表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春部(仮)に入りませんか?  作者: 夏野ゲン
青春部(仮)に入りませんか?
15/61

似た者同士



 朝の登校が憂鬱になることはよくあったけど、こんなに学校に行くことが気が進まないのは珍しかった。いつもの時間に家を出ると、ほたるにあってしまう気がして、少し早めに家を出た。

 いつもの曲がり角。ほたるの家への一本道。いつもより10分早い時間。いつも一緒に登校することになったのは、きっとボクもほたるも、毎日それぞれが同じ時間に家を出て、同じ時間にこの角にくるからだ。だから少し時間をずらせば、きっと逢わないはずだった。


「「あっ!?」」


 目と目があって立ち止まる。目の前に立っているのは、会うはずがない幼馴染。

 なんで時間をずらしたのにあってしまったんだろう…って考えるまでもない。ほたるもボクと同じ気持ちで家を出る時間をボクと同じだけずらしてきたんだ。




「ふふっ」


 ほたるはなぜかおかしそうに目を細めた。


「ふふふっ…」


 ボクもなぜだかつられて笑ってしまう。


「なっちゃん珍しいね?こんな時間に登校?」


「ほたるこそ珍しいな。なんかあるのか?」


 ほたるがボクを避けたように、ボクもほたるを避けようとした。そして鉢合わせ。

 おんなじように考えて、おんなじように動いた。

 っていうことは、きっと今ほたるはおんなじことを言おうとしている。

 

「「昨日はゴメン」」


 思っていたこと、言いたいことが同時に口からこぼれ出た。


 そして、やっぱり思わず笑ってしまう。


「一言で解決なんだもん。なんか変に心配してたのがバカらしくなっちゃった」


「まったくだ。ほたるとケンカなんて昔はしょっちゅうだったのに、久しぶりだから心配しすぎちゃったよ」


 やれやれ、という感じでお互いに胸をなでおろす。昔からケンカをしても1日後にはなんとかなっている。だからこそボクらはいまだにこうして幼馴染でいられるんだろう。


「なっちゃん」


「…なに?」


「ひょっとして私たちって似たもの同士?」


「…かもなぁ」


 ボクの答えを聞いたほたるは、機嫌よさそうに調子っぱずれの鼻歌を歌い始めた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