第五十五話 「吸血鬼の肉体」
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(頭が痛い。何があったんだ…確か俺は…)
と俺がそっと目を開けると真っ暗な牢屋の中にいた。俺は牢屋に入るのはこれで3度目だ。ふと、起き上がり周りを見渡した。
この牢屋はかなり広い。ここは牢屋というよりも動物の檻のようだ。俺が歩こうと一歩足を前に出した時、足の裏からボキボキと変な音が鳴った。
(んっ?何の音だ?)
俺が気になって地面を見ると、そこは人の骨があった。
(!?本当に動物の檻に入ってしまったのか!?)
と恐怖に駆られていると上から
「起きたの?」
と幼い少女の声が聞こえてきた。
(何だ?)
と思い上を見上げるとそこには飛んで俺を見ている吸血鬼リリスがいた。
「生きてたのか?」
「お姉さまのおかげでね」
「ずっとここにいるのか?」
と俺が聞くと
「何百年もね。マティミエスに行ったのが初めての外だったの」
「そうか。だが、関係ない」
と俺が魔術も使おうとした瞬間。急に全身に激痛が走った。
「うぐっ!!」
俺が激痛でもだえ苦しんでいると
「きゃはははは。あなたはまだ完全には吸血鬼になりきれてないようね」
「な、なんだって!?」
「あら?しらないの?あなたはお姉さまによって吸血鬼にされたの。つまり、今日からあなたは私の弟になったの!!」
と言われた瞬間に思い出した。俺が吸血鬼カーミラと戦って、最後に俺の血を吸われて気絶してしまったことを。
「俺の体が吸血鬼に?」
ともだえ苦しみながらそういうと
「そうよ。」
「うそだ…」
と否定すると
「まぁそんなに悲しまないで。吸血鬼になれば私のように何百年と生きれるわよ」
(うそだ…俺が…)
次の瞬間俺の体が急激に変化し始めた。
俺の口の中の2本の犬歯が伸び、背中からはコウモリの翼のようなものが生え、体が軽くなったような気がした。
「あなたもこれで吸血鬼ね」
と牢屋の鍵が開き吸血鬼カーミラとメイドが現れた。
「いつ来てもここは息苦しいわね」
「はい。お嬢様」
「私を出してくれるの?お姉様」
「あんたにかまってる暇はないの。さぁ立ちなさい」
「お姉様なんて!ベーだ」
と言い吸血鬼リリスは牢屋の奥の闇に消えていった。
「はぁ。あの子ったら…。まぁいいわ。ついてきなさい」
と言われ、俺は言われるがままに牢屋の外を出た。この牢屋は地下にあるようで上に行く階段を昇って行った。上に出ると、3日前まで跡形もなく消えていた館が元通りになっていた。
(ファッ!?)
と俺が驚いていると
「このくらいなんてことないのよ。私にかかればね」
と言った。
(心を読まれているのか!?)
と俺が警戒すると。先頭を行っていたメイドが扉の前で立ち止まり、その扉を開けた。すると、その部屋にはラングとエリーナ、そして、シビルが鎖に縛られた状態でいた。
「おいっ!グレイスだ!」
「えっ!?グレイス!助けてー」
とラングとエリーナが言った。
「実はね。私。この子らの話を聞いてるうちに私もウェバック大陸に行きたくなったの」
と吸血鬼カーミラが言い出した。
「えっ!?お嬢様?どういうことですか?」
とメイドが焦り出すと
「落ち着きなさいクロノア。あなたがこいつらと戦っているときに私が私たち以外のお父様とこの屋敷にいた者を殺したじゃない。実はその時に一緒にいた魔帝ヴァルデリアの使者を殺しちゃったの。でね。あと2、3日したらヴァルデリア国の大軍がこの国に攻めてくるの。だから、私たちもついていこうっていうわけ。分かる?」
「わかりますけど、しかし…」
と心配そうにメイドが言うと
「それに、こいつに興味があるの」
と俺のほうを見て
「わかりました。妹様もつれていきますか?」
「当り前じゃない」
「わかりました。今すぐ荷造りしてきます」
と言って部屋を出た。俺たちは意味が分からずに呆然としていると、吸血鬼カーミラが手をラングたちのほうへ向けてラングたちの鎖をほどいた。
「ふふ。これからが楽しみね」
と言って吸血鬼カーミラも部屋を出た。
「んー。味方になったってことでいいのか?」
とラングが言うと
「いいんじゃない?」
と俺が答えた。
「てか、グレイス。吸血鬼になったって本当?」
と聞いてくれた。そういえば体の羽がなくなっている。
(なんでだ?)
と思い背中に力を入れるとまた羽が出てきた。
「わー。すごいー」
とエリーナが喜んでいると俺もなんだか吸血鬼になっていいような気がしてきた。
「吸血鬼になったら、昼に動けないんじゃないか?」
「確かに…」
となっていると部屋に入ってきたメイドが
「大丈夫ですよグレイス様。昼でも傘を差せば大丈夫です。それに、日に当たっても少し肌が焦げる程度です」
「そうなんだ。ありがとう…君のこと何呼んだらいいの?」
と俺が聞くと
「私のことはクロノアとお呼びください」
と言われた。
そうなのか。傘を差すだけでいいいのか、案外吸血鬼って便利なのかもしれない。
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