34話
謎々です!
人間、毎日襲われて、しかし勝つことは滅多にない物はなんでしょう?
正解は小説の後で!
ついに買ってしまった。
しかも二人も。
これから一緒に暮らすとなると、大丈夫かなーっていう不安もあるけど、もしだめでも駄目じゃないようにするか、会うことがないようレストランで言うコックみたいな感じの配置にしよう。
まぁきっと大丈夫だとは思う……思いたい。
やっぱり心配だが、結局今の所分かるわけもないので先送りにしておこう。
時刻は多分昼過ぎ。
だから、丁度良いし そこら辺の露店で昼飯を買っちゃおう。
宿だと朝と夜にしかご飯ついてこないし、戻って連絡する必要もない。
「らっしゃーい。何本いるんだ?」
「十本買います」
「じゃあ四千リルだな」
カードを出してカード同士を当て、四千リル渡すように念じると、お金が移動する。
この世界のこのやり取りも随分と慣れてきた。
そしてやればやるほど、この方が楽だとも思う。
きっと将来の日本もカード化して現金は無くなるんだろうな……
「はい、三本ずつね」
後ろで待っていた二人に渡してあげる。
俺は残りの四本だ。
え? お前だけ何で四本かって?
答えは単純だ。
俺が四本食いたいからだ!
調味料は塩だけで日本と比べると物足りないが、それでもこの肉は美味しい。
例えるなら、高級な肉か普通の市販の肉かの違いだろう。
市販の肉でも美味いものは美味い。
だからこそ多く食べたいのだ。
まぁそれと、何となくこういうのも時には、特に最初は必要だと思うんだよ。
どちらが上かって。
好き勝手にしてもらってもいいんだけど、それで調子に乗って反抗されたら面倒だしな。
うん、やっぱり美味いな。
二本目に手にかけ食べようとしたが、何故か二人とも食べてないでこっちを見ている。
「食べないの? それと、食べてる時に凝視されると気になって食べれないからこっちあまり見るな」
「あの……これ食べていいのですか?」
「いや、そのつもりで渡したんだけど?」
「食っていいのか!」
「ああ、いいよ」
いや、流石に十本も食べられないし、そもそもそうしたら二人に持たせたやつって自慢か何かになるじゃん。
俺は流石にそこまで悪い、というか外道じゃないんだけどな。
まぁ、せいぜい食って将来稼いでください。
俺はニート生活か他にやってみたい事でも見つかればそっち行くからさ。
「この後、寄りたい所もあるから速く食ってね」
「分かりました」
カリーナは返事をしてくれたけど、グラントはもう返事何かせず、一心不乱に食べ始めてしまった。
やっぱり獣人だし肉が好きなのかな?
俺が二本目食べ終わるころにはもう二本目の半分まで行っちゃってた。
流石に早い。
対してカリーナは上品な食べ方って感じの食べ方だな。
見本を見ているかのように綺麗な食べ方で、だけど早い食べ方。
うん、俺も食べちゃわないとな。
♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢
おかしい……
俺だって一生懸命早く食べたはずなのに、グラントはともかくまさかカリーナにまで負けてしまうなんて……
まぁ競ってたわけでもないしどうでも良い事なんだが。
俺は今、服屋に向けて歩いている。
今回は俺の服ではなく、二人用の服なんだが。
この世界、魔法という素晴らしい力があり、その中に生活魔法の『浄化』というものがあるので、昨日着ていた服でもまた明日、明後日と洗濯なしで着られるので、冒険者なんかだと一着しか持ってない事も割とあるらしい。
俺も、別にオシャレとか興味あるわけでもないので、大勢のように今着ている服しか持っていない。
まぁ服て言っても魔術師みたいなローブを普段から着ているだけなんだけどさ。
そういうわけで、今の俺には服は必要ない。
逆に言うと奴隷のこの二人もいらないのではないかと思うかもしれないが、そうもいかない。
顔とか二人とも整っていて、何それ羨ましいって感じなんだが、服がボロボロなので何とも言えない姿になっている。
2人は気にしなくても俺が気になるので、こうして会に来たってわけだ。
そのために態々ギルド近くの露店で食べて、ギルドに聞いたんだから。
道中会話もなく、(というか、二人とも無言で俺の後ろを着いて来るので話しかけにくい。そもそも話す内容がない)どうしようと考えている間に着いてしまった。
