44話
さっき言ってた二回目のやつです。
それはいいとして、そういえばバレンタインですね。
正直私は男でもモテるわけでもないのでチョコはもらえないのでそこまで重要視してないイベントですが。
11日か14日かさえ忘れているくらいですからw
ということなのでチョコもらった人、もしくはもらう予定の人。
リア充爆発しろ!
と、まぁお約束の言葉も言えたし、本当に眠いので今回後書きなしで行きましょう。
それでは、どうぞお読みください。
『そこにいるのはサキュバスと呼ばれる悪魔ですね。あなたならご存知でしょう? 日本人さん』
「!」
確かにサキュバスは知っている。
ファンタジーの世界によく出てくる別名淫魔とも呼ばれるやつで。
フェロモンだかなんだかで男性を誘惑して性を奪うようなやつだったはず。
アウラは女性だから誘惑にかからないはずだけど今はそれどころではない。
この声の主は今日本人といった。
地球に魔法なんてなかったから異世界なのは確実なのに、こいつは断定するかのように日本人だと言った。
つまり……
「そっちこそ同じ日本人じゃないのかな?」
どうやってこっちが元日本人だと分かったのかは謎だが、それでも日本というワードを知っている以上向こうも同じ転生者じゃないとおかしいだろう。
いや、もしかしたら日本人じゃなくて外国人という可能性もあるけど、これはただの俺の希望だ。
別に人種差別とかそういうのじゃなく、同郷の方が馴染みやすいからな。
あのゴブリンのソラのように。
『ええそうね。と言ってももうそれは遥か昔のことよ。この世界にきて凄く時間がたったし』
確かにこのダンジョンは古くからあるらしいし、ずっと同じダンジョンマスターだったのならあり得るな。
ただそうなるとダンジョンマスターが人間じゃないのはいいとして、寿命はどのくらいあるんだ?
年齢は気にしない方向でいかないとまずい気がするので黙っておく。
「とりあえず、姿とか見えないんで現れてもらってもいいですか? なんか落ち着かないですし」
『私も同郷の人とは久しぶりすぎて話したいのでいいですよ』
そういってダンジョン内がいきなり暗くなり、この部屋のダンジョンの真ん中に一筋の光が現れた。
そこから天から神が降臨するかのように眩しい光を放ちながらゆっくりと天上から降りてくる。
……天井付近に隠し部屋でもあんのかな?
「……楽しかったですか?」
「ええ、こういうのって中々楽しいわよ」
そうして現れたのが二十代前半くらいに見える女が現れた。
なお、実年齢は不明。
「いや、無駄な演出で用意するの面倒じゃないですか?」
「ダンジョン内のことなら大抵は簡単に操作できるからあれくらい手間じゃないですよ」
「その操作って魔物の操作とかもできるんですか?」
「あら、もう普通の会話はおしまい? 久しぶりだからもっと楽しみたかったんだけどなー」
さっきのサキュバスとは違って、自然な笑みをしているダンジョンマスター。
……名前まだ聞いてなかったな。
「ダンジョンマスターとか長いから、名前とかないの?」
「……名前ね。私にはそんなのないわね。実際、こうして話すのも前世以来だし」
「なんと。それは所謂ボッチというやつだったのか。それは可哀想に……」
「可哀想にって言いながら笑っているのはどうかと思うんだけどなー」
「いえいえ、大丈夫ですって。俺も友達と言えるほどなのはこの世界にも地球にも一人しかいませんから」
「……それはそれであなたが心配だわ」
「同情するなら金をくれ!」
「それは申し訳ないけど無理ね。現金は一円も持ってないの」
「……この世界の単位は円じゃなくリルですよ。本当に一リルも持ってないなんて……」
「あら、そうだったの? 外に出ないから分からなかったわ」
「更に引きこもりだなんて……大丈夫ですよ! 外は魔物で一杯、町はガラが悪くて剣だの弓だの持ったお兄さんが一杯いるけど怖くないよ!」
「それは物騒すぎて怖いわよ……」
……
「なんか楽しいですね。こうしてふざけるのも久しぶりです」
「確かにそうね。数少なく覚えている有名なセリフが聞けて楽しいわね」
「そういえば、人里に下りたりしないんですか?」
「私が下りた時にここに誰かが入ったら私は死ぬらしいし諦めてるわ」
「だれか見張りとかに置けないの?」
「私はダンジョンマスターよ? まず宝を取られないようにしないといけないから殺しにかからないといけないし、そんな相手に友好的に接してくれる人は何人いるかしらね」
俺とか、俺とか。
うん、一人だな。
「どうして誰かが留守中に入ったら死ぬんだ?」
「私がいないとここのダンジョンの機能が全停止するからよ。原則、ダンジョンは物理的に攻略不可能なものを作れないから、扉とかに触れられた時点で違反したとみなされちゃうのよ」
ダンジョンにルールがあるとかなんだそれ。
「なんでそんなルールがあるんだ?」
「私にもよくわからないけど、転生するときに神様がそう言ったのよ」
つまり、チートはダンジョンマスターとかなのかな?
