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異世界迷宮に転移したら、僕はみんなの食糧でした。  作者: 捨一留勉
第四章 地獄の中で辿り着いた地獄
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間話 委員長の秘密

本編とはあまり関係ない内容です。

時期的には勇也とアナベルが仲直りした後で、千佳とアナベルの確執も小さくなってきているぐらいです。

 

 先生、門田君、山崎さんは『鑑定』を覚えることに成功した。

 反対に大石君、島村さんは覚えられなかった。そもそも知力が足りなくて、きっとどう足掻いても覚えられないんだと思う。

 じゃあ、私はどうかというと、私の場合、魔力は無いけど、知力は足りている。でもやはり、『鑑定』の習得には至っていなかった。


 多分無理なんじゃないかな?

 私はそう思っているのに、他の人たちはそう思っていないみたい。


「委員長殿は『知識欲』が足りないのだと思うでござる」

「うん、なんか好奇心を感じられないよね」

「アナもそんな気がするのです」


 青白い光に照らされる、幻想的な宝箱部屋の中で、私は『鑑定』の習得を目指していた。

 私がなかなかできない様子を、門田君、山崎さん、アナベルさんが、そんな風に評する。


 そんなこと言われたって、覚えられないものは覚えられないんだからしょうがないじゃない。


「お前らなぁ、委員長が覚えられないのは魔力が無いせいだろう」

「そうそ、委員長は私たちの仲間よ」


 覚えられなかった二人が私をフォローしてくれるけど、全然嬉しくない。

 それに仲間っていうなら、私は初めから『鑑定』を覚えていた勇也君の仲間になりたい。


 今その勇也君は少し離れたところにいて、クロちゃんの隣でせっせと魔法弾を作っている。

 魔力が無くなるまで作っているみたいで、無くなったらそのまま寝てしまった。

 強制睡眠というよりは、眠ることで魔力の回復を早めようとしているみたいだ。


 勇也君が眠っちゃうと、傍にいた沖田さんがこっちに向かって歩いてきた。

 多分暇になって、私たちの様子を見に来たのだろう。


「委員長がさぁ、興味持てないのは自分のことだからじゃん?」


 沖田さんは話が聞こえていたみたいで、普通に私たちの会話に入ってきた。

 でも確かに、そう言われたらそうかもしれない。

 じゃあ、つまり……。


「勇也きゅんを『鑑定』してみれば?」


 確かに一理ある。

 私は頷いて立ち上がり、寝ている勇也君の近くまで行った。

 勇也君に寄り添っているクロが、私をちらりと見上げるけど、すぐに目を瞑ってしまう。


 私に敵意が無いことはちゃんとわかってくれているみたい。

 うん、敵意なんてない。

 私は勇也君が知りたいだけだから。


 私は勇也君をじっと見つめた。


「なんだか危ない光景ね。教え子が性犯罪を犯しているみたいで、先生、胸が痛い」

「アナはとても複雑な気分なのです」


 ああ、勇也君の寝顔って可愛い。

 それによく見ると、体が鍛え込まれているのがわかる。

 きっと胸板が厚くて、腹筋も割れているんだろうなぁ。

 直に見てみたい……!


 すると、だんだん勇也君の服が、透けてきているような気がしてきた。


 妄想しすぎて、私の目、おかしくなったのかしら?

 ううん、目のせいじゃない。

 実際に服がだんだんと透けてきている。


 そしてついには、完全に勇也君の上半身が裸になってしまった。


「ん? 委員長の顔、真っ赤じゃん?」

「あれ? 本当だ。どうしたんだろうね?」


 遠くから何か言っている声が聞こえるけど、無視する。

 今はそんなことより、凄い光景が目の前に広がっているんだから。


 やっぱり勇也君の体は、その、凄かった。

 胸板も厚そうだし、腹筋も六つ、ううん、八つぐらいに割れている。しかも二の腕がはっきり二段に分かれている。


 ……下は? ば、バレないだろうし、見ちゃってもいいよね。


 だけど、下に履いているパンツが邪魔で、その先が見えない。

 もっと意識を集中させれば……!


「委員長さん、『透視』を習得しましたね?」


 すぐ真後ろから聞こえた言葉に、思わず飛び跳ねる。

 ゆっくり後ろを振り向くと、ハイライトのない笑顔を浮かべたアナベルさんが私を見つめていた。


「な、何を言ってるの。そんなの使えるわけ……」

「アナは『鑑定』できるのですよ」


 そうだった。それに『鑑定』を覚えているのはアナベルさんだけじゃない。

 視線を先生たちに移すと、一斉に沖田さんを除く全員の顔が横か下を向き、目が合わなかった。

 先生は俯いて「ああ、恐れていたことが現実に……」と何やら嘆いていて、沖田さんだけがニヤニヤしてこちらを見ている。


「こ、このことは勇也君には……」

「ユーヤも『鑑定』が使えるので、すぐにバレるのです」


 背中から嫌な汗がぶわっと流れる。

 このままだと私は、勇也君に変態だと思われちゃう。


「でもユーヤは、きっとそこまで気にしないでしょう。ですが、アナはユーヤの裸を誰かに見られるのは、とても嫌なのです。なので、その能力はユーヤに使わないでください。いいですね?」


 私は強く頷いた。

 確かに勇也君は私の事なんて気にしないかもしれない。かなり悲しいけど。

 でも、アナベルさんに何か言われたら、私が嫌われてしまうのは間違いない。

 これ以上嫌われてしまうのだけは避けたかった。


 私は気を取り直して、勇也君の顔を見つめた。

 私の視線が下がらないよう、アナベルさんの監視付きだけど、文句は言えない。


 今度は純粋に勇也君がどれくらい強いのか、勇也君のすべてが知りたいという思いを込めてじっと見る。

 すると、目の前の空中に、文字みたいなものが徐々に浮かび上がってきた。

 やった。今度こそ成功したみたい。


 それにしても勇也君のステータスは高い。

 それにスキルの数も豊富だ。

 私もいくつもの困難に立ち向かってきたとは思うけど、勇也君はきっともっと大変な修羅場を経験したんだと思う。


「さ、委員長さん。そろそろ自分の能力を確認するのです。『鑑定』は取得できたのでしょう?」

「え? ええ、まぁ」


 まだだとは言えない。

 アナベルさんにはお見通しだから。

 名残惜しいけど、勇也君の顔から一旦目を離して、私は自分を『鑑定』してみることにした。


 結果、愕然とした。

 勇也君と比べたら驚くほど低い。

 こんなので、これから先戦って行けるのか不安になるくらいだ。

 不安になって他の人を『鑑定』してみると、大して私と変わらないことがわかった。

 少しほっとする。

 どうやら勇也君が別格だったみたいだ。


 でも落ち着いていられたのは、自分のスキルを確認するまでだった。

 私は自分のスキルを見て、どんな内容かは永遠に胸の内にしまっておくことを決意した。


≪スキル≫道士:気功を操れるようになる。ただし魔法が使えなくなる。

 内気功:体内で気を練り、肉体の回復を行う

 外気功:空気中の魔素を吸収し、気に変換する。

 硬気功:体に気を纏い、肉体の強化を行う。

 房中術:まぐわいにより、相手の魔力を気に変換して吸収する。逆も可。

 遠当て:気を飛ばす。


 こんなの絶対人に言えない。


 房中術:まぐわいにより、相手の魔力を気に変換して吸収する。逆も可。


 悲しいことに、使う機会もなさそうだ。


 こうして私の『鑑定』の習得は成功(?)したのだった。




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