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14話

決戦当日。

もう見慣れて来ている天井を見て目を覚ました。

今までにないほど寝覚めが良い。

緊張はしていない……と言ったら嘘になるだろう。

気が付けば寝ている時に汗をかいていたようだ。

だが、数時間後にはもう街を出てゴブリンキングが居る森に行くことになるだろう。

作戦は向こうに着いてからと言っていた。

大丈夫だろうと楽観していてる自分も居れば、何か嫌な感じがする自分も居る。

まぁ俺は俺で作戦に従い、出来ることをやればきっと勝てるだろう。


いつものお世辞にも美味しいとは思えない朝食を食べ、外に出ると冷たい風が頬を撫でる。

この世界が今何月かは分からないが、もう冬なのだろう。

辺りを見ると、自分のように武装した集団がちらほら見える。

きっと同じように集合場所に行こうとしている冒険者の集団なのだろう。

あの人たちも自分のように緊張しているのだろうか? 出来るならば逃げ出したいと思っているのだろうか?

それは本人しか分からないだろう。


街並みを見わたす。

いつもは適当に歩く道としてかなっていなかった背景も目に焼き付けるように見る。

こうしてじっくり見ると、いつも歩いていた道がなんだか初めて歩く未知なような気がして新鮮な気分になる。


そうして歩いていると、あっという間に集合場所であるギルドに着いた。

中にはまだ数人しか集まってい無いようだ。

無駄に早く出過ぎたのだろう。

集合時間までにはまだ時間がある。

ここに集まっている人達は全員魔術師か回復魔法が使えるヒーラーの後衛組だ。

全身鎧に身を包み、重たい金属武器を持って戦う前衛はもうとっくに門の外に出て森に向かっているだろう。

重量的に前衛は行軍速度が遅くなるので先に行かないと遅れるからだそうだ。

なので、魔術師等の後衛組と物資を運ぶ補給部隊が後から出発する。

可哀想だな、前衛組。

というのが森までの行軍の作戦? だ。

……時間はまだあるが、さっきよりは人が増えてきたな。

各自、自分の武器(主に杖)に不備がないか点検し、革の鎧を着ている人は脱げないかジャンプしたりちょっとダッシュして確かめ、自分と同じようにローブを着ている人は……まあこれは確認何か必要ないから、武器を見たりしているな。

そしてここにいる全員に共通してるのが、皆集中しているっていう所だ。

ギルドの中は異様なほどに静かで、誰もしゃべらない。

中には眠っているように目をつむって集中している人もいるほどだ。

……あの人寝てないよね? ちょっと今寝息みたいのが聞こえた気もしたけど気のせいだよね?


「皆さんお待たせしました」


緊急招集でも見た職員がギルド内に居る冒険者たちに声をかける。

……そろそろ時間か。


「馬車の準備が出来ましたので、南門に行ってください」


さぁ行こうか。聖戦へ……



♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢



な~んて馬車に乗っている間は暇だから朝の行動を振り返ってみる。

完全に美化して、特に最後はもう飽きちゃったから打ち切りエンドみたいな感じになっちゃったけど。

別に寝汗とか誰でもかくようなものだし、寒いのはまぁ寝起きだとそう感じるし、街並みを見わたしたのも何となく。

特にこれが最後になるから――—みたいな感じで見ていたわけじゃなく、少し緊張していたからだ。

……緊張はしてますよ流石に。

ゴブリンキングの大きさとかは知らないけど、間違いなくゴブリンより大きいから二メートル以上、そこから今まで読んだことのあるゴブリンキングは総じて四メートル以上だったらしいから、間をとって三メートル以上としておこう。

……無駄なフラグはたてないと決めたから三メートル以上と言っておかないとね。

あ、それと皆武器の手入れしてたのは本当だよ?

