36話
trick or treat!!!
今日は偶然にもハロウィンですね。
まぁそれがどうしたと言われればそれまでなのですが……
あ、もちろんこれは悪戯で前書きだけ書いて本文は無いというわけではないのでご安心をw
そういわけなので、安心して続きをお読みください。
今日からまた依頼を受ける冒険者生活の再会だ。
昨日一昨日と二日連続で休んだようなもんだから、学校生活が懐かしく感じながらもギルドに向かって歩いていく。
まぁ懐かしいと言っても、学校面倒だったな〜とか、休みが少なすぎんだよ! 週ニじゃなくて週五にしろよ! と思ったりもしたな〜という感じだけど。
学生の人だったらこの気持ちわかるよね?
無駄な事を考えながらも足を動かしていたのでギルドに到着。
今日はアウラと待ち合わせしているから普段なら早速掲示板の方へ行くが、今日はギルド内にある食事も提供している酒場(どのギルドもこういう構造であり、皆酒場と呼んでいる。まぁ実際見たことあるのはここでニ軒目だけど)の方へと足を向ける。
自分で言うのも何だが、見た目弱そうな男が朝から酒場の方へと足を運ぶとそれまで飲んでいた男の注目を集めるわけで。
その視線のせいで緊張しながらもアウラが来ているか確認する。
「おーいおい兄ちゃん。朝から飲むのはやめてーた方がいいでー?」
そういうあなたはどうなんですかねー。
怖いから直接は言えないがそう思ってしまうのも仕方ないだろう。
「いえ、飲むんじゃなくて人と待ち合わせのためにこっちに来ただけですので。ご忠告ありがとうございます」
今の時間は早朝。
冒険者の殆どはこの時間にギルドに来るので、掲示板前とか受付は凄い並んでる。
そんな人混みではどうせ見つけられないからとこっちに来ただけだ。
アウラには言ってないことだが、まぁ入った時にこっちから見つければ問題はないだろう。
「おめぇー……なんだ。その言葉、お偉いさんなのか?」
「いえ、違いますけど」
「なんだよビビらせやがって! まぁそれなら良かったからいいか」
おお、朝から酒飲むだけあって心が広いなぁ。
いや、それは関係……あるかな?
うん、そこは人それぞれの考えで変わる答えだから結局正解は1つではない。
この問題は置いとくべきだろう。
「おじさんは何で朝から飲んでるんですか?」
「俺かぁ? 俺はぁ酒が水代わりだからよ」
「え? 酒が?」
「おう、俺はドワーフだからな。こんな身長だから誰も最初は俺をドワーフとは思ってくれないけどな」
そう寂しげに言いながらジョッキのエール? を飲み干す。
ドワーフ。ファンタジーでよく出る種族であり、鍛冶が得意であり酒が好きで低身長。
これがこの世界でも当てはまるのならば、確かに目の前のおっさんはドワーフには見えない。
身長は180ギリギリない俺とほぼ同じか少し低いくらいであり、確かにこの世界だと低い方かもしれないが低身長と言うほどでもない。
「つまり、ハーフってやつですか?」
「おう、そうだ。巨人とドワーフのな。背が高いのと低いのが子供作ったら俺みたいになるらしい。そのせいで子供の頃は苦労したぜ」
苦労したという割には笑いながら酒飲んでいて苦労したのかどうか謎だが、まぁ朝から重い話を聞きたくないのでこれ以上は聞かない方が良いだろう。
「それは凄い苦労されたでしょうね。それでもこうしてまともな大人になれたのには尊敬するほどです」
「いやーそこまで言われると照れるな」
心にもないこと言ったが、まぁその苦労話によっては本当に尊敬するかもしれないので嘘100%ではない。
よってセーフ。
「じゃあ俺は人と待ち合わせしてるのでこれで」
「おう、そうか。今度会った時に夜なら酒奢ってやるよ」
「楽しみにしておきます」
結局アウラを見つけられなかったが、まぁ入り口近くで邪魔にならない場所に居れば問題ないだろう。
♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢
それから少ししてアウラがやっと来た。
「おーいこっちだこっち」
向こうも気づいたようでこっちに来る。
「待った?」
「結構待ったな」
多分30分くらい。
「……そこは待ってないとかじゃ?」
