38話
この時期ってどうしてこう毎年忙しいんですかね……という言い訳をしてみる作者。
いや、忙しいのは事実ですけど、やりたい事も一杯ありすぎて小説にまで手が回ってませんでしたすみません。
今回は閑話に近い内容ですが、魔法の設定的な事もあって、作者は魔法が好きなので閑話にしたくないので普通の話にしました。
なので読まなくても話しの展開が分からないとかは無いのですが
是非とも読んで頂きたいという事で……どうぞお読みください。
そんなこんなで一ヶ月くらいたったころ。
一日依頼をやって次の日は休みと二日に一回のペースで依頼を受けていた。
働き者の冒険者ではこのペースは当たり前なんだそうだが、普通は三日に一回とか、中には五日に一回という人も居るそうだ。
このペースはランクが高くなってくるごとに休みの間隔が長くなる傾向らしく、Aランクほどになると一ヶ月に一回受けるかどうからしい。
まぁそんな高ランクが毎日働かなければならないほど依頼があったらとっくに滅んでそうだから納得だ。
しかも、高ランクだからこそ依頼料も高いので、つきに一度の仕事で普通に暮らせるとか。
こっちは金欠だというのに羨ましい……
閑話休題。
そんなわけで、結構なハイペースで依頼を受けたわけなので、一週間前までは百万貯まってました!
……そう、一週間前だけど。
今は、あのファンタジーお馴染み? の『アイテムボックス』を買っちゃったので三十万前後くらいしか持ってない。
この世界では『アイテム袋』と言うらしく、大きさも小中大と三種類もあるらしい。
ただ、その値段が小でも百三十万くらいするらしくて、とても高い。
だけど、小でも一tくらいは入るらしいので良しとしておこう。
そんな高価なものだが、百万で買えたのはアウラのおかげだ。
買う前にはもうランクがAに上がっていたらしいのでギルド割引で三十万は引いてくれたのだそうだ。
こういう時ってランクあるのはやっぱりいいよねー。
……BからAになるのに試験とか必要なはずなんだけど何時やったんだろう?
ちなみに、俺も格上のCランクの依頼とかBランク、最低でもDランクを一か月もやっていたのでランクはCランクになってたりする。
まぁとにかく、そんなわけで今まで依頼で出た死体(人じゃなくて魔物だよ?)はアウラのアイテム袋小に入れていて、本来死体の値段は全部アウラで当然なのに二割くらいは貰えてたのが、四割に増えて更にお金が増えていったりとアイテム袋はやっぱり買っておいてよかった。
え? 何で五割じゃないかって? そんなの決まってるじゃん。
今まで二割も貰ってたんだし、増えただけ文句は言えない。
更にアウラは元Bランク。その実力のおかげで高いランクのも出来てたわけだしこれ以上望んだらどこかで罰が当たりそうだからだ。
天罰ではない事は確かだけど。
「そういうわけで、魔法を教えてくれない?」
「……どういうわけ?」
お金も今すぐ必要って程ないわけじゃなくなったし、独学の俺からしたら魔法を何年も使っている人に話とか聞いてみたい。
「……ケイに教えるのは無意味」
「いや、無意味って……まぁそんなことは良いんだけど、教えてほしいのは俺じゃなくて他に居るんだ」
「誰?」
「俺の奴隷」
「……いたんだ」
「うん」
あれ、会った事なかったっけ?
今普通に言っちゃったけど大丈夫か?
何か軽蔑とかされたら普通に落ち込む。
「嫌なら別に良いんだけどさ」
「……依頼としてなら受ける」
「本当!? じゃあ十万ほどでどう?」
アウラはAランク、しかも『暴風』とまで言われるほどの魔術使いだ。
受講料はもっと高いのかもしれないが、これ以上は生活費とか念のために残しておきたいお金とかで余裕がない。
「……それにご飯付けてくれるなら」
「ああ、それでいいよ。ありがとう!」
ご飯も奢ることになったが、まぁこれくらいなら良いだろう。
……高級料理とか食べたらどうしようか?
