デート注意!
チャイムと同時に、教室の扉が開かれる。
「おっはよー♪」
やけに上機嫌で入ってきたのは、担任の丹保だ。
「せんせー、やけに機嫌良いじゃん。デート?」
一人の生徒がからかい交じりにそう言えば、クラスから冷やかしの声が上がる。
「今週末にねー。ネズミ園に彼氏とデートよ!」
よほどうれしいのだろう。
生徒達の言葉にも、満面の笑みでVサインだ。
まだ年若い丹保は、恋多き女性だ。
そのことは生徒たちにも知られており、最近できた新しい彼氏との行く末を、クラス全員で見守っている。
連絡事項を伝えた丹保は、スキップしそうな軽やかな足取りで教室を出て行った。
「ネズミ園か…行きたいなー」
「じゃあ、今度4人で行くか?」
一也の言葉に、二雄が反応する。
「いいねー。色葉も行くだろ?」
隣に寄ってきた色葉に、三葉が声をかけた。
「うん」
色葉が頷く。
「そういやさ、ネズミ園ってジンクスなかった?」
ふと、二雄がそんなことを言いだした。
「あー、なんかあったかも」
「なんだっけ?」
「なんだっけ?」
いささか乱暴に教室の扉が開かれたのは、翌週月曜日。
眉間に皺を寄せた丹保が、教壇に立った。
先週とはあまりにも違うその様子に、生徒たちは週末に何が起きたのかをおおむね理解する。
「……先生、週末は」
クラスの勇者が、無言の丹保に声をかけた。
丹保は眉間の皺を深くすると、地を這うような声で一言返す。
「………最悪」
「喧嘩…?」
「大喧嘩して、そのままさよならよ」
「………」
一瞬泣きそうに顔を歪めた丹保に、生徒達はそれ以上の詮索をやめた。
「あ」
重苦しい無音の教室で、二雄の場違いな声が響いた。
全員が二雄を見る。
「あ…いや、はは…」
注目を集めてしまったことに苦笑しながら、二雄は妙に納得した気分になった。
(思い出した。ネズミ園のジンクス…――)
「付き合い始めのカップルが行くと別れる…」
思わず小さく呟いてしまう。
途端に、丹保の鋭い視線が二雄を射抜く。
「何か言った!?」
「なんもないっす!」
デート注意!
別れのデートスポット
モデルのランドは深く追求しないでください笑
地元にはカップルで乗ると別れるスワンボートや、神社があります笑
モデルのランドは深く追求しないでください笑
地元にはカップルで乗ると別れるスワンボートや、神社があります笑