ただ皆ピリピリしてて居心地が悪かったけど。

ジャンプとかダッシュしてた人も音を立てると皆から睨まれて可哀想だったな……同情はしないけど。


まぁそんなこんなで今は森に向かって馬車に乗っている最中だ。

時間的にはもうすぐ着くはずなんだけど……


「…………」


馬車の中がこれまたピリピリしていて疲れる。

俺のほかに五人の後衛組が乗っているんだけど、悲しいかな、この馬車には女は乗っていないから男臭い。

男臭いって言っても前衛みたいに力で戦うタイプじゃないから筋肉ついてる人なんていない。

筋肉はそこまでないけど、仮にも冒険者、体は引き締まっているようだ。

っというのも、ここに居る五人の冒険者はローブを着てなく、全員が革鎧を着ているから分かることだ。

それだけではなく、実は後衛組の八割は革鎧を着ていたりする。

魔法使いは全員がローブと思っていた夢が崩れてしまった瞬間だった……

理屈は分かる。ゴブリンアーチャーの流れ矢でも当たったら防御力の低いローブでは体に届いてしまう。

なので、心臓などの大事な部分は守ろうって事なんだろう。

だけどさ? 小さいころに夢見た魔法使いがそんな現実的だなんて知りたくなかったよ……

何かこう、バリアみたいので矢は当たらない! みたいな感じでやって欲しかった……

それかローブが実は更迭でつくら……これは良いや。

とにかく、ローブを着ている残り二割の俺はこの中だと目立ってしまってさっきまでちらほら見られていたので更に疲れてしまった。


そして更に疲れるのが、この馬車だ。

前回乗った馬車は揺れは少なく、乗り心地も良かったが、今回は揺れが多く、乗り心地も最悪に近い。

人数乗ってたり、出来るだけ速くしようと思っているからかもしれないが、やっぱり貴族との差が分かる。

前回が初めてで最高の気分を味わった分だけ、この馬車での最悪はマジで地獄だ。天と地ほどある。

……早く着かないかな~



♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢



やっと着いた時にはもう昼過ぎだった。

補給部隊から遅めの昼食を貰って今皆で食べている所だ。

流石保存食、めちゃくちゃまずい。

あの宿でまぁまぁ慣れたが、保存食はその比ではなかった。

日本でも保存食はまず……くはないか。

缶詰とか十分美味しいな。

特にみかんの缶詰。あれは本物のみかんより良い場合があるからな。

あの店め……

よくもあんなすっぱいみかんを売りやがったな……


「みなさん、お集まりください」


これまたギルドで見たギルド職員が集まるよう指示していた。

……まさかあの人しかまともな人いないって事なのか?

まぁそんなの俺には関係ないか。


「今から三十分後に森に入ることが決まりました」


その一言でただでさえピリピリしていた場が更に……もう言葉にできないほどやばくなった。

っていうか、もう昼過ぎの、夕方まで後数時間ってとこなのに今から森入るの?


「ですので、準備をよろしくお願いします。作戦の詳細は三十分後に説明します」


それからまた解散して、各自また最後の確認をおこなう。

俺も最終確認をしていく。

俺は……まぁ杖……クラールハイトは買ったばかりでまだ一度も使ったことがない新品だし、この着ているローブもまぁ特殊な効果があるわけじゃないし特に問題ないだろう。

それでも俺だけやってないのは変だし、それに万が一ってのがあるからな。

俺はボス戦の前にセーブは二回やるほどだしね。

そして前回のギルド内と変わっているのは、前衛組が居ることだろうか。

あの人なんかでかい剣持ってるし、あの人は自分の身長の二倍はある槍を持っている。

正直そういう武器系の人の近くには行きたくないな。

だって周りを気にせずいきなり剣振ったりしてるし。


「皆さん、時間です!」


座っていた冒険者が、闘気? 殺気? みたいな圧迫感を感じつつ再び集まる。


「作戦を説明します。まずこの森を東西南北の四方で囲み、ゴブリンキングを討つのが大まかな作戦です」


囲むのは逃がさないようにってことか?

あの『粉砕』って人で何とかなりそうなもんだけど、そんな上手くいかないのか?


「そして細かい所なんですが、まず戦士と魔術師、ヒーラーを四つに分け、それぞれで進軍してもらいます。前衛は敵の発見、進む道の確保、そして警戒を担当してもらいます。もちろん攻撃も。魔術師は、魔法には魔力を使うので極力上位種以外では前衛に任せて、上位種の時に使ってもらいたいです。そしてキングに出会ったら上空に魔法を放ってください。注意ですが、火系統の魔法は使わないでください。森を燃やすのは許可出ていないので。ヒーラーは、単なるかすり傷ではなく、戦闘に影響が出る傷だけを問題ない範囲まで回復してください。以上で終わりですが、質問はありますか?」


いや、質問ありますかって……

そもそも、森を燃やす許可が出てないってどういう事だよ。

森燃やして一方向だけに誘導させれば効率良いし、危険も少なくなるだろう。

そして上位種の対処法とか、連携とか色々と問題は山積みだろうに。

誰がこの作戦立てたんだよ立案者呼べよ。


「質問良いか?」


そう手を挙げたのが……『粉砕』だった。

流石にAランクともなるとこの作戦と言えるのかどうかも分からない作戦を指摘してくれるだろう。


「この時間に森に攻めるのは良いが、いつまで森の中に入っているんだぁ?」


「と、言われますと」


「ゴブリンキング探すのに何時間かかると思っているんだ。探している間に日が暮れるだろうよ。ただでさえ夜は見えないのに、森の中だと月の光も遮って余計に見えないだろ。対して魔物はこちらを確認できる。こいつでどう戦えっていうんだ?」


確かにそれもあるな……ってさっき最初に考えたの俺だったじゃん何忘れてるんだよ俺。


「時間は入ってから三時間、最高でも日が暮れる前にはここにまた帰って来ていて下さい。他に質問ある人がいますか?」


……いや誰か手を挙げろよ!

俺はまぁ目立ちたくないから言わないけど、このままの作戦で本当に成功すると思っているのか?


「では分けますので、まずさっき言った三つに分かれて下さい」



♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢  ♦  ♢



それから俺は「西」組に分けられた。

まぁどこにどの魔物が居るとか知らないからどこでも良かったけど。

あ、そういえば偵察とかしてないのか?

しっかり調査しろよ何考えてんだよ考えてないから何もしてないのか……はぁ。

しょうがない。過ぎたことだ。切り替えよう。

……よし、行くか。

ゴブリンキング、覚悟しとけよ?










今回最初に慣れない感じのを出したけど、まだまだでしたね……

もっと上手くかけるようにしないと。


では、お読み頂きありがとうございました。


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