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青春部(仮)に入りませんか?  作者: 夏野ゲン
青春部(仮)に入りませんか?
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青春部(仮)に入りませんか?



「青春部(仮)に入りませんか?


 青春時代とは…若くて元気な時代を指します。

 つまり、青春を謳歌するとは、若くて元気な今の時代を楽しく過ごすことを指します。


 青春部は、一度きりの高校生活を楽しく青春するための部活動です。

 青春する内容はどんなものでも構いません。自分自身の一番にやりたいことに全力で向き合いたい人はぜひ青春部(仮)に参加してみてください!!


 説明会:4月28日(木) 第二講堂 16:30~

 歓迎会:4月29日(金) 時間未定


 部活動責任者連絡先: 2年3組 東雲舞」









 今朝、副会長に渡されたわら半紙を何度も読み返す。

 そして、何度読み返しても、「意味わかんねぇ…」という感想になる。


 まず、何をする部活動なのかよくわからない。

 サッカー部ならサッカー。野球部なら野球をする部活だ。

 なら、青春部って何をする部活だ?

 青春する部活って何よ?あれか?学園物のドラマみたいに河川敷で夕日に向かって吠えてみたり、殴り合いのけんかとかして、「やるなお前!!」「お前こそ!!」「ガシッ(固い友情の握手の音)」みたいなことをやるのか?


 文面を読む限りなんでもいいから楽しめることをやるって書いてあるけど…それって別に部活でなくてもいいんじゃないだろうか?

 わからない…わからないぞ。正体不明すぎる!!


 


 …というわけで、その日の放課後、ボクは正体不明の部活動の正体をつかむべく、単身、旧校舎にある第二講堂を目指していた。


「百聞は一見にしかず」


 正体不明なら見て確かめるよりほかにない。




 ホームルームが長引いて、説明会開始時間を十分過ぎたころに、ボクは第二講堂の入り口の前にたどり着いた。

 行動の入り口は昔ながらの木目のある木の扉で、中の様子はうかがいしれない。

 なんだか緊張しながら、二度ノックして第二講堂の扉を開ける。


「失礼しま…」


 ボクは扉を開けた姿勢のまま固まってしまった。

 扉の向こう側は、なんというか異世界だった。


 まず最初に目に飛び込んできたのは、しぶい顔つきをしながら写真を眺める顔の整った美青年。

 しかし、その整った顔は、微妙に気持ちが悪い感じにほほのあたりがゆるんでおり、なぜだか知らないがおぞましいほどの恐怖感を感じた。


 次に、目に入ったのは携帯ゲーム機を眺めながら熱心にかちゃかちゃやっている細身の女子生徒。

 ときどき、「だりゃあ」とか奇声をあげているのが何とも言えない。


 そして、そんな騒がしい中、平然と窓際の席で何かよくわからない分厚い問題集を解いている女子生徒。うつろな視線で問題集を解く姿には、鬼気迫るものがあった。


 最後に、極めつけ。

 その人物は、ここまで出てきた人物のように、表情におかしな所や、奇声を発していたりといった様子はなく、いたって落ち着いていて、おかしなところは無かった。そう。表情や態度はおかしなところは何一つなかった。


 …ただ、服装がおかしかった。

 

 なぜ、メイド服?

 なぜ、メイド服?

 なぁ、なぜに校内でメイド服?


 メイド服を着た、誰がどう見てもメイドさんは、ボクと目が合うとふわりと微笑んで、スカートの裾を持ち上げて会釈。


 それに思わず会釈を返して、ボクはそのまま、


「…失礼しました!!」


 それだけ言って扉を閉じた。




「百聞は一見にしかず」いい格言だと思う。でも、一見した結果、一見する前よりわからなくなっちゃった場合って、どうすればいいの…?



 



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