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ジンクス!  作者: つぐみ
5/5

百物語

ジンクスとは違いますが…

「百物語しようぜ」


 暇を持て余した二雄が、そんなことを言いだした。


「は?」


 一也とゲームをしていた三葉が振り返る。

 その瞬間、三葉のキャラクターは谷底へと落下して行った。



「で、ウチでやるわけ」


 玄関を空けた色葉がうんざりした声を出した。


「おう!もう蝋燭も買ってきたぜ」

「嫌よ」


 即答する。


「こわいの嫌いだったか?」


 意外そうに二雄が尋ねる。

 色葉は以前、ホラーを見ていたはずだ。


「うん。最近すごいの聞いちゃって…」


 思い出したのか、眉間に深い皺が刻まれる。


「お、俺が…っ」

「怖くても俺が隣にいるからさ」


 一也の言葉を遮って、三葉が色葉に笑いかける。


「…わかった」


 「三葉の」言葉に、色葉は渋々ながらも頷いた。


 ちらり、と二雄は隣を見る。

 そこには肩を落とす一也の姿があった。


「…どんまい」

「……慰めんな」



「さて、と」


 夜も更けた頃、部屋の床に蝋燭を100本立て終え、四人は一息ついた。

 左側の落ち着いた可愛らしい空間と、右側のシンプルで無機質な空間の中で、それらは異様な雰囲気を醸し出している。

 三葉と色葉は、広い一室を家具で分けて共有している。今は家具を移動させ、真ん中に広い空間を作り出していた。


「火ぃ、つけるか」


 二雄が買ってきたライターを取りだす。


「……ねぇ」

「ん?」


 蝋燭の空き箱を手にした色葉が声を上げた。


「この蝋燭さ、燃焼時間3時間って書いてあるんだけど…」

「うん?」

「百物語って、百話話さなきゃいけないんだよね」

「…うん」

「無理じゃない?」

「………」


3時間=180分

180分÷100=


「……超早口で」

「無理だろ」


 二雄の言葉を、三葉が一刀両断する。


「あ…」


 一也もはた、と何かに気づく。


「おれ、そんなに怖い話も不思議な話も知らねー」


 100話を4人で話すとなれば、単純に考えて1人25話話さなければならない。


「……」


 おそらくこの場にいる誰もが、25話分の話題は持ち合わせてはいないだろう。


「……要は準備不足ってこと?」


 黙りこくった二雄に、色葉の言葉が突き刺さる。


「お、思い付きだったんだよ!」



結論:百物語は、まず実行することが困難である。



「さー、片付けよ。三葉、この前のゲームやろうぜ」

「おーよ。色葉、一也と二雄俺の方で寝るから、そっちで寝ていい?」

「良いよー」




百物語


〈百本目の蝋燭が消えたときに何かが起こる〉


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