27話
昨日言ってた続きです。
誤字脱字はまぁいつも通りですが、大目に見て下さい。
そして、月曜のを見てなくて一番新しい奴に飛んできた人は、一話お戻りください。
扉の先にはしっかりと部屋があり、さっきの空間と違って重力があるのか、顔から落ちてしまった。
痛い、けどとりあえず我慢。
「さて、例のものはどうなった?」
「当然、準備できてるわよ」
後ろでさっきは光の玉だったものが、人の形をとって後から来たタクトと話していた。
断言は出来ないが、恐らくこの人(?)もタクトと同じく神様なのだろう。
今まで見てきた女の誰よりも美人で、そして近寄りがたいオーラを放っている。
現実にこんな人いても俺なら近づこうとは思わないって感じの見た目だ。
「あら、連れないわね。私はこんなにも誘っているのに……」
いや、こんなにもというより、初対面で何ですけど……
しかも涙目で言わないでください!
そういう人の方が信用できないので!
「おい、遊んでないで早速本題に入ろうぜ?」
「フフッ、少しくらいいいじゃない。人間なんて生で見るのは何百年ぶりかしら?」
見た目とは違って年……あーうん、永遠の二十歳ってせって……ゴホンゴホン、二十歳っていう素晴らしい美貌をお持ちになられて羨ましい!!
「そう? あなた中々見る目があるじゃない! 名前は?」
「ケイです」
「そう、ケイね。あなた私の部下になる?」
「え?」
部下って神様の部下に?
「おいおい、そんなこと止めろよ。なんのために転生させてると思っているんだ」
「そうだったわね。まぁ考えといてくれればいいわ」
そして断ってもないのにこっちが断られた。
……うん、告白もしてないのに振られている目が魚の目をしているあの人はメンタル強いな。
「そろそろ本題に入らないか?」
「そうね。これは私も楽しみにしていたことだしね」
ん? 何か始まるの?
「じゃあ例の物をケイに」
「はい、これ」
そう言ってヘンデル様に渡されたのは、一つのサイコロ。
いや、サイコロなのかな? ただのサイコロを例の物とか恐ろしい呼び方するわけないだろうし。
「なんだ、一個しか用意できなかったのか?」
「しょうがないじゃない、こんなに早くなるとは思ってもいなかったんだし」
「うーん……まぁ仕方ないか。じゃあケイ、それを二回、いや三回振るうんだ」
え? このサイコロを?
「いやですよ、いかにも怪しいサイコロを誰が……」
「振ったら良いものをあげるぞ? まぁいやなら良いんだが。ああ、残念だなー。あれは良いものだったのにいらないならしょうがない。諦めるか」
「それを早く言えよタクト! それなら振るから……普通に振ればいいんだよね?」
「普通にすればいいだけだ。それ以外には何も必要はない」
どー考えても怪しいが、男は度胸だ。
良いもん貰えるっていうらしいし、三回振るうか!
「じゃあまず一投目」
部屋にあった机を使ってその上で振る。
そういえば、この部屋はタクトと違って色々物があると言ってたけど、俺からしたら普通の部屋としか思えないな。
つまり、人間の部屋と大体同じって事だ。
まぁ広さが学校の食堂並みにあるのがどうも気になるんだけど、神と人間じゃそういう部分は違うんだろう。
「最初は……3だな」
「可もなく不可もなくっと言った所ね」
「これって何のために振ってるの?」
「それは後で教えてあげるから、早く振ってね?」
うーん……
何か嫌な予感しかしないけど、ここは振るしかないな。
「じゃあ二投目いっきまーす」
コロコロって音が静かに部屋に響く。
何か緊張してきた……
「次は……2か」
「うーんこれは思ったよりもあれじゃない?」
「そうだな、あれだよな」
「どうしましょう?」
「決まったことは仕方がない。早い展開を楽しむのもまた一興ではないか」
「楽しみが早く減るようなことが起きないよう祈るしかないわね」
何か本当に嫌な予感しかしないんですけど何なんですか?
あれってなに? サイコロの事もあれって言ってた事からあれって言葉が神の世界のブームなの?
早い展開って何? 祈るって何?
普通人間が神や居るかは知らないけど仏に祈るものであって、神が祈るとか誰に祈ってんだよ。
「じゃあ、最後投げちゃってくれ」
「期待してるわよ」
だから先に何なのか教えてくれたっていいじゃん!
心の中で言ってるけど、これも聞こえてるんでしょう?
「ああ」
「聞こえてるわね」
「じゃあ無視すんな!」
「だって教えて振らなくなったら」
「私たちのどっちかが振らなくてはいけないじゃないの」
いや、サイコロ一つ振るうのがそんなに嫌なの?
神なら部下もいるんだし、そいつらに任せちゃっても良いんじゃないの?