「俺は常に正直で居ようと思ってね」
まぁ待ったけどそこまで気にしてるわけではない。
何故なら時間指定はしてなく、この日の朝ね位しか決めていなかったからだ。
携帯とか腕時計がないこの世界、こういうのは割とあるらしいので仕方ないだろう。
ちなみに俺は今までパーティ組んだことなかったので、その情報はクエスト何やるか悩んでいる時に近くにいた人から聞いた情報だ。
聞いたと言っても他の人と話していたのを盗み聞き……いや、聞こえちゃった物だ。
意図的に聞こうと思ったのではない事だけは確かだ。
「それで、何やる? それともソロでそれぞれ分かれてやる?」
言ってて気づいたが、俺は組む気満々でいたけどアウラはどうだったんだろう。
これでもし「ソロ」とか言われたら恥ずかしすぎてやばい。
「? 組むんじゃないの?」
「ま、そうだよな。でないと態々集まったのも無駄になるしな」
そうだよ、ソロでやるなら集まる理由はないし、アウラも組む気でいたみたいで良かった。
「じゃあ何やる?」
「……そういえばギルドランクは?」
「Eだけど……」
「そう。貸して」
言われた通りに渡す。
それを持って空いている受付に行き、何かを言ったら俺のカードが持ってかれてしまった。
多分、パーティ組むのにあーいう手続きみたいなのが必要なのだろう。
じゃないと他に理由はないし。
暫くしてアウラが戻って来た。
「……」
無言でカード渡してくれたが、カードには変化などが一切見られない。
「パーティ申請でもしたのか?」
変化は見当たらないので聞いてみるしかない。
「それもある。後、ランクをDにした」
「は?」
ギルドカードにランクが出るのはB以上(アウラのカードは銀色なのに比べて、俺のカードは一向に赤のまま)らしいので、気づかなかったのも仕方ないだろう。
「それは嬉しいんだが……普通、こういうのって試験とか受けるんじゃないのか?」
「……Bランク以上は、Dランクまでなら上げていい決まりになってる」
「いや、でもそれをするのに何かアウラが損しているんじゃないか?」
「条件はあるけどケイは問題ない」
「そ、そうか……まぁありがとな」
その条件は聞きたいけど聞いてクリアしてなかった時が怖いので聞かないでおこう。
「それで、DランクとBランクが組んだってことはパーティランクはCランクって事で良いのか?」
「そうなる」
パーティランクとは、パーティ組んだ人のランクを平均化したランクだ。
CならBとDも受けることが出来るので丁度良いと言えるだろう。
なので、極端な話しAランクとGランクが組んだらDランクってことになる。
まぁその場合、Aランクにもなると間違いなく有名になるので(粉砕などが良い例)、無名な新人がいても周りからの怒り(自分たちは一から頑張っているのにテメーは寄生かよみたいな)を買うと思うので誰もしないだろうけどね。
そもそも、そんな新人がAランクと組むことは無いに等しいか。
「……で、結局何受ける?」
「……さっき良いのがあった」
いつの間に掲示板に行ったんだか。
「どういうやつ?」
「フォレストリザード討伐。難易度C。報酬は25万リル」
2、25万リルだと!?
そ、そんな馬鹿な話が……
俺が今まで受けてた依頼の最高額が10万ちょっとくらいだったのにその二倍!
……そんなに強いのか?
「俺は知らないんだけど、アウラはその魔物のこと知っているのか?」
「……ロックリザードの上位種。その硬さはロックリザードよりも上であり、土魔法のエンチャントが使える個体がいた場合は鋼並みの強度と言われている。主に肉などを食べる」
めっちゃ詳しいなアウラ。
ロックリザードならゲームでやったことがあるから分かるし、きっとフォレストリザードもそんな形状なんだろう。
ただ、ロックリザード、つまり岩より硬いとか大丈夫か? などと思うが、俺たちは魔法主体なので問題無いとも考える。
結論。
「じゃあそれ受けようか」
「ん」
受けることにしました。
べ、別に金で釣られたわけじゃ無いとも。
そう、大丈夫だと判断したから受けるのだ。
そこを勘違いしないで欲しい。
誰に言い訳するでもなく、アウラの後ろで依頼を受付に持っていくのをついて行く俺なのでした。