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25話

注意!

今回自分で書いといて何ですけど、長いし、結構暗めな感じだと思うので、朝に読まない方がいいかもです!

(こんな事言う作者がいるとか笑っちゃいますね笑)

という事で、朝から気分が悪くなったとかそう言われましても当社は責任を負いかねます。

(だって会社無いもんね笑)


と注意を読んで、今は昼もしくは夜か、はぁ? お前ごときが書いた小説で気分が悪くなるわけなんかないだろ。ストーリーとかがクソじゃなかったらな! って方はどうぞ読んでください。




えーっと……

何ランクかは忘れたが、『粉砕』を傷を負いながらも倒し、こちらに向かって来る気満々のゴブリンキング。

人生のリセットボタンがあるなら、リスクを考えずにすぐさま押しているであろうこの状況。


「……で、ゴブリンキング説得とか出来ないの?」


「王は俺たちの意見は聞かないからな。そして同じ転生者でも今は敵同士だから肩入れは出来ないから頑張ってくれ」


近くにいる膝まで氷漬けのソーサラーに聞いてみたが、やはりダメらしい。


ていうかさ、王は部下の意見も聞きいれてあれやったりこれやったりとするもんじゃない?

いや、日本にはそういう存在はもう居なかったからこれは個人的な意見になるけどさ。

自分勝手な王様が自分勝手にやってたら、最後には破滅しかなさそうなんだけど。

分からんけど。


「ゴブリンキング、まずは話を聞け!」


「グフフフ、ココロガヒロイオレサマハテキデアロウトハナシハキクモンダカラナ。ハナシテミルガイイ」


やっぱり必ず勝てるような勝負じゃなかったらまずは回避優先。


「お前の手下のゴブリンソーサラーがどうなっても良いのか! こっちはお前が近づく前に全身氷漬けにして、息の根を止める事だって出来るんだぞ!」


作戦その1、人質を取る。

人質はナンバー2と言っても良い(のかな?)、王の右腕的存在だ。

そんな使える部下を無闇に殺すような事は流石にしない……


「ホウ、ヒトジチヲトルカ。ダガワスレテナイカニンゲン? コノヨハジャクニクキョウショク。マケタヤツハシヌ。ソレダケダ」


うわーこの王様冷たくて時にはそういうのも必要だと思うけどさ、救える命は救っておこうぜ? な?

今なら氷漬けわ溶かしてやるサービスも付けてあげるかさ。ね?


「ソレニオマエタチニンゲンノキジュンデオレサマヲハカルナ。オレサマハマモノダ。カチカンッテヤツガチガウ」


仰る通りで。

そうだよねー価値観違う相手にこの交渉は無駄だったか。

……いや、どっちみち殺す気なんてなかったけどね。


作戦その2。……特に何もなし。

いや、さっきみたいに会話中に魔法を掛けようとしても良いんだけど、ソーサラーが手のひら返して向こうに味方する可能性があるうちは下手に動けない。

……元々ソーサラーはあっちの味方だけど。


それに、向こうはソーサラーよりも強いキングだ。

気づかない望みにかけるよりも気づくと仮定した方が良いだろう。

そうなると結局詰みな訳なんだが。

……いや、もう一つ交渉する事あったな。

成功なんてするわけないけど。


「じゃあ、このままソーサラーは返すので大人しく森に帰っていただくというのは……」


「ナニヲイッテイルノダニンゲン。オマエタチカラシカケテオイテミノガセトイウノカ?」


そういえばそうだったね。

さっきから奇襲ばっか仕掛けてこられるから忘れてたよ。

うん、やっぱり触らぬ神に祟りなしって言葉を実践したら良かったのにお偉いさんは。

どうせ今も俺たちがこうなってるともつゆ知らず、神の血だとか言ってワインを飲んでるんだろうな。

……それは教会の人たちか。


これで作戦その2もダメだったし、後は本当に戦闘するしかなくなってるけど……

ん?


「雨か?」


いつの間にか暗くなっていて、雨が降り出した。

まだ弱い感じだが、どれほど強くなるかは分からない今、早く帰って寝たい。

ローブに雨が染み込んで気持ち悪いし、重くなって動きにくくもなっている。

本当こういうのってやめてほしいよね。


「フム、アメカ。ジメンガヌレテウゴキニククナルマエニシトメルコトニスルカ。」


どうやらもう一刻の猶予もないようだ。

……もう属性に拘ってないで本気出さないと死ぬなこれ。

どの属性が効果あるかとか分からないけど一か八か……って、近くに助言者いるじゃん!

しかも俺よりも魔法のエキスパートが!


