第二十八話 サーヴァントに慰められました。
≪名前≫武市花
≪種族≫人族
≪年齢≫26
≪身長≫151cm
≪体重≫42kg
≪体力≫7
≪攻撃力≫7
≪耐久力≫7
≪敏捷≫7
≪知力≫15
≪魔力≫9
≪精神力≫10
≪愛≫350
≪忠誠≫20
≪精霊魔法≫火:49 水:51 風:49 土:51
≪スキル≫消費魔力軽減:魔力の消費を抑える。
≪名前≫今野千佳
≪種族≫人族
≪年齢≫15
≪身長≫158cm
≪体重≫46kg
≪体力≫9
≪攻撃力≫8
≪耐久力≫9
≪敏捷≫11
≪知力≫8
≪魔力≫―
≪精神力≫10
≪愛≫1160
≪忠誠≫100
≪精霊魔法≫火:38 水:62 風:33 土:67
≪スキル≫道士:気功を操れるようになる。ただし魔法が使えなくなる。
≪名前≫大石諒
≪種族≫人族
≪年齢≫15
≪身長≫172cm
≪体重≫58kg
≪体力≫13
≪攻撃力≫12
≪耐久力≫10
≪敏捷≫13
≪知力≫7
≪魔力≫12
≪精神力≫10
≪愛≫230
≪忠誠≫50
≪精霊魔法≫火:56 水:44 風:39 土:61
≪スキル≫韋駄天:敏捷が倍になる。
≪名前≫門田卓
≪種族≫人族
≪年齢≫15
≪身長≫175cm
≪体重≫91kg
≪体力≫7
≪攻撃力≫12
≪耐久力≫12
≪敏捷≫6
≪知力≫8
≪魔力≫20
≪精神力≫11
≪愛≫190 ※二次元は除く
≪忠誠≫30
≪精霊魔法≫火:38 水:62 風:41 土:59
≪スキル≫反射:自身の耐久力と相手の攻撃力に応じて、精霊魔法以外の攻撃を跳ね返す。
≪名前≫山崎笑美
≪種族≫人族
≪年齢≫15
≪身長≫156cm
≪体重≫47kg
≪体力≫8
≪攻撃力≫8
≪耐久力≫6
≪敏捷≫8
≪知力≫8
≪魔力≫19
≪精神力≫12
≪愛≫580
≪忠誠≫40
≪精霊魔法≫火:55 水:45 風:57 土:43
≪スキル≫硬化:耐久力が倍になる。
とりあえずいくつかわかったことがある。
全員の身長と体重に注目していただきたい。
みんな、お腹空いてたんだね……。
実はグラコンダは移動する前に結構食われてしまった。
あとは全員のバックパックに詰め込めるだけしか残っていない。
そして、ピザはともかく、先生も他の奴らと同じぐらい痩せていたとすると、元が見た目よりも体重あるような……。
まぁ、黙っておこう。
次に知力だ。
先生を除いて10に達していない。
そして、先生は魔力が10に達していない。
これってもしかして……。
僕が気になったことをアナに聞いてみると、やはりそうだった。
「はい、『鑑定』の取得の条件は、知力と魔力が10以上、あと、知りたいと思う欲望、知識欲が必要なのです」
なるほど、ピザと眼鏡ツインテは、知識欲はあっただろうけど、知力が足りなかったのか。
それにしてもこいつら、魔力が高いな。僕も人のこと言えないけど。
あとはそう、見てて思うのは、スキルだ。
つっかえね!
硬化、反射、それに攻撃が聞かない液体人間って、タンク率おかしいでしょ。
だいたいみんな元のステータスの割合がどうのこうのだけど、初めから低かったら意味ないよね?