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「というわけで、今日は魔術の先生呼んだからいつもの勉強は中止で、魔術の勉強をさせるから」
「かしこまりました」
「と言っても、俺も今日は一緒に聞いてるけどね。カリーナはどうする? 今日くらい自由にしてもいいけど」
「いえ、私も魔術は使えないので一緒に聞かせて貰います」
「わかった。じゃあ呼んでくるから待ってて」
そういえばカリーナとグラントに休みとかあげてなかったな。
一ヶ月以上毎日朝から晩まで勉強……
うん、流石に奴隷だからって可哀想だし一週間に一回くらいは休みを入れさせた方が良いだろう。
真面目に頑張っていたわけだしそれくらいはね。
部屋のドアを開け、扉の前に待機してもらっていたアウラを呼ぶ。
「じゃあアウラ、入ってくれ」
「……最初から入れてくれればいいのに」
こういうのは最初が肝心だから入ってダラダラしてるとずっとその調子になるから仕方がない。
「んで、今日魔術を教えてくれるアウラ先生」
「よろしく。……先生って言わないで」
「今日は先生なんだし良いだろ?」
少し嫌そうにしてるように言ってるが、本当は嬉しいはずだ。
一ヶ月以上付き合ってきて大体の性格は掴めたし、これくらいなら怒る事もないだろう。
「じゃあ二人とも自己紹介して」
カリーナとグラントに促す。
「カリーナと言います。本日は態々足を運んでいただきありがとうございます」
「グラントです。よろしく……お願いします……」
? 何かグラントがおとなしいな。
体調でも悪いのか?
だが折角呼んだんだし、少しくらいは我慢してもらおう。
「よし。じゃあアウラ先生、早速お願いします」
「ん。先に言っとくけど、私も完璧に教えられるわけじゃない。だから、魔術が使えるようになるかどうかは五分五分程度なのを分かっといて」
まぁ先生じゃないんだし、教えられるだけいい方だろう。
俺? 俺は当てになんないだろ。
基礎さえ知らないど素人だし。
「魔術とは、自分の体内にある魔力を使って魔術を使う。この魔力の量は人それぞれ。そもそも持たない人も結構いる」
うんうん。ここら辺は何となくわかる。
「魔術を使うには基本、その魔術に合った詠唱を唱える必要がある」
これも何となくわかるかな。
ただ、詠唱はその魔術に合ってれば何でも良いらしい。
だって俺何の詠唱も知らないけど発動してるし。
「今ここで見せても良いけど、室内だし今回は生活魔法を教えることにする」
俺はもう全部使えるようになったけど、二人はまだ使えないしいい機会だな。
「生活魔法とは、過去に召喚された勇者と言う人物が作り出した魔術で、その便利さと、誰にでも使えるという事から生活魔法と名付けられたらしい」
本当この魔法は良い。
例えば『クリーン』なんて風呂に入ってなくても綺麗になれるし、壁とか汚れてても使えば綺麗になったのを確認している。
服に使えば洗濯したのと同じになるので、ある意味一番使う魔法だな。
「質問良いですか?」
グラントがアウラと俺を交互に見ながら聞いて来る。
うん、向上心が合って俺は嬉しいよ。
頷いてあげたので質問を続ける。
「魔術と魔法の違いって何ですか?」
おお! グッジョブだぞグラント!
俺が知りたかったことを聞いてくれるなんて!
後で何か買ってあげよう。
「国によって言い方が違うだけ。この国では魔術。他の国でも魔術とも言うけど、魔法と言う国もある」
「じゃあ生活魔法は生活魔術ではないんですか?」
「生活魔法は勇者独自がそう命名して広まったから生活魔法と言われる」
「私からも良いですか?」
今度はカリーナか。
「魔術と魔法は呼び名が違うだけで実質同じって事ですよね?」
「そう」
「じゃあ、この生活魔法も魔術なのに、どうして誰もが使えるのですか?」
ん?
「どういうことカリーナ?」
「魔術は魔力を消費して使うのですよね? なら、その魔力をもってない人もいるのに、誰もが使えるというのは矛盾していませんか?」
「そう言われると確かに……」
頭良くねカリーナ。
これは本格的に勉強とかさせたら結構役立つんじゃないか?
「そこが今学者の間で最大の謎と言われてる一つ。今の所最も一番近いと言われている学説が『誰しもが魔力を持っているが少なすぎる人は存在を確認できないだけであって、生活魔法はその少なすぎる魔力でも使えるようにした魔法ではないか』……らしい」
つまり、誰にもわからないって事か。
まぁ分からないからって使えないわけじゃないんだから何でもいいか。
「わかりました。話の途中ですみません」
「す、すみません」
「……問題ない」
うんうん、向上心あるのは問題ない。
これで魔法が使えるようになったら更に良しだ。
「……じゃあ今回は『クリーン』の魔法を教える」
うーん……ここら辺はもう聞かなくてもいいか。
問題なく使えるし。
じゃあ俺はこれから魔法創造しよう。
魔法創造って言ったらなんか凄そうだけど、要はどんな魔法が有用かというのをシミュレーションして、使えそうならその魔法を想像して使ってみるってだけなんだけどね。
今までの魔法も全部ここから……というかテレビのアニメのを参考にして想像して使えたので、自分で考えた魔法もやってみようということだ。
ただ、今回は室内だし直接的な物は控えよう。
ということで今回は援護系とかそこら辺かな?