「チートとか何かもらった?」
「内容は忘れたけど、何か質問されて、それで神様がこれに向いていると言われて」
「ダンジョンマスターになった?」
「そういう事。チートと言われればそうかもしれないわよ」
ダンジョン限定だけどね、と苦笑する。
確かにダンジョン内限定と言われてもあまり嬉しくはないな。
「じゃあこっちが日本人だと分かったのも?」
「ええ、ダンジョン内にいればその人のプロフィールが見れるからどこ出身とか書かれてて得意なこと、苦手なことなんかも分かるわね」
それは便利なのかどうか微妙だな。
「使い勝手は?」
「中々いいわよ。相手の残りの魔力量だったり、毒や気絶とかそういう状態も分かるし。……ねぇ、アウラさん?」
倒れたままになっていたアウラがピクッと動いた。
本当に分かるのか。便利だな。
「起きたなら声をかけてくれればいいのに」
「……状況把握のために気絶のふりをしていた」
「どこまで覚えてる?」
「……この部屋に入ってからの記憶がない」
なるほど、確かにこの部屋に入ったのは覚えてるけど自分が倒れていたこと、そして俺が誰かと話していたから大人しく状況把握しようとしたのか。
俺も同じ立場ならそうするな。
「アウラはサキュバスに魅了? されてたから強引に気絶させたけど……どこか痛いところとかある?」
「問題ない」
それは良かった。
気を遣う余裕なんてなかったからドサッて倒れた時は心配だったけど本人が言うなら問題ないだろう。
「……ただ魔力が残り少なくなっている」
「ああ、最初に普通に拘束でもしようとしたんだけど、アウラが魔術使って抵抗したからそのせいじゃないかな?」
魅了でも洗脳でもどっちでもいいけど、恐ろしいよな。
敵を操るとかこっちの被害はゼロなんだし。
……一応、出来るように練習してみようかな?
いや、練習するだけで人じゃなくて魔物にしか使わないよ?
そんな非人道的なことなんて俺はしないよ?
「そういえば、サキュバスの魅了って女もかかるもんでしたっけ?」
「この世界では特に問題はないみたいですよ」
「どっか後遺症とかないですか?」
「その点なら心配せずとも大丈夫ですよ」
それなら安心だ。
「でも、なんで俺にはかからなかったんでしょうかね?」
「多分、同じ転生者には効かないんでしょう。あなた達と同じくらいに私たちと同じ日本人の方が来たのですが、無限ループから出ないでイチャイチャしていてムカついたので先にサキュバスを送り込んだのですが……」
なるほど、効かなかったわけね。
というか今いたんだ転生者。
そいつとも話してみたかったなー。
「男一人の女三人というハーレムパーティーだったので楽勝だと思ったのですが……女三人には効き目があったのですが、男が何か話すとその男のほうにメロメロになってしまって誘惑が効かなかったんですよ」
「リア充爆発しろ!」
「「……?」
なんか二人から可哀想なものを見る目になってる……
「いや、俺の国ではそうやって言うのがお約束ってやつなんだよ」
「あーそうそう、確かにそんなのがあったわね」
「……変なの」
最初に言って広めた人って誰なんだろうな?
今や小学生でさえ知ってそうなくらい有名な言葉だからな。
「んじゃ、そろそろ報酬の話に入ってもよくない?」
「ああ、そうでしたね。それならもう用意は出来ていますよ」
そして指パッチンしてまたさっき出てきた時と同じような感じで天から箱が降ってきた。
箱自体が普通なのも演出の豪華さと違って目立つ。
「いやもうそれはいいから」
「まったく、長い人生なんだからそう生き急がなくてもいいのに」
「俺はそれでもいいけど、そろそろアウラが限界そうだしな」
体に異常はないのは確認済みだけど、魔力切れは問題の解決しようがなかったので放置。
普通ならそれでもいいんだが、ここはダンジョンであって普通ではない。
魔力の回復が遅いから魔術師にとってダンジョンとかには行かない人も結構いるらしい。
「じゃあ先外で待ってる? もうすぐ終わるけど、逆に言うとすぐに終わっちゃうから今行っても問題ないよ」
「どうするアウラ」
「……お言葉に甘えさせてもらう」
「そう。じゃあお別れだね。機会があったらまた会いましょうね」
指パッチンでアウラが消えた。
足元に魔法陣があるし転移魔術かな?
是非とも教えてもらいたい。
「じゃあはいこれ。なくしちゃだめだよ?」
「子供じゃないんだから大丈夫だって」
「こういうやり取りすると前世を思い出すな」
「ええそうね。今はもう年月が経ちすぎてほとんど残ってないけど、でも懐かしい思いはするわね」
「じゃあそろそろ行くわ。アウラフラフラしてたし心配だからな」
「それじゃ楽しい時間だったわ。ありがとね」
「こちらこそお世話になりました」
なんか微妙に違う気がするけど気にしちゃいけない。
「じゃあ地上に送るね」
指パッチンが再び聞こえたと思ったらダンジョンの入り口にいた。
本当にこれ便利だな。
指パッチンできるようになったら使えるかな?
おっと、そんなことよりもアウラ探さないとな。
「おーいアウ……」
アウラはすぐに見つかったけど、誰かが話しかけていた。




