4話
取り敢えず時間ないのでどうぞ
昨夜はお楽しみでしたね。
という展開は勿論なく、情報収集だけして代金だけ払ってそのまま帰った。
情報とは、モンスターの情報だったり、この国の情報だったり。
あ、そうそう、この国はカリーナが賊に支配されたとか言ってたけど、それについても無理やり聞きだしたところ、面白い情報が手に入ったのだ。
それは……
「師匠! おはようございます! 迎えに来ましたよ!!」
……朝からうるさいな。
「……何の用だ」
「そろそろギルドに向かいましょう!」
「んー……ケイ様?」
あ、グラントが起きちゃった。
「グラントはまだ寝てて良いぞ。……カズキは取り敢えず俺が出るまで黙っとけ」
流石にあんな大声で叫ばれたらグラントどころか、他の客にも迷惑だ。
苦情が来たらどうする。
「うっせーぞ!」
ドンドンドン! って壁を叩かれながら怒られた。
ほんとすみません馬鹿のせいで。
だけど、あなたも同じくらいうるさいのに気がついていますかね?
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「どういう仕事受けますか?」
「……任せるよ。良いのを取ってくれ」
ギルドに来たのは良いけれど、もう人はそれなりにいた。
リヒト王国の時よりはまだマシな人数だけど、それでも十数人はいる。
そんな中、いい依頼を取るのは疲れるけど、弟子がいるから楽できる。
グラントとかカリーナはギルドには連れてこないから頼めないし。
理由? そのためだけに連れてくるよりグラントに勉強させた方が効率良いしね。
どうせ依頼にも連れて行かないのに受けるためだけに呼ぶのは非効率だ。
「これなんてどうですか?」
えっと……護衛の依頼か。
報酬が高いのが気になるが、酒場に行った時にリヒト王国よりも高い気がするから、多分この街、もしくは国は物価が高いのだろう。
まぁ高いと言ってもリヒト王国での事基準であり、この国での基準では適正かどうか分からないけど……
「まぁそれでいっか」
「分かりました。詳しい話を受付で受注時にするそうです」
じゃあ早速行くか。
運良く空いているところがあるし。
「護衛の依頼ですね。この依頼は色々な商会が集まって月に一度あります。そして、依頼期間は1週間、2日後から始まります。飲食類は各自用意するようにとのことです。日の出と共に出発するそうなので遅れないようにしてください」
「はい、分かりました」
2日後まで暇になったな……
何をしようかね。
「修行しましょうよ!」
そんな心を読んだが如く、修行修行とうるさいカズキ。
でもなー俺はゆっくりしたいんだよな〜
「少しだけで良いので! 一時間ほどで良いので!」
いや、街から離れるのにそれなりに歩かないと行けないから一時間ほどなら修行なんて全然できないだろ。
……まぁいっか。
砂漠での戦い方を考えないといけなさそうだからな。
「じゃあ少しだけだぞ」
「はい!」
元気だな〜そんなに嬉しいのか。
……いや、俺の方が元気なさすぎなのか。
まぁどっちでも良いけど、取り敢えず行きますか。
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魔術……魔法とは、想像力を魔力を用いて使うものだと考えている。
実際、それで想像通りに発動していることから間違っていないのだろう。
それで、想像通りに創造して火を出したり水を出したりして魔法を使っている。
だが、やはり創造するよりはその場にある方が魔力を少なくして魔法を使えるので、魔力消費を抑えるのならその場にある水や土を使えば良いのだ。
まぁ俺の場合、魔力に限界はないから使いたい放題だけど、魔力を消費したらその分疲れるのは人と変わってないらしいので俺も魔力消費は抑えた方が良いのだ。
結論から言うと、
「ここは魔法師の庭だな」
砂漠だから勿論地面は砂であり、土と違って簡単に手でも取れるほど柔らかく、また量も段違いにある。
土魔法を使って砂を操作し、砂で蛇を作ったりする事も可能なのだ。
それは、普通に創造して作ったのと比べて3割近くも変わってくるので、やはりその場にある物を使った方が効率が良い。
「ということだから、カズキも砂を使ってドラゴンとか作ってみろ」
「いや、自然物のものって操作難しいんですよ?」
「そうなのか?」
カズキ曰く、自分で創造したものの方が魔力が馴染みやすく、消費魔力量が増えても制御が楽な方が使いやすいそうだ。
「じゃあ更に修行に励め。修行とは強くなるためにやるもんだからな。」
つまりは、ラクに魔法使いたいから消費魔力量が多くなっても創造の方使ってるんだろ?
それだと使える回数が変わってくるから、やはりその場にある物を利用する方が良い。
「じゃあ、取り敢えず三十分くらいは維持させろよ」
「そんなの無理ですよ!」
「無理を可能にするのが修行だ」
いや、多分違うけど。
まぁとにかく、俺は俺の方で砂漠での戦闘を考えないとな。
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