20話
またまた遅れて投稿すみません! また時間ないのでさっさとあげます。
夜が明けたばかりの早朝。
寝ていた時間が短く、しかも戦闘後なのでめちゃくちゃ、それはもう睡魔にもう眠れるなら死んでも良いという悪魔の誘惑されても契約しちゃいそうなまでに眠いんだが、今すぐ寝るわけにもいかない。
「……!」
「……!………?」
あーでももう本当に眠いな。ちょっとくらい、寝ても良いよね?
活躍したはずだし、それくらいは許してくれるはず……だよね?
それに立ったまま寝るのでばれる確率も低いので大丈夫だろう。
それじゃ、おやす……み……
ゴツン!
「いて!」
誰だよこの善良な一般人が眠ろうとしている時に叩いた奴は。
「……起きる」
どうやらアウラらしい。
いや、アウラ以外だったらさっきの『アースホール』ぶち込んでたからまだ良かったっていうべきか。
「何で起こすんだよ?」
「今は寝てはいけないとき」
「いや、正論言われると何も言い返せないじゃん……」
別に一冒険者が寝てようが誰も気にしないし良くね?
怪我して倒れている人も寝込んでいるんだし。
俺だって魔力普段より使いすぎて眠いんだよ。
「……ところで、さっきからこの言い合っている声って誰?」
「ギルド職員とどっか弱いパーティーの人」
「いや弱いって……」
『暴風』からみたらほとんどがそうなんだからちょっと毒舌すぎじゃありませんかね?
「何話してたの?」
どっちかが怒鳴っていたはずなのできっとどっちかが文句を言ってたんだろ。
なお、話の内容は眠くて内容が頭に入ってないので分からない。
「冒険者の方の人が責任取れ……って怒鳴っている」
責任?
「何の責任?」
「……聞けばわかる」
そういって指の方向にはギルド職員と冒険者の二人が話し合い? をしていた。
「ですから、冒険者になる時にちゃんと確認したはずですよ? それを了承したのは冒険者の方々です」
「そんなの聞いてないって言ってんだろ! お前たちがこんなにゴブリンが出る依頼を強制したからあいつは死んだんだ! どうしてくれるんだよ!」
「冒険者が死んでもそれは自己責任という説明をしたはずです」
「人が死んでんのにそう決められたような言葉しか言えないのか! お前に人の心ってものねーのかよ!」
「事実のみを言っているだけです。ご了承ください」
「何だよ……畜生……」
あーえーうん。
これが噂に聞く修羅場ってやつ?
いや、修羅場って確か夫が浮気してたのがばれてその女が家まで来て妻と争う事を言うんだっけ?
そこまでは詳しくないから調べないと分かんないや。
とんかく、あれは触らぬ神に祟りなしっていう言葉通りスルーしておこう。
他の冒険者も見て見ぬふりをしてんだし放って置いて良いんだろう。
それよりも可哀想なのがあのギルド職員だよなー。
あの人は上の命令で従っているだけなのに文句を言われないといけないなんて。
まぁでも、冒険者の人も理性では分かっているのか今は文句を言うのも止めて泣いている。
ただ、本能では理解したくなくああやって暴れ叫んでいたんだろう。
なお、ギルド職員は胸倉を摑まれていた手を離され、その場で倒れこんで泣いてしまった冒険者を無視して仕事に戻った模様。
確かにこの人には人の心がないのかも……って思ってしまったのは秘密です。
「……分かった?」
「分かりすぎるくらいに分かったよ。あれだろ? 死んだから保険金だせやこのボケ! って事なんでしょ?」
「保険……っていうものがなんなのか分からないけど、概ね当たっている」
「え、この世界保健っていう言葉ないの?」
貴族とか名誉の死とかは勿論、火災とか地震で運悪く死んでも保険が無いのでお金も出ず、家も焼けてしまったり崩れてしまってないので下手すると一文無しっと。
……この世界が改めて異世界でシビアなのだと思いました。
「そういえば、さっきの戦闘で何人死んだんだ?」
死体とかを見てみたけど、特に何も感じなかった。
いや、自分も下手したらああなるのだと理解して怖くなったけどそれだけだ。
こう、何というか、自分でも結構冷たいんだなって思った瞬間でもあった。
まぁこういう異世界に召喚される主人公たちって心が純粋ってやつが多いからね。
そして段々と世間の闇に染まっていき、最後には闇落ちってこのゲームの話はもう良いか。
とにかく、吐いたりしてたようだけど、俺は特にそういうのはゴブリンが焼けた時の臭いだけで他は一度もない。
これならきっといつかは必要になってくる、日本では犯罪の人殺しももしかしたら躊躇せず出来るかもしれない。
いや、自分からは仕掛けないで襲ってきたらって話だけど。
一般人を自分から襲うなんてそんな事は流石にしないけどね。
「……話聞いとく。死んだのは二十四人。動けない人が十三人」
うわぁー。
これもう大丈夫なのかな?
