つんでれ~
「と、とにかく!!私はただ謝りたいと思っただけ。ただそれだけなんです。用は済んだので帰らせて下さい!!」
全力で長谷川さんは主張をし、講堂を出て行こうとする。
「うーん。困ったなぁ…」
布施さんがなにやら唸りだし、
「そうですね。困りました」
石田君がそれに同意する。
そして、石田君はさりげなくも無駄のない素早い動きで入口の前に移動し、布施さんは長谷川さんにの進路を片手で遮った。えっ?なに?
「なんですかっ!!もう!!返して下さいってば!!」
長谷川さんは相変わらず顔を赤くして怒っている。
「いやぁ…ねえ。ちょっと強引だけど、あたし長谷川さんのこと帰したくなくなっちゃったんだわ」
「? どういうことです?帰したくないって…」
布施さんの言葉に対して、怪訝そうな様子の長谷川さん
「「だって長谷川さん…」」
長谷川さんの問い返しに、布施さんと石田君がぴたりと同じ言葉で途中まで答え、
「面白いんだもん」「かわいいんですもの」
最後の言葉は全然違っていた。
「だって、デートだってからかわれただけでこんなに赤くなるツンデレなんて、そりゃあもう面白いし、いじるしかないじゃない!!」
「そうです!!素晴らしいツンデレぶり。そのかわいいツンデレを、昨今の様々なキャラクター設定ニーズにこたえるためにもぜひ勉強させてください!!」
二人は目を合わせると「ねー」と言って笑い合っていた。
会話の内容は全然かみあってないのに、なぜか意気投合している二人。
そしてその二人をみているのかみていないのか、長谷川さんはよくわからないといった顔で、
「…つんでれ?私が?」
とつぶやいていた。