服屋服店と看板になんの捻りもない普通の字が書いてあったので紹介されたのは多分ここだろう。
ドアを開けて入ってみる。
「おう、よく来たな」
店内には日本みたいに服が畳まれて置いてあり、きっと自由に見て気に入ったやつを買うシステムなのだろう。
違いと言えば、明かりが電気ではなく何やら光が天井付近で輝いているのと、後はマネキンがないくらいだろう。
あってもなくてもどうせマネキン通りに買わないのでどっちでも良いのだが。
「今日は何の用だ」
……うん、他にもう一個あった。
それより先に……
「すみません、場所間違えたみたいです」
入って来たその場所で回れ右をし、閉じたドアを開けようとした……ところで腕を摑まれてしまった。
「そんな事言わずにみてけよ、な?」
チッ、逃げれなかったか。
腕を掴んだ人の方へ顔を向けると……クマがいた。
いや、文字通りクマなんだよ、これが。
きっと獣人だと思うが、それでもその男は大柄で身長も二メートルは余裕で越しているであろう大きさだった。
正直言って滅茶苦茶怖い。
きっとこの状況を傍からみたらクマに襲われる人間にさえ見間違えるほどだ。
「すいません。この後急用があるので時間がなくてですね……」
「服なんて買うのに五分もかからないだろう? それより見てけって」
「だから忙しくて……」
「そうか。俺の服は着れないってか? ああ?」
物凄く怒っているけど、怖くない……何てことはなく滅茶苦茶怖い。
その口から牙が見えているし、これ以上怒らせたらマジで食われるかもしれないと思ってしまった。
「グラント、助けてくれ!」
魔法を街の中では極力使うなと注意されているので(元々こういう場合に使う魔法なんてないんだが)使えず、接近戦はそこらの初心者冒険者よりも弱いので同じく獣人のグラントに相手を頼もうかと思ったんだが……
「ああ? グラントって誰だそれ?」
そう、店内を見渡しても誰もいなかった。
ま、まさかもう反抗期!? って思ったが、
「はい、なんだ……じゃなくてなんでしょうか?」
店の外からやってきた。
今はその言葉遣いと共に指摘する余裕がないので早速支持する。
「コイツを殴れ! そして腕の拘束が解けたら逃げるぞ!」
「え?」
その指示は思ってもみなかったのか、驚いて迷っているようだ。
「はぁ!? お前いきなり何言ってんだよ?」
何やら喚いているが、煩いので聞かないように努める。
「いいか。世の中、先にやらないとやられてしまうんだ。さぁやれ!」
それでもグラントは迷って、そしてそれ以外の何かを含ませた顔をしていたが、今やらないと食われそうなので仕方ない。
あまり使いたくなかったが命令権を発動させようかと考えたところで、誰かが割って入って来た。
「あ、あの……店内ではお静かにお願い、しましゅ」
よく見たらこれまた獣人の女の子だ。
そして噛んだ。
何か最近獣人ばっか目にしているような気がするのは気のせいだろうか?
そしてこの言葉から察するにきっとこの子は……
「君は店員?」
「は、はい……そうです……」
何やら恥ずかしそうにしているが、きっとさっき噛んだのが恥ずかしかったのだろう。
他の可能性も頭に浮かんだが、きっとそれはないので置いておく。
「そうなのか。だったらこの人どうにかできないかな? 出ようとしたら腕掴まれて出るに出れないんだけど……」
未だに腕を掴んで離さないクマに目を向けると、「あ、おう。悪かったな」と話してくれた。
まぁ絶対この様子だと反省なんてしてないだろうが。
「店長またですか?」
可愛らしく首を横に傾げて聞く女の子。
顔も整っている(と、思う。だって動物の顔の善し悪しなんて人間には分からない)子がこういうのを計算なしでやると汚い心が洗われるような気がする。
ちなみに言っとくが、俺はロリコンではない。
なんなら自分も含めた全人類が嫌いと言っても過言ではないほどにだ。
「またって何だよまたって。俺はただ何も見ないで帰っていく客を引き留めただけだ」
「その顔で腕をつ、掴んだりしたらこ、怖いです……」
「……そんなに怖いのか?」
ええ、滅茶苦茶怖いです。
何なら死を覚悟してしまうくらいには。
何やら落ち込んでいるクマを無視して、女の子に気になっていたことを聞いてみる。
「ねえ、店長って言ってたけど、この人が?」
「は、はいそうでしゅ……そうです。ここにある服も全部店長がつく、りました」
