父さん
「私、、。
そろそろ良いかしら?」
「良いんじゃねえの??」
写真の父さんに向かって、
母さんは申し訳なさそうに話した。
父さんは、消防士だった。
夜は家に居ない時の方が多かったし、
たまの休日ですらも、仕事へと行った。
「何でお父さんは仕事ばっかりするの!!?
僕とお母さんの事はどうでも良いの!?
"お父さんなんか。大嫌い!!"
」
一度。
口から出してしまった言葉達は、、
もう2度と返ってきたり。
戻ってくる事等は無かった。
俺の誕生日の日。
父さんはいつもの様に火事で人の命を救ったが。
それと引き換えに。
自分の命をなくしてきた。
瓦礫の下敷きになって。
そのまま。
だった、そうだ。
父さんは、、馬鹿だ。
人を助けに行って。
自分が死んでしまったら。
何の意味も無いじゃないか、、
俺が。あの日。
あんな事を言ってしまったから。
そう。責めなかった時は、一度も無かった。
言葉は時として。
その言葉に類似した出来事を、
引き起こしたりするのだ、、
勿論。そんなものは迷信に過ぎない。
火事は、火の不始末が原因なのだから。
けど。
言ったのは俺だ。
結果もそうなった。
これは、戒めとして。
ずっと俺の中に残っている。
どうでもいい家族。
赤の他人のせいで。
俺の言葉のせいで。
父さんは死んだ。
父さんの葬式も終わって、
遺品整理をしていたら。
2枚の手紙が出てきた。
それは。
俺と母さん宛てに。
まるで、
こうなる事を知っていたかの様に、、
[この手紙が読まれているって事は。
俺に何か起きたって事だ。
いつも一緒に居てやれなくて、ごめんな??
お前にも寂しい思いを沢山させた。
でもな?
俺はこの仕事を誇りに思っている。
誰かを救えるなんてのは、
誰にでも出来る事じゃない。
俺がお前達に残せたモノがあったかは分からない。
でも。
男として産まれたからには。
お前にも守って欲しい事がある。
それは、、
誰かが助けを求めていたのなら。
自分の事なんてのは気にせずに。
今すぐその人を助けてやれ。
それが例え。誰であっても。
女とか子供とか。年寄りとか。
血が繋がってようがなかろうが。
赤の他人だろうが。
そうゆうのじゃなくて。
誰であろうとも。
助けを求めてる奴を。
お前が。
守ってやれ。
助けてやれ。
それが例え叶わなくても。
お前なりに。精一杯の努力をしろ。
お前達を守れなかった俺が言えた事じゃないけど。
母さんの事を、、よろしくな?
再婚の話が出たら。
母さんを応援してやれ?
最後まで自分勝手な父さんでごめんな。
大好きだぞ。
俺よりもデカい男になれ。
母さんを頼んだ。
自分勝手な父さんより]
握り締め様とする手を必死に堪える。
葬式の時には、沢山の人が訪れた。
斎場外には列が出来る程に。
でも父さんが救った家族は来なかった。
人間。そんなものだった。
それでも、父さんは、、
そんな。奴等でさえも。
沢山救って来たのだろう、、
父さんの棺に向かって。
沢山の人が"助けてくれてありがとう"と言った。
その度に。俺は気分が悪くて堪らなかった。
ありがとう。だ??
お前達が居たから。
お前達のせいで、、
父さんは、死んだんだよ!!!
声にならないそんな思いは。
はち切れそうな感情は。
虚しくも。俺の中だけで留まった。
俺は、寂しさを。
喪ってしまった事に対しての喪失感を。
見ず知らずの他人に。
当たっていただけだった、、
、、あれから。
何年経った事だろうか。
母さんと俺は、ゆっくりと歩んだ。
母さんが良い人を見付けた様で。
俺は今日。
その家の人達と合う。
向こうは母親を亡くしており。
女の子と男の子が居るそうだ、、
2人とも同い年らしい。
俺とは4つ違う。
俺は、高校2年。
来年には、就職が決まる。
いつまでも甘えてる訳にはいかないし。
ようやく相手が見付かったんだ。
2人の時間を邪魔したくはない。
そう、思っていたのだが、、
俺の計画とは、裏腹に。
向こうの連れ子達が問題児だった事を。
この時には知るよしもなかったのだ。




