入部者多数!!
「…くだらなくないですよ。くだらなくない、です」
誰かの口から、そんな言葉がこぼれた。その誰かは、悲しそうな顔をしている先輩の姿にいつかの自分を重ねてしまっていてもたってもいられなくなってしまった誰かさん。…つまりボクだった。
「ボク、先輩の話聞いて、いいなって思いました。自分の趣味のこと話せる場所が学校にあるっていいなって。きちんと聞いてもらえなくても、理解してもらえなくても、それでも自分のこと話せる部活っていいなって思いました。だからボク、この部活入ります」
先輩はボクの方を見て、少しだけ驚いた顔をした後、すっと目を細めた。そしてボクは、またその笑顔にドキッとしてしまう。
「そうだね、その人の言うことにあたしも賛成。あたしも自分のやりたいことやってると、居場所がないなって感じてたからさ。ぜひこの部活、入らせてもらいたいね。んで、この部室は晴れてあたしの居場所ってわけだ」
うーんと、伸びをしてから、窓際の女子生徒がそう言った。
また驚いたあとにうれしそうな先輩。
「…俺はもとよりこの部活に入るつもりだった。たとえこの部活が、どんな部活であろうとも。はなからそのつもりだった」
例のイケメンの男子生徒もこの部に入るといい、最後に残ったのは、これまで一言もしゃべっていない、かわいいメイド服の彼女。嫌でもみんなの視線が彼女に集まる。
「…この講堂は古くてなおかつメイドがいるのにふさわしい雰囲気を持っています。もちろんわたくしもこの部屋にいさせていただきたい所存であります」
中世的で聞きやすい、低めのアルトトーンで彼女はそう言い、スカートのはじをもってにこりと微笑み小首を傾げた。そのモーションはあまりにも様になっていて、この講堂の古い西洋的な作りと相まって、本物のメイドのようだった。
彼女はこの場にいたいと言った。ということは…部活に入りたいということでいいのだろう。
「と、いうことは」
「そういうことだね~」
「そうだな」
「そのようでございますね」
ボク達4人の入部希望者が口々にそう言い、先輩はそれに対して笑顔でうなずいた。
「ああ、ありがとう!!これで晴れて青春部(仮)設立だ!!」
そう言って笑った先輩の笑顔は、やっぱりくらくらしそうなほどに魅力的だった。