違う (室井 香織)
いつもどおりに起きて、同じ時間に起きて同じ電車に乗る。駅から歩いて学校に。いつもどおり…いつもどおりなら、そろそろ菫が後ろから来るのに…。今日はいつもと違う、教室につくと町田さんがいた。町田さんは私を見るなり笑顔で言った。
「おはよう、香織ちゃん」
思考停止。時が止まったみたいだった。話したこともなかった町田さんが私に挨拶してきた…今日はいつもと違う。全てが違う。菫は来てない、遅刻常習犯の町田さんはいる。なんで…いつもと違う時を進んでる…?
「どうしたの?かたまちゃって。ねえねえ、いつも加藤さんに話してること私にも話してよ!いつも楽しそうに話してるじゃない。ね?今、暇だし。」
楽しそうに…聞いてたの…?いいえ、ただの暇つぶし。
「だめなの?聞きたいなー」
いつもと違う…不思議な感じ。菫の席を借りて座る、そしてそっと口を開いた。
町田さんは飽きることなく私の話を聞いてくれた、ちゃんと返事も返してくれる。
少しずつ教室の人数が増えていき騒がしくなる。
「おはよ、なにしてんの?」
上から降ってきた言葉に驚いて顔をあげる。菫。
「私の話を聞いてもらったの。寝坊でもしたの?」
寝坊は大当たり、妹と喧嘩して考えてたら目覚ましセットせずに寝ちゃったんだって。
「香織ちゃん。さっきの話の続き、昼休み聞いてもいい?」
あ、今。一瞬だけ菫がすごい顔した。
「うん、いいよ」ってニッコリ笑顔。
たまにはこんな日もいいかもしんない…
違うお昼、違う雰囲気。でもやっぱり菫といたい。放課後は…なんて思ってたのに菫は怒ってて、なんでだか分からなくて。謝ったけど無理で。悲しくてよくわかんなくて、どうして?
「香織ちゃん?大丈夫?帰らないなら私たちと帰ろうよ。」
町田さんといると違う空気が吸える。