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閑話04 後始末


はい、申し訳ないです。

言い訳は後書きにでも書きますので早速お読みください。


日差しが暑く街並みを照らす中、住人たちは今日もいつもと変わらず日常を過ごしていく。


パン屋は他の住人よりも一足先に起き辺りに良い匂いを漂わせ、宿屋や食堂も朝早くから来る客のために食事の仕込みを開始していく。

そして大工達は仕事のためにこの時間から朝食を食べ始める。

そうして、少し時が過ぎ始めた頃には全員が朝を迎える。

その光景はまさにいつも通り。

平穏な日常。

ただし、その中に冒険者が居ないのはどれだけの人が気づいているのだろうか。


最近、ゴブリンキング討伐の為にこの街にいるギルド員全員に召集がかかり、討伐に向かった。

普通ならこの程度なら犠牲は出るとしても極少数の筈だが、今回は異例の8割は戦死という大打撃を受けた。

何故か。


冒険者の腕が悪かったからか?

いや、そんな事はないだろう。

確かにランクがDやCばかりの初心者を抜け出したばかりのランクな訳だが、それでもゴブリン程度ならEランクでも充分勝てる。


じゃあ相手の数が多かったからか?

確かに多かったが、『暴風』の二つ名を持つアウラを筆頭に魔術師が範囲魔術を使えるものが4人も居た事から、雑魚が何体集まっても変わらない結果な筈だろう。


じゃあゴブリンキングが強かったからか?