「ねえ、どういう魔法がこういう時って役立つ?」


「だからお前は敵だろ? 教えないって」


「教えてくれたら氷漬けを止めてあげよう。その代わりに教えてくれたら良いからさ」


「……良いだろう。このままだと巻き込まれて死ぬかもしれないしな。障壁は張れるか?」


障壁ってあのバリアみたいなやつ?


「無理。この世界に来てまだそんなに時間たってないから四属性しか使えない」


「四属性使えるのは珍しいが、他には使えないのか? 氷属性は?」


氷属性はあれがたまたま上手くいっただけで練習中なんですよ。

いや、地面を凍らせる程度なら練習しなくてもできたけどさ。


「氷属性は練習中なんだよ。さっきみたいなのは簡単だから出来るけど、難しいのは多分無理」


「はぁ……この雨の中じゃ火属性はもう使えないだろうし、使うとしたら風だろうな。雷属性が使えれば雨の中だと最強なのだが……」


おお、雨の中だと炎タイプが弱くなるんですね分かります。

雷属性は、初日に貴族が使ってたのが多分そうで、自分でも練習してみたが、威力調整、命中精度ともに最悪だったので、後回しにしていた。

その結果がこの状況だ。


「水とか土は?」


「水だと自分が魔力で作った所に他の水が混じって操作しにくくなるからだめだ。土は普通に水でだめになってるからさっきのは使えないだろ」


なるほどなるほど。

勉強になります。

水は不純物が入ると純度が下がって汚くなるって事で、土はそのまま泥になるから『コーティング』は使えないって事ね。

あれ、でも泥には泥なりに使えそうな気がするんだけどな。

例えば重量ならあるんだから敵の上から落とすとか。

……普通当たらないか。


「その点風の場合だと、敵に見えないし雨の中でも問題ない。強い風が吹いてきたら初心者じゃだめだけどな」


逆に言うと上級者なら大丈夫なわけですね分かりま…せんよまったく。

何? 逆にその強い風を操って攻撃するとか?

それとも影響なく使えるとか?

