第五十四話 「吸血鬼カーミラ」
6000pvを突破しました!5000PV突破したのが、先月の5月22日なので約3週間で1000PVも増えました!ありがとうございます。今後は1万PV(ちょっと無理かな?)を目標に書いていく予定なのでよろしくお願いします。
吸血鬼カーミラは紅い月をバックに飛びながら
「さぁ死になさい『悪魔の支配者』」
と、吸血鬼カーミラを中心に、蜘蛛の巣のような形を描いたレーザーと大きな魔力弾が放たれた。レーザーは当たった建物を瞬時に壊しており、当たればひとたまりもない。しかも、レーザーによって俺たちの動ける範囲も制限されてしまっている。
俺は『最上級防御』を張りレーザーを防いだ。しかし、威力が高いのでいつ壊れてもおかしくない。それに、ラングはエリーナを背負って逃げている。このまま攻撃を防ぎながらではラングと言えども難しいだろう。
とりあえず俺は『聖風竜巻』で上空に上がっていった。
俺が上空に上がると攻撃も止まり
「あら?あなたも飛べるのね」
「なんで俺たちを攻撃する?」
「少し、興味がわいただけよ。まだまだ見せてもらうわ『千本の針の山』」
吸血鬼カーミラを中心に、何千本の針のように鋭い魔力弾が放たれた。今度の攻撃も俺は避けるので精いっぱいだ。
(反撃をしないと…)
俺は『業火長槍』をカーミラに向かって放った。『業火長槍』は魔力弾の隙間を通り抜け、吸血鬼カーミラに直撃したと思った次の瞬間。吸血鬼カーミラが俺の『業火長槍』を掴み、逆に俺の方向に『業火長槍』を投げ返してきた。
(はぁ!?数千度の炎の槍だぞ!?)
と俺は想定外の攻撃に『最上級防御』で対応するしかなかった。
俺がその攻撃でひるんでいると
「私は吸血鬼よ。こんな炎じゃ熱くもない。『吸血鬼幻想』」
と言い放った瞬間に全方位に直径2mはあろう巨大な魔力弾を何百と放った。
(吸血鬼は魔力量が人間に数十倍以上だとは聞いていたがこれほど強力な魔術を連続で放つとは…)
と感心していると。
吸血鬼カーミラが急に数十匹のコウモリになり、俺の後ろに回った。
「これが本当の炎よ『吸血鬼の炎』」
と言い。大きな炎の弾を何百個と俺に向かって飛ばしてきた。
避けるだけで炎の温度の高さが分かる。かすっただけで、俺の肉は一瞬で灰になるだろう。
しかも、時間を重ねるにつれてどんどん炎の弾を発射するスピードも速くなっている。連続で戦っていたため、俺は一瞬の隙があった。その数秒で吸血鬼カーミラは俺に巨大な炎の弾を放っていた。
俺がその存在に気が付いた時にはもう目の前に迫っていた。
(終わった…)
と覚悟した瞬間。ラングの剣が飛んでき、俺の目の前にある一つの魔力弾を破壊した。
(助かった…)
と俺が安心すると
「俺だって手伝うぜ!グレイス!」
俺はその声に元気づけられた。
そして、俺は吸血鬼カーミラがラングの攻撃に驚いている隙に『業火爆発』を放った。
『業火爆発』は吸血鬼カーミラの目の前まで飛んでいきその場で大爆発を起こし、もくもくと黒い煙があたりに一面に広がった。
「やったか?」
俺がそう言うと爆発の煙の中から何やら紅色の光が出ているのが見えた。
俺はすぐに身構えると
「いいじゃない。あなたのことがすこし気になっちゃったわ。『紅色の主』」
次の瞬間には無数の大小様々な魔力弾が円を描くようにばらまかれた。見た目は花火のように美しかったが、その正体はすべて魔力弾当たれば一瞬でお陀仏だ。俺はとにかく弾を避けまくった。すると、
「ふふふ。いいわね。あなたをもっと見せてちょうだい『紅色の悲劇』」
