02_距離
最近、明らかにおかしい。
夢のせいじゃない。
白羽と紫乃だ
「湊、今日のお昼一緒に食べよう?」
朝のホームルーム前。
俺の席の横に立った白羽が、いつもの柔らかい笑顔で言う。
いつも通りのはずなのに、距離が近い。
近いというか……近すぎる。
「え、あ、うん。いいけど」
「ほんと? じゃあ、お昼に屋上行こ?」
白羽は嬉しそうに笑みを浮かべる。
その瞬間、反対側から椅子を引く音がした。
「……屋上?」
紫乃がじっと俺を見ている
「別に。風、強いし」
「大丈夫だよ?」
「何が?」
紫乃は一瞬だけ白羽を見て、それから俺に視線を戻す。
「……ずるい」
「え?」
「私には聞かないくせに」
「なにを?」
「一緒にお昼を食べるかって」
思わず言葉に詰まる
「いや、だって先に白羽が先に」
「だからでしょ」
少しだけ紫乃は頬を膨らませる。
「先に言ったら勝ちなの?」
「いや、勝ち負けじゃ……」
「じゃあ私も言う」
椅子を少し引いて近づく。
「湊。お昼、一緒に食べる」
「……疑問系じゃないの?」
「拒否権なんてないし」
でもその声は少しだけ柔らかい。
「だってどうせ、断らないでしょ」
「なんで断る前提なんだよ」
「……分かんないけど」
一瞬だけ視線が揺れる。
「屋上、三人で行くならいいわよ」
「やだとは言ってない」
「言ってるようなもんだろ」
紫乃は小さく鼻を鳴らす。
「別に。ずるいって言っただけ」
机の下でそっと袖を掴む。
「私も一緒に食べる。それだけ」
こうして俺は、二人とお昼を一緒に食べる約束をしたのだった。