うん、取り敢えずこれは頭の隅にでも置いておこう。

今はゴブリンキングだ。

うーん……


「現状打てる手がない以上、一か八かで氷属性を使ってみるか?」


「だが、練習中で使えないんじゃなったのか?」


「だから、一か八かだって言ってんだよ!」


ソーサラーの時は問題なく出来た。

そう、あれよりも更に発展させた感じで使えばいいだけ。

一度は出来たことだから、次にそれよりも難しい事に挑戦するのは当たり前。

やらなきゃいけないんだったら、やるしかない。


とりあえず、約束通りにソーサラーの氷を炎で溶かしてあげた。

雨の中という事もあり、威力は弱いが、大人しくキングが待っててくれたので時間は気にしなくてよかった。


「……死ぬなよ」


「そっちこそ、俺が死んだあとお前も死ぬなよ?」


どういうこと? って顔をしていたけど、普通敵に塩どころか砂糖まで送っちゃう勢いで手伝っていたんだから何か罰とかありそうだろ。

しかも目の前でやってたので声は聞こえなかったとしても、言い逃れは出来ないだろう。

まぁこれも終わってからの話だ。



「……ホウ、イイマリョクノナガレダナ。ダガ、オレサマニもミエルッテコトハダダモレッテコトダナ」


何か言ってるようだが何て言ったのかは分からない。

それほどに集中している。

チャンスは一度。

ハイリスクハイリターン目的だ。

外せば終わり、だが当てれば必ずに勝てる、そんな魔法。

油断しきっている最初だけ。

望みはそこにしかない。

それは逆に言うと、そこには望みがあるって事だ。

ギャンブルは嫌いではない。


……よし、始めるか。


「『フリーズコーティング』」


辺り一面を氷で凍らせる。

普段なら出来ないような大規模な魔法だが、雨という事で水はあり、そしていつもより魔力が使いやすく、成功した。


「スゴイマリョクダ。コレハサッキノヤツヨリモタノシメルカナ?」


悪いけど、そんな時間はないです。

あるのは、あっけない死か、あっけない勝利のみ。


「『フリーズピリエ』……」


ゴブリンキングを中心にして円状に氷で覆う。

キング自体が大きいので、念のために高さも五メートルくらいはあるようにした。

何故直接凍らせないのかというと、そこまではまだ流石に上手く使えないから。

ボウリングで、端に一つ残ったピンをピンポイントで狙うより、一投目の真ん中辺りを狙うの、どっちが簡単かというと、当然後者だろう。

なので、今ゴブリンキングは、上だけ空いた円状の氷の筒に入っているようなものだ。

これも普段なら出来っこないが、上から降ってくる雨を凍らせて覆うようにするだけなら今でも出来る。

後は操作だけの問題だったが、ここも無事にクリアした。


だが、これだけで勝てるとは思っていない。

攻撃もしていないし。

そこで、最後にこれだ。

これなら殆どの生物があの世に逝くであろうあれ。

そしてこれまた普段では使えないが、限界までの魔力の酷使、ゴブリンキング周辺だけの空間という限定的空間。

そして、氷属性を持つものであるならば一度はこの考えにたどり着くであろうあれ。

そう、凍死だ。


「『エターナルコフィン』」


冷気を上から逃がさないように風魔法を使い下に風を送り、ついでに雨も味方をしてくれ、風と共に送られる。

最初にやった『フリーズコーティング』で機動力をそぎ、次に『フリーズピリエ』で逃げられないよう四方八方を防ぎ、そして最後に『エターナルコフィン』で仕留める。

『エターナルコフィン』の冷気も前の二つで逃げないからその分魔力運用が楽になっている。

と言っても、さっきから何回も集中して魔法を使い、その上限界まで酷使しているから頭が痛い。

おい、魔力無限なんじゃなかったのかよと文句の一つでも言いたくなるが、まぁ確かに切れてる感じじゃないので文句は言えないだろう。

だが、最後の『エターナルコフィン』は一度の魔力で発動ではなく、使っている間永続的に魔力が奪われていくので、余計にキツイ。

もう、頭が割れそうなほどに痛いが、それでもキングはここで仕留めておかないといけない。

ここを逃したらもうチャンスは二度と来ないだろうから……



♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢ 



十秒か、三十秒か、一分か。

いや、まだ十秒もたっていないかもしれない。

それ程に頭が痛いが、我慢する。


「……ナカナカエゲツナイマジュツヲツカウナニンゲン。ユダンシスギテシニソウニナッタワ」


だが、そんな俺の頑張りも空しく、非情な声が空から降って来た。

きっと上が空いていたから跳んだのだろうという基本的な事しか頭に入ってこない。何も考えたくない。


「グフッグフフフフ……オレサマトシタコトガ、ユダンシタケッカコノザマカ」


もはやキングが何を言ってるのかさえ入ってこない。

だが、それでも一つだけ分かることがある。

アア、オレハマケタンダナ。

地面がひっくり返った。

いや、これは俺が倒れたのだろうか? 


「ダガ、イマノオマエテイドナラオレサマデモカンタンニシマツガデキル」


大きな音が鳴った。

きっと着地でもしたのだろう。

その足で歩いてきているのか、音が大きくなっていく。

ああ、結局力を貰って転生してもこの程度だったのか。


「グフフフ、キサマニケイイヲアラワシテクルシマズシネルヨウニシテヤロウ」


シネルヨウニシテヤロウ。

その言葉だけは、何故か耳にスッと入って来た。

この期に及んで、死にたくないとでも思っているのだろうか?

普段は自分の生死はどうでも良いと考えていた。

どうせいつかは死ぬのだから、いつ死ぬとしてもあまり変わらないと思っていたから。

だが、今は死にたくないと思っている。

まだ生きたいと思っている。

ああ、と自分でも不思議なくらい納得できた。

人間はやっぱり死にたくないのだろう。

だから自分は神様に不老不死を頼もうとしたのかと。

自分は違うと思っていても、やっぱり心の奥は人間なわけで。

こんなところで死にたくないって、思ってしまった。


足音が消えた。だが、さっきまですぐ近くで大きな音が鳴っていたので、俺の傍に着いたという事だろう。

頑張って動かない頭を何とか動かし、ゴブリンキングを見る。


「アア、ホントウニオマエハツヨカッタ。タトエオレサマガユダンシタノダトシテモ、ココマデオイツメタトハ」


何か言っているが、きっと勝者が敗者を笑っていることだろう。

そして、死の淵にいる今でもこんな事考えるとはと、自分というものは変わらないなと心の中で笑ってしまった。


「ソシテ、セイセイドウドウトショウブスルノモマタタノシイダロウ。ダガ、オマエハキケンスギル。ココデハイジョシトケトホンノウガサケンデルカラナ」


雨の中、こうして横たわっているのも気持ちいいと考えてしまうのも、現実逃避なのだろう。

ここまで来るともはや病気だろう。


そっと、ゴブリンキングが腕を上げた。

あんな馬鹿力そうな腕とか、確実に死ぬだろう。


「ダカラ、キサマハ……」


そっと目を閉じた。


「ココデオワリダ!」











ゴブリンキングが腕を振り下ろし。

潰れた音と、赤い血が辺りに飛び散った。













開始から僅か半年、そして25話で終わるとは早かったなー。

という事は勿論なく、次回もあるので是非またお読みください!


あ、いつも通り夜に書いてて、眠くて誤字脱字とかある可能性大なので、教えて頂ければありがたいです。

では、お読み頂きありがとうございました。


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