へぇー。
見た感じ男物も女物もあるのに、全部この何やらブツブツ言っているこのクマが作ったのか。
顔に似合わずとはまさにこの事なのか。
「またって言ってたけど、このクマ……じゃなかった。店長は前にもこうやって引き留めてたの?」
「は、はい。そうです」
「ちなみに、その客はどうなったの?」
「え、えと……気絶してしまって店長がわ、私を慌てて呼びました……です」
そりゃそうだよな。
こんな顔で物理的に止められてたら、もうヤクザじゃないの? って言いたくなるレベルに怖いし。
女ならきっと怖くて気絶くらいはしちゃうだろう。
「で、でも! 店長は悪い人ではないので見てって欲しいです!」
「うわっ」
いきなり駆け寄って来て涙目、しかも上目遣いで一生懸命言われるとなんだか俺が悪いことした気分になる。
ちなみにもう一度言うが、俺は断じてロリコンではない。
「わ、分かったからさ、そんな泣きそうになってないでどんな服がお勧めか聞いてもいいかな?」
「——! はい! ありがとうございましゅ! ……ます」
そしてまた噛んだからか再び赤くなってしまう女の子。
うん、店長自ら接客はやめた方が良いなこれは。
未だに何かブツブツ言って落ち込んでいるけど、しょうがないから励ましてあげよう。
「店長さん。人には向き不向きがあって、どうしようもないこともあるんですよ。要は適材適所って事ですね」
と言って励まそうとしたら逆に泣き出し始めてしまった。
あれ? 励ましたら感動して泣いてるのかな? まぁいいか。
時間がないわけでもないけど、いつまでもこの店にいるわけにもいかないし。
「そういえばグラント。カリーナはどうしたんだ?」
やっと落ち着いて改めて店内を見渡していたが、カリーナがいないことが判明。
逃げ出すことは不可能だと説明していたのでその線は無さそうだし、じゃあどこにいるのか。
「ねーちゃんなら外で待ってるぞ?」
ねーちゃん? 本物ではないだろうけど、いつの間にそんなに仲良くなったのか……
なんか少し寂しいです。
というか何で外で待っているんだか。
「とりあえずここに呼んできてくれ」
「分かった」
そして読んでくるまではあの女の子が店長を慰め、カリーナも店に入って来てからはその女の子に二人に似合う服を選んでもらった。
ファッションセンスの欠片もない俺と違って、カリーナは落ち着いた感じの服、グラントは元気そうな服と真逆の服になった。
更に詳しく言うと、カリーナの方は紫で大人っぽい、だが暗い感じのイメージがないようになっていて、グラントの方は、やんちゃ的なイメージを抱かせる。
え? どこが詳しいのかって?
もう一度言うが、俺にはファッションセンスはなく、しかも興味もなかった。
日本で度々耳にした「カーキ」だってなにそれ美味しいの? 状態だった俺にはこれが限界だ。
ただ、似合っているとしか俺には言えることがなかった。
「またここで買ってくれよ!」
そして店長は自分の服が売れたからか非常にご機嫌な様子だ。
さっきまでのが嘘みたいに笑っている。
というか、クマなのにこういう服ってどうやって作っているんだろうか? 謎だ。
まぁどうでも良いか。
ファンタジーってことで。
そうしてこの後やることもないので宿に帰ることになった。
とりあえず正解は「睡魔」ですね。
まぁこれはきっと簡単すぎてつまらなかったですよね、すみません。
さて、なんでまた投稿が遅れたのかというと、睡魔に襲われたのと、あとやる気ですねw
基本夜しか時間がないのでパソコンの前にいるのが夜になるんですが、打っていると段々と眠くなってしまうんですよね……
今日も実際十時から始めたんですけど、いつの間にか寝ちゃっていたらしく、今の時刻が四時五十分ですw
皆さん、物事の計画は大事ですよ!
まぁ私に言われても納得いかないと思いますけどね。
さて、次回もこの時間に予定していますが……頑張りますとしか言いようがないw
こんなことになるんだったらストックでも作ればよかったと若干後悔しながら書く日々です。
まぁ読者にとって作者の日常なんて関係なく、折角読んでやってんだから早く出せって思ってしまいますよね。
善処いたしますとしか言いようがないですが、最低限頑張らせて頂きます。
それでは読んでいただきありがとうございました。
次回もまたお読みください




