第四十八話 「出発」
俺はベットの上で目が覚めた。
ここはどこだ?頭が痛い。昨日の夜のことは思い出せずにいると横には下着姿のエリーナが寝ていた。それを見た瞬間
(そうだ。昨日の夜酒に酔っていたエリーナの体を洗ってあげるために服を脱がそうとしたらけられてそのまま気絶したんだった…)
と昨日のことを思い出した。俺はばれないようにそっと起き上がるとエリーナが
「誰かいるの…?」
と目をこすって起きようとしてきた。俺は急いで部屋を出てラングのいる部屋に入ろうとドアノブを握った。するとドアには鍵がかかっていた。
(まずい。鍵はエリーナの部屋の机に置いてきた…)
俺は急いでエリーナの部屋に戻った。部屋に戻るとエリーナはまた寝たようだった。俺は一安心してエリーナの部屋を出るとラングの部屋の鍵を開けた。ラングはベッドの上でぐっすり寝ているようだった。俺は窓の外を確認するともう日が昇っていた。11時ごろだろうか?俺は腹が減ったのでラングやエリーナと朝食を食べに行くことにした。俺がラングを起こそうと揺さぶるとラングはすぐに起きた。
「ふぁ~。もう朝か。よっし。朝食行くか。そういえばエリーナは?」
「あっ。エリーナね。忘れてた、起こしに行ってくるよ。」
と俺はエリーナの部屋の前に行った。
(出るときに鍵は閉めてないからな…)
俺はエリーナの部屋のドアをたたくと案の定反応がない。
(やはりまだ寝ているんだな)
と一安心するとそっと扉を開け、寝ているエリーナの横に立つと
(ラングも着替えているところだ。今なら少し触ってもばれないよね…)
と俺がエリーナの胸を触ろうとした次の瞬間エリーナの強烈な蹴りが俺の股間めがけて飛んできた。
俺は間一髪で『防御』で股間を防いだ。
(危ない危ない。エリーナ寝相悪いんだった)
俺はエリーナの胸を触るのをあきらめ次また攻撃されないように『電気』で起こすことにした。俺が『電気』放つとエリーナの頭に直撃した。エリーナの頭に直撃するとエリーナが
「わっぁ!!」
と言って起きてきた。そして、『電気』が直撃した影響からなのか髪の毛がチリチリになっていった。俺はその姿に大爆笑してしまった。それに築いたエリーナは顔を赤くそめ、こちらをにらみ
「さいってー!!」
と言って近くにあったシャンプーなどを俺に向かって投げてきた。
俺はそれらのすべてをよけて謝り、許してもらうことができた。俺が一息つくと
「ちょっと出て行って。着替えるし、髪を直さないといけないから」
と言って俺を部屋から追い出した。
俺が部屋から出されると部屋の前にはラングがいた。俺はエリーナを起こすためにしていたこととその結果をラングに話すとラングも爆笑していた。そんなこんなで30分ほどたつとエリーナが部屋から出てきた。
俺たちはそのまま一階にあるレストランへ向かった。そこのレストランで朝食が運ばれるまでの間エリーナが
「あぁ~頭痛い。二日酔いかもしれない。今日旅立つって本当?」
「うん。そうだけど」
「えぇーむり」
「ダッチさんと馬車の用意してくれるって約束しているから無理です」
「えぇー…」
とエリーナは黙った。こればかりは仕方がない。少しすると朝食が運ばれてきた。
どれもとてもおいしそうだ。
朝食を食べ終わると俺たちはダッチさんたちがいる役所に向かった。
役所につくとダッチさんは扉の前で手を振ってくれた。
「やっと来たか。思っていたよりも遅いな。こっちは出発の準備はできている」
「ありがとうございます」
「なぁに遠慮するな。街を救ってもらったんだ。安い御用だよ。あと、お前たちの出発を見届けようと町の人たちも集まっている。あと、俺からこの街を代表して、君たちに渡したいものがある。」
と言って奥にいた従者が俺に杖を差し出してきた。
「えっ!?いいんですか?」
と俺は喜んだ。ここに来てからというもの杖なしで魔術を使っていたからか、魔力の消費が激しくなっていたところだ。
俺が杖を持つと杖の先端の魔鉱石が青白く光り輝いた。
「これはこの街で一番いい杖だ。さぁ受け取ってくれ」
この宝石。この魔鉱石の秘める魔力量。最高級なものに違いない。きっとマーロなら数百金貨するだろう。
「ありがとうございます。」
「あと君たちにもあるぞ」
と言ってラングは剣を。エリーナにはお守りが渡された。
「なんで私だけお守りなの?」
とダッチさんに言うと
「このお守りは最高級の厄除け効果がある。きっとこれからの旅に立ちはばかる困難をすべてこれがのぞいてくれるに違いない」
と話すと。
「あっそ。」
とエリーナ言って乱雑にポケットにしまった。
俺たちがそのまま馬車のある大通りのほうに向かうと馬車とダッチさんたちと同じ種類の魔族の従者が一人いた。すると、その従者
「お待ちしていました。私はシビルです。私はあなた様方を守る命を懸けるのでよろしくお願いします」
と俺たちに挨拶してきた。
「こいつはお前たちの馬車の運転手兼剣士だ。剣士としての腕前はまだ、上級だが、弓術、槍術などいろいろできる万能型だ」
「よろしく」
とラングが従者に挨拶した。
「よろしくお願いします」
「さぁ。挨拶はこれくらいにして、出発だ」
とダッチさんに言われ出発することとになった。ここから、馬車でウェバック大陸までおよそ1年の旅路か…。俺たちは街の人たちに見送られながらこのマティミエス国を去った。
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