8月22日 雨に打たれて
キクハラはミカを探しさまよっていた。
ミカがいるであろうサザナミ市へ来たものの、まったく情報が無かった。
携帯にかけても出ない。そりゃそうだ。
キクハラは安いホテルに泊まって明日を待つことにした。
次の日の昼、雨降る中でミカを見つけた。
ミカはポストの横でうずくまっていた。雨だというのに傘もさしていない。
キクハラはミカに何かが起きたのだと悟った。
ミカは泣いているようだった。
「ミカ。やっと見つけたよ」
キクハラはミカに声をかけた。三日ぶりにあったミカは少しやせていた。
ミカは声をかけられて顔を上げた。
ミカは一瞬何が起きたのかわからなくなったらしい。
「どうしてこんなところにいるの?」首をかしげる。
キクハラは雨に濡れた無防備なミカが愛しかった。
キクハラはミカを抱きしめた。
「何やってんのよ。こんなになって」
キクハラの目にも涙がたまった。
ミカの体は震えていた。
「何が起きたの?」キクハラは優しく問いかけた。
するとミカは何かを思い出したように目を開いた。
「いけない!あいつを止めなきゃ」
ミカはキクハラの手を振りほどいて立ち上がった。
キクハラはまたミカが離れていってしまうような気がした。
「嫌だ・・・」
「何?」ミカは聞く。
「行かないでよ。もう私のそばから離れないでよ」キクハラは思わず叫んでいた。傘をさした通行人がこちらを見る。
下を向いていたミカはやがて口を開いた。
「ごめん。もう戻れないから」
ミカは雨に打たれながら走って行ってしまった。
またキクハラから離れていく。
キクハラは声を上げて泣いた。
第8話です。
完結までもうちょっとかかります。
読んでいただきありがとうございます。