よくわからないのは委員長とピザだけど、そうだ。
委員長はさっぱり分かんないけど、ピザの方なら調べられるかもしれない。
僕はピザの後ろに回り、羽交い絞めにした。
「うぉっ! 何でござるか?!」
「凜華、こいつのお腹殴ってみて」
「「えぇっ!」」
二人同時に驚きの声を上げる。
ピザがなぜか嬉しそうなのは、きっと気のせいだ。
「えー、デレたと思ったらそんな理由ぅ? 門田のスキルって、殴ったらウチにダメージ来るっぽいじゃん」
「そ、そうなのでござるか。なるほど、いざ実戦でどれほどの効果があるかわからないから、永倉殿は試しておきたいのですな。では致し方なし」
うん、気のせいだ。
「やんなきゃ、もう二度と名前で呼ばないよ」
「わかったよぉ」
元ギャル子……もういいや、凜華で。
凜華はピザの前まで来ると、適当な感じで、それでも思いっきりピザの腹を殴った。
「ぐふぉっ」
「痛ったー」
ピザの体力が2減っている。
結構全力で殴ったね。
そして、凜華の体力も1だけ減っていた。あ、見ている内に回復した。
うん、使えない。
耐久力を超える攻撃を受けたら、こいつ自身死んじゃうしね。
反射するっていうか、受けた分のダメージを何割か返すっていう表現に近いのかもしれない。
あ、でも、攻撃力の高い敵に襲われたら、こいつを盾にすれば、こいつの尊い犠牲により、敵は倒せるかもしれないね。
うん、いざとなったらそうしよう。
はぁ、それにしてもイライラする。
それもそうだ。
僕とアナの愛の巣に、招きたくもない奴らを招待しているんだから。
僕は今、宝箱部屋で全員の『鑑定』をしていた。
あ、水女は除いて。別にいいって言ってたし。
アナをなるべくこいつらに近づけたくなくて、僕が『鑑定』していたわけだけど、結局アナは何人かに囲まれて談笑している。
何でアナは平気そうなんだろう。
今までずっと二人で過ごしてきた場所に、どかどかと土足で上がられて。
鉄の扉にハートマークと、その中に「ユーヤ アナ」の文字だって書いた部屋なのに。
それを「ボス部屋感が台無しでござる」とか、文句まで言われたっていうのに。
扉の中で復活していた骸骨騎士を即撃ち殺したけど、このイライラはどうやっても解消されそうにない。
「勇也きゅん、機嫌悪くなーい? ウチとふけっちゃう?」
「何? え、僕そんなに老けてる?」
何となくこの部屋で「年の割にダンディ」と言われたことを思い出してしまった。
「キャハハハ、勇也きゅん、やっぱり面白ーい。そうじゃなくって、抜け出して、どっかでイイことしちゃおっかって聞いてるの」
一度凜華の顔を見、次に露わになっている胸元もを見、天井を見上げて、僕は素数を数えることにした。
1、うん? 1は違うか。2、3、5、7、11、13、17、19……。
「もう、沖田さん、私の勇也君に変なことしないでよね」
貴女のじゃありません。23、29、31、37、41……。
「勇也君、何数えてるの?」
「素数です。43、47、51……」
「51は素数じゃないっしょ」
えっ? そうなの? しかも即答ですか? あ、ほんとだ。3で割り切れる。
まさか三桁いかない内にしくじるとは。
しかも、それを凜華に指摘されるとは……。
「勇也君もこんな時にまで勉強してるなんて感心しちゃうけど、沖田さんもすごいのね。だからかな、勇也君が沖田さんにだけ敬語使ってないのは」
いや、違うけど。
委員長が悲しそうな顔で僕を見つめていた。
「僕がこいつに敬語を使わないのは、こいつが僕の従魔だからですよ。それ以外の深い意味はありません」
「サーヴァント?」
僕は頷いた。
多分意味を聞いているんだろうけど、答えるつもりはない。
僕の能力をあまり人に教えるつもりもないし。
「永倉殿! それはどういうことでござるか!? 確かにずっと沖田殿の様子がおかしいとは思っていたのでござるが、まさか、永倉殿は調教系の能力者でござったか!?」
うるさいな、本当に。
しかし、その言葉を聞いて、全員が興味深そうに僕の方を見てきた。
「で、では、アナベルたんも、永倉殿の能力で虜にされているのでござるか!?」
「さぁ、どうでしょうね」
流してしまったけど、アナベルたんって……。
人の女を何だと思っているんだ。
「ち、違うのです。ユーヤの能力は、ユーヤの体を食べた者にしか発動されないのです。アナはユーヤの体を食べてはいません。クロはユーヤの体を食べましたが」
僕は溜息を吐いた。
アナってば、言っちゃったよ。
でも、まだ隠していることはいくつかある。
例えばステータスの吸収だ。
僕たちはこの階層に着いてから、僕の死体を使って……、うん、気にしちゃ駄目だ。僕の死体を使ってある実験をしていた。
その結果、僕のステータスは伸びたのである。
あれ? でも、凜華に食われた時は伸びなかったな。
うーん、隠しているつもりではあるけど、自分でも不確定な事ができてしまった。