確かに『粉砕』の二つ名を持つトショウとの相性は悪かったが、それでも最終的には倒した。

相手のゴブリンキングの性格も正面突破みたいな脳筋だったことから、キングに対しての被害は死者は0だ。

怪我人は抜いて。


じゃあ何故こんなにも冒険者達は戦死してしまったのか。

その事を会議している、その場所だけはいつも通りではない異様な雰囲気が漂っていた……



♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢



昼過ぎ、此処に集まったのは全員で五人だ。

一人はギルドマスター。

今回のことで話がしたく他四人を呼び出したようだ。

その顔は真剣で、近づけば斬られると錯覚するほど険しい顔をしている。


二人目は副ギルドマスター。

彼もギルドマスター同様、険しい顔をしている。

ただ、顔の造りからか険しい顔でも怖いという印象より似合っているという言葉が浮かんで来るほど顔が整っている。

いや、正確に言うとどんな表情でも似合いそうな顔というところか。


3人目は、今回の討伐に直接関わった『暴風』ことアウラだ。

この場にはギルドマスターに呼ばれ、参加したのだ。

そんな暇は無いのだが、ギルドマスターの権力は強い。

冒険者が殆どいなくなってもだ。

なので面倒というのが顔に浮かんでいるように見える。


四人目は、アウラと同じく二つ名持ちの『粉砕』ことトショウだ。

これまたアウラと同じくギルドマスターに呼ばれてやってきたわけだが、此方は無表情で内心が伺えない。

他の三人はそんなトショウを不機嫌としているが、当の本人は微塵も思ってなく、ただこの暇な時間を使って精神統一していただけだ。

闘気を使う為には集中しないと出来ず、だが戦闘中にその事に集中しているわけにはいかないので、こういった暇な時間は訓練しているようだ。

どこかのEランク冒険者より真面目だ。


さて、後一人なわけだが……


「……まだ来ないの?」


「お貴族様はこういう準備に時間が掛かるんだよ」


「……早速な言い分だな」


アウラとギルマスがふかふかの椅子に座って話してた時、最後の五人目が現れた。


「いえいえ、決して悪く言ったわけではないですよ。貴族は客人に失礼のないようどんな相手の時にでも準備を怠らないという話をしていただけですので」


「ふん、どうだかな。まぁいい」


この街の領主であるタンティ・ウィンカー侯爵だ。

約数百年前までは公爵であったが、当時の公爵の息子が問題を起こし、その責任として階級を下げられた過去を持つ。

本人が気にしているのかどうかは誰にも分からない。


「それで。態々侯爵である私を呼び出したからには、何か大きなことでもあったのかね?」


「この前報告したゴブリンキング討伐を先日してきた件についてです」


「ほう、もう行ったのか。それで、こうやって落ち着いて話しているって事は終わったと見ても良いのかね?」


「はい、ここにいるトショウが討伐したものです」


性格にはケイも手伝っていたのだが、過程より結果論がすべての冒険者世界、そこを評価されることはなかったみたいだ。

それでもトショウは言いたかったのだが、片や貴族、片やギルドのトップという偉い人同士で話している事には一冒険者のトショウでは口を出せずにいた。


「そこに居る奴がか。なるほど、よくやったと言ってやろう」


その上から目線にトショウはやはり慣れずにムカついたが、他の三人が対して反応してない事からグッと堪える。


「それで、態々その報告のためだけにこんな大人数で来たのかね?」


「いえ、まだお話ししたいことがありまして。討伐に行く前に報告に行った際、森は燃やすなと言われましたが、それはどうしてでしょう?」


「何だ、そんなこと聞くためにこんな大人数で来たのか?」


「いえ、それはまた別の問題ですが、まずは本題に入る前に世間話でもということで。前回聞いた時には理由を言われてなかったのでその理由が気になったとも言いましょうか」


「私は忙しいが、まぁ答えてやらんこともない。木を燃やしたらこの町で必要な薪が足りなくなるからだ」


嘘だ! と叫びたくなるのを笑顔を張り付けて堪える。

アウラとトショウの目は陰険さを堪えていられてないほどだ。


「他にも森とかあるので、十分足りるのでは?」


「しつこいぞ。自分の財産を燃やしたいと思うやつが、この世のどこにいる? 私はそう思わない。だからそう指示したまでだ」


つまり、こいつは自分の利益のためだけに最も安全な火責めを、攻撃力が高い火魔法を封じたというのか。

これには流石にギルドマスターも黙ってはいられない。


「冒険者は火魔法が使える者が多く、また火魔法は威力が高い事はご存知ですよね? それが封じられたので森の中に入って討伐しようとしたのですが……」


「そこで何か問題があったのか?」


「……中でもですが、その日の野営の時に向こうから奇襲が来まして。……冒険者の八割が死にました」


「それは残念な事だったな。……それで、世間話はここまでか?」


「なっ!?」


思いのまま怒鳴ろうとしたが、どうにか堪える。

貴族、それも侯爵という上位貴族に逆らいはせずとも怒鳴ったら不敬罪として処分されていただろう。

こういう時にギルドマスターという名ばかりの地位が恨めしく感じる。

そんな事を思っていそうな歯を食いしばっている感じのギルドマスターを横目に、次は副ギルドマスターが変わって発言をする。


「本題とはまさしくこのことです」


「このことというのは冒険者が大勢死んだという事か?」


「はい、そうです」


「つまり、お前のせいで冒険者が多く死んだ。その責任を取れ、とでも言いに来たのか?」


「いえ、そんなことは!」


まさしく似たような感じの事を言いに来たのだが、貴族にそこまで直接的に言われると否定の言葉しか出せない。


「それはただの逆恨みってやつじゃないのか? 冒険者と言うのは死と隣り合わせの職業だろ? そしてそんな冒険者の責任者がギルドマスターだ。違うか?」


暗に「冒険者が死ぬのは仕方ない事だ。だが、その冒険者が大勢死んだのは指揮する立場のギルドマスターの責任ではないのか?」と言われているのだ。

確かにまったくの責任がないという事でもないのでギルドマスターと副ギルドマスターは言葉がでない。


「それだけのために来たのか? じゃあ話は終わりだ」


そう言って部屋から出て行ってしまった侯爵。

しばらく四人で沈黙していると、執事が入って来て、要約すると帰ってくれ、見送るからと言われた。

「お帰りになられますか? それではご案内致します」と言葉自体は丁寧だったが。



♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢



貴族の屋敷から出て来ても一言も話さなかった四人だが、貴族街の門を抜けたらギルドマスターが皆に話しかける。


「お前は別として、アウラとトショウは悪かったな」


「……何もしていない」


「気にしてないです」


私は別って何ですか……という言葉をギルドマスターは無視して話し始めた。


「本当は討伐経緯を話してもらおうと思ったんだが……」


「……あの人、話聞かない」


「そう、思ったよりも話が通じなかったんだよな……」


その立場上、年に一回は必ず会っていたギルドマスターは、流石にあそこまでの人だとは思わなかったと自話していた。


「……ああもう、今日は飲みに行くか! 俺のおごりで良いから! 勿論お前らは強制だ!」


「おお、流石ギルマス太っ腹!」


「……冒険者として強制じゃなくても行く」


「あ、私はお酒は弱いので、この辺で……」


一人だけノリが悪いやつがいるが、そんな事ではギルドマスターは止められない。


「おいおい、これが最後の命令になるんだぞ? そんな命令が聞けないってのか?」


あの貴族が言っていたことは正しく、今回の責任はギルドマスターにもあるので、きっとギルドマスターではなくなる事だろう。

それをギルドマスターは悟っているので、最後の命令と言ったのだ。

そして、それを副ギルドマスターが気づかない事もなく、その意図を知る。


「……分かりました。今までお世話になりました。今夜は付き合わせていただきます」


「おいおい、まだ夜じゃないけどな」


と言ってそれに笑う。

トショウもそれに笑い、アウラまでも笑っている。


「よし、じゃあまず一軒目から行くぞ!」


そうして、四人は普段と変わらない街並みに溶け込んでいった……































翌日。

飲みすぎて二日酔いのギルドマスターが、同じく二日酔いの副ギルドマスターに水を持ってくるよう命令して、それに文句を言いながらも従っている副ギルドマスターの姿があったとか。










昨日に準備が出来ていて、投稿予約をしていたんですけど、日にちを間違えてやっていました。

(∀`*ゞ)テヘッ

いや、本当すみません。

最近無くなったと思ったらまた遅れてる……と思った方。

これはもう病気の一種でたまになるので諦めちゃってください笑

勿論、足掻いてならないよう努力します。(治す努力をするとは言ってない)


では、遅くなりましたがお読み頂きありがとうございました。

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