援護と言えば初めに思いつくのは『付与』だな。
これを属性付けて武器に付与すればその属性をその武器が持つことになるし。
身体に付与するなら筋力が上がったり、動きが早くなったり、硬くなったり等、様々な効果がある。
こんな感じの援護もあれば、『探索』という自分の魔力を薄く辺りに伸ばして、引っかかった生物の位置が分かるようなやつもある。
こう考えると、もう色々と考えてるんだよなー。
「……こんな感じ。クリーンに詠唱はないから、イメージをして」
「は、はい」
グラントは頑張ってるな……
なんか、こう、邪魔しちゃ悪いんだけど、でも邪魔したいという感情が湧き上がってくる。
……対象にだけ聞こえる音波とか使えそうじゃない?
ほら、蝙蝠とかって確かそういうの使ってなかったっけ?
物は試しだ。確か若い人だけに聞こえるという音が合って高音なほど年寄りには聞こえない……はずだ。
えーっと……なんかいい名前が浮かばないからまんまで良いか。
『高音』
……発動はしたはず。
魔力が減った感じがするし。
じゃあこれは高すぎて俺には聞こえないとか?
三人を見てみても、特に変わった様子はない。
……いや、なんかアウラがこっちを睨んでいるような気もする。
そういえば、アウラは魔眼保持者だったな。……保持者って響き良いね。
確かアウラの魔眼は魔力の流れを読むとかなんとかだったはず。
じゃあなにかしら使っていたって事はばれるし、今日はもう止めとくか。
「……出来た!」
おー、一部分だけが他の壁と比べて若干綺麗になった……気がする。
まぁでも、周りと違うって事は発動はしたって事だろう。
カリーナは……うん、出来てるな。完璧に。
本当何でも教えればスポンジの如き勢いで知識を吸い込んでいくんじゃない?
「三人とも、そろそろ昼になるから昼飯食べに行こう」
「ん。じゃあ昼食の後にこの続きをやる」
「はい! 先生!」
「はい。ありがとうございます」
最初と比べてグラントは元気になったな。
というかアウラに懐いてるようにも見える。
……俺も少しは尊敬されるように頑張ろう。
昼食はそこら辺の店で適当に食べ、午後の部も暗くなり始めた時で終了となった。
グラントはあれから練習したが完璧まであと少しというところまで来てた。
カリーナは他にも『ライト』を使えるようになっており、何ていうか……うん。言葉がもう出ないや。
「じゃあ今日はありがと。おかげで二人も使えるようになったし」
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました」
「……ん。依頼だから」
初めて照れてる所を見て笑ってしまいそうになったけど、必死にこらえる。
また何時かお願いした時に来ないかもしれなくなるし。
「送ってこうか?」
「問題ない」
「じゃあ明日依頼はどうする?」
たまに予定があるとかの時は俺一人で受けているけど、その時はどうしても受けれるランクが下がるのでいてくれた方が戦力的な意味でも心強い。
「……明日はやる」
「分かった。じゃあまた明日」
「ん」
「先生さよなら! また来てね!」
「本日はありがとうございました」
「ん」
相変わらず無口だけど、やっぱり教えに来てもらってよかったな。
「ケイ様はあの人といつも依頼を?」
「そうだよ。まぁたまに一人の時もあるけどね」
「どんな依頼受けてるか教えておしえ……てください」
ここ一か月近い間に敬語は出来るようになったが、こういう時は忘れるらしい。
まぁまだ子供だししょうがないか。
「じゃあ夕食の時にでもね。それと、俺は別に敬語じゃなくたって良いんだよ?」
前半はグラントに、後半はカリーナに向けて言う。
「そういうわけにはいきません。主と奴隷ですから」
「まぁ何でもいいけどね」
これは本心だ。
別に敬語だろうがタメ語だろうが基本俺は気にしない性格だ。
中学の時、よく同級生が「あいつタメ語で話したぞ」「うわーこれは俺らが教育すっきゃないっしょ」みたいな会話も聞こえたが、何で敬語じゃなきゃダメなんだろうね? たかが一歳しか変わらないのに。
まぁこれもどうでも良い事か。
「じゃあ早いけど夕食にするか」
「やったー!」
「分かりました」
今は、このアウラを連れてきたことで何か二人との距離が近くなった気がすることを喜んでおこう。
……カリーナはともかく、グラントは近くなったと思いたい。
一応、次回から話しの展開が動き出す予定です。
予定は未定とも言いますが、プロットないこの小説ではどうなんでしょうかね……
神からの信託とかないですかね……
あ、そうそう。この話の途中にあった音の話、あれは「モスキート音」と言って、実在しているので、暇があったら脳年齢ならぬ耳年齢を試してみるのも面白いかもしれませんよ?
特に学生の人は、学校とかで友達とやってみると意外と盛り上がるかもですよ?
……作者は実年齢+10歳で落ち込みながらこの小説書いてました(笑)
という事で今回はここまで。
次回も又お読みください!