すぐに大きな魔力弾が吸血鬼カーミラのまわりに現れ、次の瞬間大量の大きな魔力弾が集まって俺に向かって飛んできた。
これだけの数の攻撃防ぐのは不可能だ。俺は相手の攻撃にぶつけるために『聖水竜巻』を放った。
俺の全力の『聖水竜巻』は小さな山程度なら簡単に穴をあけれるほどのエネルギーを秘めている。だが、『紅色の悲劇』のエネルギーはすさまじく、ぎりぎりで相殺できた。
だが、相殺時の爆発によって俺は地面にたたきつけられた。
「うううう~…」
俺が瓦礫の間から顔を出すとラングがすぐに俺の体を支えてくれた。
「ラングありがとう…」
「ああ」
俺が立つと
「私の攻撃を相殺するなんて…。でもこれが最後の攻撃よ『紅色の理想郷』」
吸血鬼カーミラのまわりすべてに街を覆い隠すほどの大量の魔力弾が現れ
「さぁ?どうかしら?」
と一瞬だが、にやりと笑った吸血鬼カーミラの顔が見えた。そして、次の瞬間には大量の魔力弾が集まりカーミラを思わせるような巨大な魔力弾の塊に変形した。
「これは大きな私よ。さぁ私を受け止められるかしら?」
とその形を維持したまま、俺に向かってきた。
(絶対避けれるわけない…)
そう覚悟した。
だが、俺は全身全霊で『聖水壁』を放った。
全身全霊の『聖水壁』は瞬時に縦横ともに数百m級の巨大な水の壁になった。
これだけあれば攻撃を防ぐのに十分だろう。俺は『聖水壁』にかかっているすべての魔力を解除した。
すると、いままで自立していた『聖水壁』は吸血鬼カーミラのほうに倒れ、すべての魔力弾と吸血鬼カーミラを飲み込みながら倒れていった。
(水が弱点の吸血鬼だ。これで一緒に死んだだろ)
俺はそう思ってすぐにラングやエリーナ、シビルのもとにやってきた。
幸いシビルは倒れていたが、ラングがすべての攻撃を防いでくれていたらしい。
すると、
(2人連続で戦うと、魔力が持たない…。これが火事場の馬鹿力というやつだろうか?俺は吸血鬼カーミラの圧によって俺の魔力は増大したような気がする)
もう夜明けだ。太陽が昇ってきているのが見えた。
俺が一息つこうと座ろうとした瞬間。瓦礫の隙間から、1本の長い針のようなものが俺の首に突き刺さった。
「うっ」
という声を出すと
「どうしたの?」
とエリーナが声をかけてきた。
「離れろ!!」
と大声で言うと俺の後ろには吸血鬼カーミラが飛んでいた。
「この程度では死なないわ。あなたのことが好きになったの。あなたを吸血鬼にしてあげる」
と言って手に持っている長いしっぽから俺の血を吸い取り始めた
俺の体から血が抜き取られていく。
(俺の体から熱が失われていき、頭がぼんやりしてきた…)
そして、俺はそのまま意識を失った。
「ぷはぁ~おいしい血。これであなたも吸血鬼の一員よ」
と口のまわりいっぱいに血の付いた吸血鬼カーミラが倒れている俺に向かって言った。
「ねぇ!!早く!!」
とエリーナが泣きそうな声でラングを呼んだ。
「おい!!グレイスを!!よくも!!」
とラングが剣を握った瞬間。ラングの手に向かって1本のナイフが飛んできた。
「お嬢様お守りいたします。」
と倒したはずのメイドが吸血鬼カーミラの前に立ちふさがり
「あら?クロノア生きてたの?」
「すいません。お屋敷を守れなくて…」
「まぁいいわ。」
と吸血鬼カーミラが言い。血を吸いつくされ、皮と肉だけになった俺の体を魔術で運びながらボロボロになった館の中に入っていった。
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