本来の目的達成する前にもうこんだけ死んでるんだろ?
「そして今動けんのが二時十人くらい」
「少な!」
なにそれ! もう本当にやばいんじゃないのこれ?
ゴブリンキングという序盤のボスでこんなに死者が出る冒険者が弱いのか、この世界のゴブリンキングが強いのか、それともラノベとかの冒険者たちが強すぎるのか。
せめてあんなに倒したんだから、もうそんなに残っていないって事を楽観的で嫌だが祈るしかないな。
「魔術師は魔力切れの人は動けない。役に立たないから除外」
なるほど、どー計算しても二十は流石にないだろって思ってたけど、その中に役立たずの魔術師は入れてないのか。
「そういうアウラは魔力大丈夫なのか?」
「愚問」
どうやら問題ないようだった。
これは心強い。
そう考えてたら冷たい眼差しで睨まれた。
何で?
「……私が役に立たないと?」
「逆に俺の方が役に立たないけど何かの嫌味?」
「……それこそ嫌味だと思う」
……はぁ~。うん。
「くだらない事言ってないでもう寝ようぜ?」
「……同意」
どうやらアウラも凄く眠かったらしく、手を口に当てて大きく欠伸をしている。
昼までは寝てても良いらしいので寝ようか。
おやすみ~
♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢
昼までは無事敵襲もなく、ぐっすり眠れた。
昼まで寝てたことなんて初めてだから何か新鮮な気分です。
まぁ昼寝は結構授業中にしてたけど。
「この数でゴブリンキング狩れるのか?」
いやー無理なんじゃないですかね?
「あんなにゴブリンが攻めてきたんだから、もう残りも少ないでしょ」
それは楽観的じゃありませんかね?
王の護衛に何体かは知らないけど残してるはずだし。
雑魚が百とかだったら俺でもあの『アースホール』別名落とし穴で十分壊滅させられるけど上位種だとかわされる個体もいるんだよな。
かといって攻撃に一番向いている火を使うなっていう何それ縛り? って状態だし。
いや、マジで火が使えないのは辛すぎる。
「ゴブリンキングが来たぞ!」
えーまだ起きたばっかだよ?
どんだけ仕事してんだよゴブリンキング。
王様自らお出ましとか。
ドスン! ドスン!
と言った感じで揺れるとまでは行かなくても音が聞こえてくる。
「おいどーする!」「雑魚の数は!」「もういやー!」
いやいや、さっきまで楽観的だった人達どこ行った?
まったく、口だけかよ……
と思っている間にも足音はだんだん大きくなっている事から近づいてきている事は理解できるし、それに従って冒険者が騒ぐのも大きくなっていく。
正直役に立たないならさっさと邪魔だからどけって思うのは俺だけじゃないよね?
「うっせんだよてめーら!」
お、この声はまさかあの時の……
「普段パーティー組んでんやつでも最大六人だろ! 今はその倍以上いるのに何ビビってんだ! つべこべ言ってないで働けや! 明日は一日中飲み明かすぞ!」
やっぱり『粉砕』だったか。
Aランクという高ランクの事もあってか皆『粉砕』に注目していた。
していたっていう過去形は、その演説? 扇動? によってさっきとはまた別の意味で騒いでいるからだ。
「キングとはいえ所詮ゴブリン! 余裕だぜ!」
いや、あなたさっきもうこの世の終わりだっていう顔をしてなかったですかね?
「明日は楽しみね!」
その言い方だと現実逃避しているようにしか聞こえないんだけど違うよね? 違っていてほしい。
そんな事を考えている間にも敵は待ってくれるはずもなく、西の森から敵が出てきた。
俺たちは西からゴブリンキングが来ているのが分かってたので東の方に避難して距離をとっている。
約百メートルくらいだが、多分十分だろう。
「キングはまだ来ていねぇ! 魔術師は自分の射程範囲内に入ったらぶちかませ! 前衛組は二十メートルの所まで魔術師の邪魔にならないようにしろ!」
指揮は『粉砕』がしているので、夜中の戦闘に比べてずっと士気が高い。
まぁあいつ(誰か知らない人だったけど)はあんな指揮だったしな。
はてさて、この勝負どーなるかな?