「これは人間であるお前がやるから意味があるんだ」
「正確に言うと、あの世界に転生したケイが振るのに意味があるって事なんだけどね」
そうですか。
いや、納得しきれてないけど、あと一回振ればいいだけだしもう適当にやっちゃうか。
「じゃあ最後いっきまーす」
そしてまたコロコロと転がっていき止まった。
数字は……
「4か」
「これはまぁ面白くなるんじゃない?」
「そうだな。長すぎず短すぎず。飽きない程度だから丁度いいくらいだな」
さてさて、結局これは何なんですか?
「これからお前の居る世界に魔王と勇者が現れる。そしてただ出現させるのもつまらないから、時期を決めたんだ」
……それって超重要な事をあのサイコロで決めたってことじゃ……
「いやいや、何で態々魔王と勇者を出現させようとしてんだよ?」
「それはこの世界を管理するのに必要だと思っているからだ」
魔王とは、人類の敵である魔族の王であり、そして土地やら生贄やら、色々な理由があって人類を滅ぼそうとする存在だと日本のラノベではそんな感じに書かれているはずだ。
それが必要な事態ってなんだ?
「まぁ人間であるケイに理解は出来ないと思うから、理由は置いといて。まぁ魔王の出現は決定事項だからな。期間はまぁ俺たち管理者の特権とでも思ってくれたらいい。少しの役得がなきゃ世界の管理なんて大変な事やってられないからな」
おお、神様の世界も大変らしい。
俺には一生分からない事だろうけどね。
「ということで、まず最初の3は、3つの条件を満たせば魔王出現の予兆を信託するので、それで勇者が召喚されるだろう」
「3つの条件?」
「ああ、これはケイが色々やっていくことがキーとなっているから、責任重大だぞ」
なんか勇者召喚は遅くなって、魔王出現は早くなったらお前のせいだと言外に言われているような気がしてるのは、俺の気のせいかな?
「そして、まず一つ目は達成したから、残り2だな」
え? いつそんな条件達成したの?
「さっきのゴブリンキングよ。条件内容は『強敵を倒す』という曖昧な感じにしたんだけど、まぁ転生してそんな時間たってないからゴブリンキングを強敵に認定したってわけ」
「でも、自分で倒してないぞ?」
「サポートはしたんだから問題ないわよ」
そういうものなのか。
「そういうものだ。という事で、残り二つの条件を満たせば勇者召喚されるし、今から楽しみだな!」
「そうね! 勇者が召喚されるのはいつになるかしらね?」
……もういいや。
どうせ何を言っても無駄だろうし大人しく諦めよう。
結局魔王は出現される運命にあるんだったら、遅かれ早かれ出現するのだろうし。
気にせず自由に冒険者生活をしていよう。
「そういえば、残りの2と4って何なんだ?」
「それはまた後のお楽しみね」
「ネタバレはつまらないだろ?」
まぁそうだけどさ……
まぁまたいつか教える気はあるそうだし、今は諦めよう。
「じゃあ振ったし、良い物頂戴?」
「おお、そうだったな。じゃあこれをやろう」
そう言ってタクトが指パッチンした瞬間、頭の中に雷魔法の知識が入って来た。
「何でこれなんだ?」
「魔法が好きなんだろう? という事で、使い方とかどんな技があるか基本は与えてやったぞ。まぁ基本だけなんだが」
「そっか。ありがとう」
「(転生させるの忘れてて急いで転生させたが、その時に与えた特典が無くなっているとは……言えないな)」
「どうした?」
「いや、なんでもない(まぁあったらあったでそれこそ訓練し無さそうだし、結果良かったのか? まぁ絶対この事は秘密にするが)」
雷魔法だってさ。
本当に基本的な事しか分からないけど、まぁいつか物に出来るだろう。
ちゃんと練習をすればの話だが。
「さて、そろそろお前も帰るといい」
「どうやって?」
「この扉をくぐれば元に戻るはよ」
「おいおい、こういうのは落とし穴って相場は決まっているだろ?」
「そういえば、よくも落とし穴に嵌めてくれたな! 結構根に持ってんだぞ!」
本当怖かったんだからなあれは!
やったことない奴には分からない恐怖だった。
「ほら、こうやって恨まれたくないし、私はこうするは」
「仕方ない、さっさと行っちゃえ」
言われなくても行きますよ!
「じゃあ、また」
「また遊びに来てね?」
「まぁ俺らが呼ばなきゃここに来れないがな」
そして扉を潜って現実世界に戻った。
これで少しは何でケイが少しの種類しか属性使わなかったかの謎が解けましたかね?
まぁこれからは神が少しづつ頑張って与えているのでいずれは最強というタイトル詐欺にならないようになるでしょう。
それでは、また月曜に出すのでお読みください。