薬も含めて、いつでも動ける、武器を取れるようにしながら、攻城軍は取り始めた。
「どうですか、奮闘したように見えましたか?」
「見え過ぎたくらいだよ。これで、6勇者様達が魔王を倒さなければ、君しか記録に残らんだろう。我が軍も自他ともに、奮闘したことを誇っても文句を言えないくらいに見えているよ。」
ゼブラの祖国の王太子であるルウ王太子は、彼は国の精鋭を率い、かつ、この戦いでも陣頭指揮を執っていた、は嬉しそうに、また、満足そうに言った。
「私もここらで、小休止していたほうがいいかもしれないな。覇権を求めているわけではないしね。お互い十分義務を果たしたと思う。でも、本当に君を誇らしく思うよ。」
「恐れ入ります。そのようなお言葉をいただき光栄です。」
「勇者様に頭を下げられては、こちらが困るから・・・。」
"それでも、もうしばらくしたら様子を見に行く必要があるかも。"
と思うようになっていたゼブラだった。彼の予想どおり、その後ぐらいから、6勇者達は魔王と対峙して厳しい戦いを強いられるようになっていた。