第三十六話「第一の街に到着」
俺は日の光で目を覚ました。
俺は外を見ると昨夜張っておいた結界の効果はまだ切れていなかった。
俺は一安心してラングやエリーナのほうを見た。すると、昨夜はしっかりと結界の中に入っていたはずのラングがなぜか結界の外で寝ていた。これはまずいと思った俺は急いでラングを起こしに行った。俺が起こすとラングは
「ふぁ~なんだ~」
と何も知らないようだった。
「なんでこんなところで寝ているのですか?」
「ンッ?あーね多分俺の寝相が悪いだけだ」
眠たそうに言ってきた。はぁ?と思ったが俺は
「この辺は多分コヨーテが多いので結界の中に入らないとおそらく死にますよ」
「ああ。気を付けておく」
と言ってくれた。次もしも結界の外で寝ているのを発見したらそなまま見殺しにでもしようかと思ったがやめることにする。今の状況で1人いなくなるのは大痛手だ。
はぁ、このまま帰れるのだろうか...泣けてくる。
俺がそう思いながら空のほうを向いていると、
「ふぁ~」
とようわからない声を出しながら、エリーナが起きた。
俺たちは、朝食を食べるとまた一番近くの町にいくた目に歩き出した。
何日も何日も過ぎた。もうそろそろ2週間になるころだ。
このたった2週間で大きな成果があった。
それは、エリーナが防御魔術を使えるようになったことだ。まだ、コヨーテ程度のひっかきを防ぐ程度だが、それでも俺たちが今までよりもエリーナのことを考えずに、戦闘に集中できるようになった。これには大きな成長を感じる。
俺たちが一休みしようとした時、先頭にいたラングが
「あっ!....」
と何かを発見したように言った。俺たちはその声を見るとすぐに前のほうを向いて驚愕した。
そこにあったものは20mはあろう巨大な壁だった。その壁中央には今は閉まっていたが巨大な門があった。そうそれが俺達が行きたかった街である。だか、街というより城塞都市にちかいような気がする。
俺たちは全速力で門に向かって走った。門の前に立つと圧倒的な超大迫力だ。これほど大きな壁は見たことがない。まるで進撃〇巨人の壁のようだった。ラングが門にある普通サイズ扉をたたくと魔族の衛兵が出てきた。ここはヴァルデリア大陸なので当然だが
「おい。何事だ?」
「えーと…町に入れてください」
ラングが頼むと
「すまないが今は戦争中だ。無理だな。ところでお前たち珍しい身なりだな。どこから来た?」
「俺たちはウェバック大陸からここに誘拐されてきた」
とラングが話したすると衛兵は
「そうか…。なら長官に取り合ってみる」
と言って街の中に入っていった。何分か門の前で待っているとその衛兵が帰ってきて
「入ってよい。だが、話を聞いてから町に入れるかどうかを決める」
と言って中に入った。街の作りはウェバック大陸と同じくらい綺麗だった。だが、やけに静かだ。戦争中とか言ってたな、その影響か?少し街の中を歩くと市役所?のような建物に連れていかれた。俺たちは建物の談話室のようなところ待っているとすぐに衛兵とその長官らしき魔族が入ってきた。見た目から察するにこの魔族は魔術を使って肉体強化をするフィジカル最強系の魔族だろう。衛兵と長官が座った瞬間に長官が口を開き
「お願いしますこの国を救ってください!!」
床に土下座をしたのだ。それに俺たちは驚いて言葉も出なかったが続けて、
「我がマティミエス国はいまヴァルデリア帝国の傘下ヴァンパ国と戦っています。もう我が国にはこの首都の町しか残されておりません。この平原を15歳程度の少年少女が生き抜くなど過酷そのもの。それを生き抜いたあなたたちはそれなりの実力者と見ました。それに、あなた方ももし、ウェバック大陸に帰りたいならヴァルデリア帝国での戦いはさせられませんよ。なぜなら、ヴァルデリア帝国は人類を最大の敵としていますからね。もし、この戦いで勝てば私たちもあなたたちをウェバック大陸に帰れるよう全力で支援します。」
うーん...これは厳しい。俺は今すぐにマーロに帰りたい。しかし、ヴァルデリア帝国で戦うのは嫌だ。魔族は俺たち人類以上に魔術に詳しく、俺くらいの魔術師など魔族からしたらその辺にいるようなものだ。俺は悩んでいるとエリーナが
「いいわよ。困っている人は見逃せないわ」
と言い出した。はぁ!?うそだろ?うそだろ?エリーナは戦えない。俺とラングが戦うことになるのは目に見えている。俺はエリーナを止めようとするとラングも
「仕方がない。いいですよ」
と言い出した。反対派は俺1人だ。俺は渋々この戦いに参加することを決めた。
戦争に参加するのだ。やはり、マティミエス国の人々との会話は必要不可欠だろう。だが、今の俺にはそれができない。魔族語がわからないからだ。
なので、俺はこの街の図書館に行って調べてみることにした。言語の壁は大きいだろうが、仕方がない。しかし、ラッキーなことにここにある本は前世でいう英語のような世界共通言語のグノシン語で書かれていた。グノシン語は幼い時にマリーネに教えてもらっていたから基本はわかる。
俺は魔族語を覚えるために本を読み漁っていると、本に挟まっていった紙にとても便利な魔術が書かれていることを見つけた。
それは『翻訳』だ。この魔術は魔力が続く限りあらゆる言語を使用者の理解できる言語に置き換えてくれ、自分の言ったことも相手にわかる言語に翻訳してくれるとかいう超便利な魔術であった。いわば「ほんやくコンニャク」のようなものだろう。
だが、少し疑いつつも使ってみると、今まで何言ってるかわからなかった人たちの会話がわかるようになった。
よっし!これで戦争に備えられたな。後でエリーナにも教えてあげよっと。
読んでくれてありがとうございます。もし、気に入ってくださった方はブックマークや評価をしていただけると励みになり嬉しいです。また、X(旧Twitter)もやっているので是非フォローやコメントしてください!




