第九話 「戦闘」
俺がこの街に来て3日が経った。
今日は初めてのミッションをする日だ。
だが、ミッションと言ってもドラゴンを討伐したりする訳ではない。そんなミッションは大抵Sランクのパーティーがやることらしい。
それもそうだ。この世界のドラゴンは見たことがないが今の俺では余裕で死ぬ予感がする。
俺たち最低ランクのEランクのパーティーであり、ミッションの内容も城外に湧く雑な魔物を狩る程度らしい。
ちなみに1つのミッションの報酬の相場が20マーラ程度だ。これを仲間と分けると5マーラ。俺の借金500万マーラまで100万回もしないといけない。
だから、俺はパーティーランクを上げて報酬をもっと高くしたいと思っている。
城外には荒野が広がっていた。木々が何本かある程度で色も少し赤っぽい。
リーダーのサヴァの話によると魔物が多くいるヴァルデリア大陸と今俺たちが住んでいる、人類の住んでいるウェバック大陸が陸続きになっているところにグリバッツ国は位置しているという。
ミッションではこの辺で湧くコヨーテを討伐しろということなのだが見当たらない。近くにいた別の4人組パーティーに話しかけると
「え?あーねここにいたコヨーテなら俺たちが倒したよ。てか君たち、ちっさいね。大丈夫でちゅか?」
と背の高く細い白い肌の緑色の髪の男が話してきた。
「は?黙れ俺のメンバーを馬鹿にすんじゃねぇ」
とサヴァが言うと
「うるせぇ!まあいい。あと、ギルドに俺たちが代わりにやったって報告するから。じゃあ」
と言って去ってしまった。なんだあいつら感じ悪い。
いったんギルドに行って確かめると俺たちに言ってきた奴はマムというやつだった。奴らのパーティーランクは俺たちよりも2つもうえCランクだった。だが、俺達は今1マーラしか残ってないため今日の宿代ですら払えない。そのためギルドからミッションをもらうのではなく、自分たちでアイテムを手に入れて売ることにした。
これなら素早く稼げる。
とりあえず、また城外に出てみたのだが、いいアイテムがある場所はなさそうだ。
と思っているとミラが近くに森があると言ってくれた。その森は木々が多く奥が見えないほど暗い。
なかなかに不気味だ。
そんな森の奥へ進むと木のない開けた場所があり、中央には何かの巣がいくつもあった。
俺はなんだかわからなかったがサヴァたちすぐに走り出した。するとさっきいた場所の上空から10mはあろう青色のドラゴンが6匹飛んできた。
俺は死を悟った。
するとサヴァたちが駆けつけてくれ、ドラゴンの攻撃を防いだ。
そして、
「やるぞグレイス。」
とサヴァに言われ、目が覚めた。
俺は1匹のドラゴン相手に『聖水竜巻』を即座に詠唱し打ち込んだ。だが、さすがドラゴン。びくともしなかった。
そしてすかさず、『業火長槍』を打ち込んで撃破した。ギャバスも1匹撃破したようだが、まだ4匹残っている。しかもそのうち3匹はミラと戦っていた。
それを見たギャバスと俺はすぐに向かっていった。
俺は援護射撃として『岩弾』を撃って3匹に命中させ、その3匹が怯んでいるうちにギャバスが3匹の首を刈り取った。
サヴァの方を見るとサヴァも撃破したようだ。
案外簡単に戦えた。
ドラゴンの皮や牙をとって巣の中を見てみると少しだけだが、金のネックレスもあった。それらをギルドに持っていき、鑑定をしてもらうと120マーラになった。
4人で分けても30マーラだ。
そしてなんとパーティーのランクもEからD上がった。
今日は初めての1日にしては良かったと思う。
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