第四話 「練習」
ある日俺はいつものようにラガーの魔法の授業を受けていた。
最近やっとのことで魔法の実践練習をできるようなった。
俺はアニメや漫画の主人公ようにすぐに魔法が楽々使えて、悪の大魔王や封印されていたドラゴンとかを倒して英雄扱いみたいなのを想像していたがやはり現実は厳しいようだ。
例えば初級魔法『業火』という炎属性魔法があるのだが、これが案外難しい。
詠唱やサイズの調整や勢いの調整が難しくつい先日も、制御できずに家よりもでかい炎を出してしまって家を焼きかけてダレンに怒られたところだ。しかし、こんなところで凹む俺ではない。せっかく異世界に転生できたんだ。しっかり努力してやる。
何週間もずっと練習するとやっとコツを覚えてきた。
人は慣れてくると誰でも調子に乗るものである。俺は出来心でラガーに魔法を使った対戦をしようと言いだした。ラガーは少し考えたが、すぐに承諾してくれた。そのときの俺は自分の実力を過信しすぎていた。
近くの野原に移動し対戦の挨拶を交わした後の開戦の合図とほぼ同時に高火力の『業火』を詠唱した。しかし次の瞬間詠唱なしに俺の出した炎を一瞬でかき消すかのように大量の水が回転しながらすごい勢いで俺に向かって飛んできた。俺は避けようとしたが避けられずに直撃し、その場でなす術なく倒れた。
目が覚めるとベッドで横たわっていた。実は俺が倒れた直後にナンシーが騒音を聞きつけてきてくれたおかげですぐに処置できたそうだ。横の方を見るとラガー申し訳なさそうにちょこんと座っていた。ラガーによると久しぶりの対戦でつい、やりすぎてしまったらしい。
ちなみに、俺が倒れた水属性の魔法は上級魔法の『聖水竜巻』だそうだ。そしてなぜラガーにあの時なぜ詠唱せずに魔法を出せたのかと聞いてみたところ、
「無詠唱だ」
と帰ってきた。
え?無詠唱もあるの!?と少し心の中で驚いてしまったがまあ、あのハリー・〇ッターの世界でもあったくらいだし当然と言われればそうかもしれないような気がするが俺はいち早くその呪文を使えるようにするべくラガー教えてくれと頼みるが
「無詠唱は、センスだ。できるものは一瞬でできるしできない奴は一生無理だ。つまり、教えてもらうよりなんとなく練習してできそうだったらできるぞ。」
と言われた。
何日かはラガーの授業がなくなった。
まあ、仕方ないと思いつつ俺はその数日を有効活用するために庭で無詠唱の練習をすることにしてみた。無詠唱する魔法は考えた結果操作性がよくてバランスのいい水属性の魔法で行くことにした。
心の中で詠唱していると早速手のひらの中心からごくわずかの水が出てきた。だが、この量では魔法で出したのか汗なのかどうかわからない。
俺はその調子で練習を続けてから二日たった。
俺自身もしかして才能ないのでは?と疑心暗鬼になりながら練習していた時ついに、手のひらの中心から1Lほどの水が出てきた。
その瞬間俺は大きな達成感を得られた。
それと同時に俺には才能がある!!ということの証明にもなってもうれしかった。
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