「くそっ、やっぱり永倉はとんでもない奴だな。本当はアナベルちゃんや委員長にも何かしたんじゃないか。だって、委員長ずっと様子がおかしいぜ」
「別に何もしてませんよ。凜華がこうなったのは僕の能力のせいですけど、それだって凜華の自業自得ですし。だいたいアナとクロはともかく、他の二人を仲間にして、僕に何の得があるんですか?」
「お前っ! 委員長に失礼だろ!」
凜華はいいんだ……。
糸目は今にも噛み付かんと言うばかりの勢いで、僕を睨んできた。
そのまま殴り掛かって来てくれないかな。
そしたら、僕の命令を忠実に聞いてくれるクロが、パクッとしてくれるのに。
「お前は委員長の体が目当てなんだ。そうだろ!」
「もう、やめてよ。大石君。私が勇也君を気になっていたのは、日本にいた頃からなの。その時はそれが恋だって気付かなかっただけで」
「そうよ、大石君。恋愛は時に残酷なものなの。追ってばかりじゃ駄目な時だってあるのよ」
「そうだよ、大石。まともに恋愛なんかしたことない花ちゃん先生がそう言ってるんだから、諦めなさい」
「ちょっと、島村さん。後で二人っきりでお話し合いしましょうか。
ところで永倉君、彼方の能力って、いくつかあるの? 『取立て』っていうのも、使っていなかったかしら?」
しまった。
どさくさに紛れて忘れていてくれないかな、と思っていたけど、駄目だったみたいだ。
口笛で「ハンプティ・ダンプティ落下した」を吹いて誤魔化す。
うん、凄く無理があるぞ。
「教えたくならないなら、別にいいのよ」
先生はそう言って微笑む。
が、それでは収まらない人物が約一名いた。
「それは何なのですか? ユーヤはアナにも言っていない能力があるのですか? アナとユーヤの間で隠し事は良くないと思うのです」
「確かにそうね。夫婦の間にも隠し事の一つや二つある、なんて言うけど、そういうのが発覚すると、大体ろくなことにならないものね」
くそ、別にいいとか言っといて、アナに言わなきゃいけない流れを作らないでほしい。
アナに話してしまうと、ペラペラとこいつらにも話してしまいそうで嫌なのだ。
アナを信頼していないわけじゃない。
むしろ、信じている。アナは絶対にこいつらに話す、と。
なので、「ハンプティ・ダンプティ落下した」は二週目に入った。
「ユーヤ、アナたちもお話し合いなのです」
「もちろんいいよ。二人っきりでね」
「え?」
僕が笑顔で承諾すると、アナは不思議そうに首を傾げた。
「ちょっと待って。永倉君、彼方一体二人っきりになって何するつもり? ダメよ。先生そういうのは認められないわ」
「そうよ、勇也君。その、相手は人間じゃないんだし」
「そうよ、エロ倉、アンタこんな時に何しようとしてんの?」
「悪魔っ子と神父のイケない恋。あぁ、萌えるわ!」
何って、ナニですが。
あと、悪魔っ子も神父も、見た目だけだから……。
こいつらに止められようが知ったことか、と思い、アナを誘おうとするのだが、アナはなぜか恥ずかしそうにしてついて来ようとしなかった。
「あの、やっぱり、その、こうして、たくさん人もいることですし、少し控えませんか?」
眉間に皺が寄るのを止められない。
何で勝手についてきた連中に、遠慮なんかしなくちゃいけないんだ。
アナはそんなにこいつらとの関係を大切にしたいのか。
僕はアナさえいてくれるなら、それで良いっていうのに。
「クロ、来い」
「わんっ」
「え、どこに行くのですか?」
「狩りだよ、狩り。無駄飯食らいが増えたんだから、獲物を取らなきゃいけないだろ」
「あ、待って、ウチも行く。ウチなら役に立つでしょ」
「ふん」
僕はクロの背に跨り、さらに後ろに凜華が乗ったのを確認すると、クロを走らせた。
もう一秒でも長くここにいたくはない。
いつか抱いた、ずっと抱いてきた感情をまた再び抱き、クロに乗った僕たちは暗闇の中を駆けて行った。
「ねぇ、大丈夫だよ。勇也きゅんには、ウチがついてるからさ」
凜華が後ろから抱き締めてきた。
「僕の従魔の癖に」
「そうだよ。ウチはもう勇也きゅんのモノなんだよ。だから、泣かないで」
「泣いてなんかない」
誰が従魔に慰められて、泣いたりなんかするもんか。
僕が愛しているのはアナなんだ。
そうだ、僕はアナを愛している。
僕は自分にそう必死に言い聞かせたのだった。
次回8/23(水)20:00に第二十九話「誘惑されましたが、元鞘に収まりました。」を投稿します。タイトルは後々変更するかもしれません。
最近ツイッターを始めたため、宣伝のため一話投稿する可能性がありますが、ツイッターの使い方がさっぱりわかりません!
なので、急に一話増えてるかもしれません。できれば事前に予告したいですが。
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