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残り、残る  作者: 友霊
7/13

大好き (町田 葉菜)

授業終了の合図。帰りのHRを適当に聞いてクラスの人たちが席を立つ。私に向かって言われた別れの挨拶に返事をしつつ教室出る。鞄は持たない。

「さーつき!」

職員室の隣にある保健室を除く。未だに涙の止まらないさつきがいた。

「大丈夫?体育で怪我したんだって?」

怪我っていっても走ってる途中でこけて膝を擦りむいただけなんだけど、脳内が幼稚園くらいから成長しない(病気ではない)さつきにとって相当痛いのと驚いてるのとパニックで感情が制御できてない。

少し泣き止んでたのに自分の膝を見て色々思い出したのかポロポロと涙がこぼれる。これには保険医もお手上げ状態だった。

「もう、さつき泣かないでー。美味しいクレープ食べに行くんでしょ?痛くないから、大丈夫だよー」

って、さつきってば本当に同じ高校生よね?これって高校生にかける言葉なのかしら…。なだめつつ、よしよしってさつきの頭を撫でる。

泣き止んだけど、目が真っ赤。

「ほら、笑って。いつものお話して?」

「うん!」

無邪気に笑うさつき。本当に妹みたい…。保険医に挨拶して鞄を取りに教室に戻る。中に誰か…

「でもさ、町田さんって男子に媚売ってるあたり性格悪そう。顔はあんなに可愛いのにカワイソウだね。」

…え?私のこと話してる…?今の声って加藤さん?

固まっているとドアが開く音、なぜか私はとっさに隣のクラスに隠れてしまった。

加藤さんと室井さんが教室から出て行くのを確認して教室に入り鞄を取る。昇降口で待ってるさつきを見たとたん涙が頬をつたった。

どうしたの?何で泣いてるの?って、さつきが心配そうに話しかけてくる。今まで自分の悪口を聞いたことがなかった私はよく分からない感情にのまれた。どうしていいか分からなかった。自分のことを心配してくれているさつきまで泣きそうだった。

「さつき、私…」

「大丈夫だよ、私がいるよ」

って、さっき私がやったみたに頭をぽんぽんってしてくれた。気持ちが和らぐと同時に視界が開けてきた。プッと吹き出す。え?なになに?ってオロオロし始めるさつきに対して笑い始める私。

私をなぐさめるために精一杯の背伸びをしてたことに気づいた私はそれが面白くって笑いが止まらない。

ちょっと不機嫌になってしまったさつきに軽く謝りながら美味しいクレープ屋を目指した。



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