第六話 「別れと借金」
はぁ。1か月前の事件以降俺は家に出してもらっていない。
あの事件は俺が勝手に森に言ったのが悪いのだが、さすがにずっと自分の部屋にいるのも暇だ。
ラガーの勉強も最近は魔術の練習はしないし退屈で、飽きてきた。
俺がそう考えながらベットに寝転がっていると、コンコンとドアのたたく音がした。
俺が扉を開けるとそこにはラガーがいた。
「グレイス。ついてこい」
俺はラガーに連れられ、いつもの草原に来た。
「今日で最後じゃ、グレイス。完全に中級魔術を使いこなしたお前には最後に上級魔術を教えようと思う。本当は教えるつもりはなかったが、お前の実力を見誤っていたよグレイス」
ラガー...そんなこと思ってくれていたのか!?
俺はそう言われて心からうれしかった。
「ありがとうございます!」
俺は明るくそう言った。
「では教えるが、好きなのを選ぶがいい、1つ目は『聖水壁』、2つ目は『爆裂爆破』、3つ目は『業火爆発』だ。どれも非常に強力でその辺の山くらいなら地形ごと、地図から消すことができる。好きなものを選べ」
ラガーは俺に選択を迫った。
3つのうち2つは名前からして爆発系でなんだか強そうだな…。
どれにしようか迷う…。
だが、爆発系って何だかミスったら危なそうなような気がする…。
「なら、『聖水壁』でお願いします」
俺はミスっても安全そうな『聖水壁』を選んだ。
「そうか…。なら見るがよい、『聖水壁』を」
ラガーそう言って目を閉じ、杖を天に掲げた。
「万物の命を育む水よ、天より降り注ぎ、大地を潤し、深淵に満ちる永遠の流れとなれ、その浄化の力を今ここに解き放ち、全てを包み込み、破壊も癒しも超えた守護の壁と成せ、聖水壁!!」
詠唱を唱えを割った瞬間に大量の水が集まり縦横ともに50mはあろう超巨大な水の壁ができた。
そしてラガーが杖を前に出した瞬間、水の壁は支えを失ったかのように前に崩れ、地平線の限りあった木々や岩を壊していった。
その様子に俺は衝撃を受けた。
「これが上級魔術…?」
今まで使っていた中級魔術とは比べ物にならない。
これほどの威力とは…。
俺が驚いていると、ラガーが俺にやれと言ってきた。
「えっ?今ですか?」
「ああ。できなくてもいいぞ」
「わかりました」
俺は息を整え、呪文を詠唱する。
「万物の命を育む水よ、天より降り注ぎ、大地を潤し、深淵に満ちる永遠の流れとなれ、その浄化の力を今ここに解き放ち、全てを包み込み、破壊も癒しも超えた守護の壁と成せ、聖水壁!!」
その瞬間俺の前にもラガーほどではないが大きな水の壁ができた。
「ああ。できた!!」
俺が手を前に倒すと、そのまま水の壁が倒れ、地面が大きくえぐれた。
「よくやったグレイス。もうお前に教えることはない。これからは好きに魔術を学び、生きよ」
そう言ってラガーは少し寂しそうにそのまま去ってしまった。
ラガーと別れてもう1年が経った。
最近では上級魔術も無詠唱で使えるようになった。
だが、まだ上級魔術の無詠唱はできないままだ。
いつになったらできるのだろうか?
本などを読んでいるとさまざまな魔術が書いてあるが、最上級魔術は一切載っていない。
マリーネに聞いてみると、魔術は最上級レベルになるとそもそも魔力消費が尋常ではなく、攻撃魔法だと簡単に町1つを消し飛ばすほどの威力を出すことも可能なため、広い敷地のある首都の大学に行かなければならないらしい。
残念だ。
だが、俺には大学に行く気力もないし、そもそも年齢的に行けるわけがない。
10年たったら行こう。
そう考えていると、家のドアからコンコンとノックのする音がした。
ダレンが扉を開けるとなんだか急に騒がしくなった。
そして大男が何人もゾロゾロと入ってきて家のものを物色し始めた。
俺は何事かと思ったがダレンは顔が真っ青になりながら泣いていた。
すると、また家に黒ずくめのいかにも悪役のようなみたいながダレンに言っていた。
「この家とこの家にあるものでは5万マーラ程度だぞ。」
「そんな...」
泣き崩れるダレンを見て俺は怒りが湧いてきた。
つい、俺はその大男たちに『業火』で攻撃してしまった。
大男たちは身体中に大火傷をおって地面に転がっていたが今はそれどころではない、黒魔術師みたいな男だけは立ったままだった。
そして手に持っている杖を振った瞬間に俺の体は拘束され、抗う間もなく、眠気に襲われそのまま寝てしまった。
「面白い。こんなに小さくてこれほどの魔術が使えるなど初めてだ。よし、この子をもらう。借金はチャラだ。じゃあ帰るぞお前ら」
「おい、俺の大切な子供を返せー」
と泣きながら言ってくる声が最後に聞えた。
目を覚ますと牢屋の中だった。
牢屋の前には俺を眠らせた男が1人立ってきた。
「やあ、目が覚めたか。」
「ここは?」
「ここはお前のいた聖ロース帝国の隣国のグリバッツという国だ。」
俺は自分の国しか知らなかったため地図を見せてもらうとそこには5の大陸があった。
眠らせた男によると西側にある大陸が人類の住む大陸らしい。そしてその大陸の南にあるのが神聖マーロ帝国だった。
グリバッツという国は北側だった。
距離にすると7000キロほどだそうだ。
絶望の中、何故俺を連れ去ったのかと聞くと
「お前の父ダレンが1年前にカジノで500万マーラを溶かして俺らに500万マーラ借りたのさ、そして俺たちは借金を返済を助けてあげるためにお前を買ったから連れ去った。」
「俺はどうしたら?」
と問うと眠らせた男は
「帰りたいなら500万マーラ払え。お前魔術できるだろ?働いたらどうだ?まあ、働いても数十年はかかると思うが…」
「どこで働けば?」
「とりあえず出ろ。」
と牢屋から出してもらえた。
そして、階段を上がった先に広がっていたのは城壁に囲まれていてレンガ造りの家が広がっている巨大な都市だったのだ。
「この街はグリバッツ国の首都である。ここならいくらでも仕事が見つかる。自由にしろ。ただし、これだけはつけてもらう」
そう言って足につけられたのは魔力の入った石だった。
きっと、これで位置情報を確かめるのだろう。
宿も自分で探せと言われ、追い出されてしまった。
いったいこれからどうすればいいだ…?
1マーラは日本円にして約1000円ほど
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