第八十四話 「城壁」
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先ほどこちらにレイブ将軍を中心に三十万の援軍と大量の物資が送られてきた。
地平線の向こうから現れた援軍は、まるで大きな蛇のようだった。
人、人、人――どこまで見ても兵の列。
風で揺れる無数の旗が、まるで大地そのものが動いているかのような錯覚を起こさせている。
兵士と物資が完全にそろうと、俺たちは会議をすることになった。
ただただ、ついてきただけの俺にはよくわからなかったが、会議が終わるとついに兵を動かし、攻め込む段階にまで到達することができた。
「これよりグリバッツ国と聖ロース帝国の連合軍によるヴァルデリア軍の撃退とグリバの街の奪還を開始する」
レイブ将軍の合図により、最初の十万の兵をグリバの街に向かって送った。
ヴァルデリア軍を撃退するには、グリバの街を奪還する必要がある。
十万の兵を指揮するのはラミネ将軍だ。
そして、俺はラミネ将軍に同行し、グリバの街を囲っている壁に向かった。
グリバの壁に着くと既にそこでは、多くの兵たちが攻防戦を繰り広げていた。
城壁の上からは魔法や矢が飛んできており、多くの兵が命を落としている。
「やはり、兵に任せては時間が足りんな……」
ラミネ将軍はぽつりとそう呟き、片手に剣を持って一人で城壁に向かって歩いて行った。
「え、ちょ!ラミネ将軍危ないって!」
ラミネ将軍は俺の静止の声を無視をして多くの魔法や矢が降り注ぐ城壁の前まで歩いて行った。
その様子に俺はやばいやばいと内心焦りながらどうしようかと考えていると、ラミネ将軍の部下たちは落ち着いていることに気が付いた。
「ラミネ将軍は一見武闘派ではないですけど、昔は、先頭を走って戦うほどだったといわれています」
隣の兵士が静かに言う。
城壁の前は敵味方問わず多くの死体が転がっており、血の海状態であった。
ラミネ将軍が足を止めると、空気が、変わった。
「わしが伊達に数十年将軍をやっていたわけではない……」
ラミネ将軍は剣を構え、剣にはオレンジ色の魔力が宿った。
「ヴァルデリアの賊共――城壁ごと砕け散れ『聖土斬り』」
振り抜かれた一撃。
その軌跡に沿って――大地が裂けた。
城壁が、崩壊し、ヴァルデリア兵ごと、まとめて吹き飛ぶ。
轟音が遅れて響いた。
一瞬の静寂の後――
「いけ!なだれ込むぞ!!」
どこかの兵の一言で多くの兵がそのグリバの街につながる穴にめがけて爆発するように走っていった。
「行くぞ行くぞ行くぞ!!」
街にいたヴァルデリア兵は急になだれ込んできた兵士に対応できずに戦線は街の奥まで押し込まれていった。
「やはり、城壁を落とすのは城壁を壊すのが一番早いのぉ~」
そう言ってラミネ将軍は戻ってきた。
「さぁわしらも行くぞ!!」
「は、はい!」
俺たちも後ろの兵士に続いて街に入っていった。
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