第三十二話 「敗北」
この俺は今人生の絶頂期にいると思う。
なぜならこの俺はギャンブルの天才だからだ。
前回26金貨勝ちして以降仕事の合間にずっとここにきている。
ずっとここに来初めてもう5か月以上たっている。
今までの合計200金貨勝ちだ。
俺は今まで父親のギャンブルが原因で借金を返すためにグリバッツ国に連れていかれていたため、ギャンブルが嫌いになっていたが、今は違う。
俺は勝者だ。
あのギャンブル下手な父親とは違う。
と思ながら俺はまた、裏カジノに来た。
以前は生活費を稼ぐために来たが、今は勝つためだけに来た。
俺は椅子に座ると近くにいた男が近づいてきて、
「よっし。やるか」
と言って座ってきた。
この俺達はじゃんけんをして勝ったほうが親か子かをを決める。
今回俺は負けた。
相手は子を選んだ。
今回は俺が親だ。
相手は、10金貨賭けてきた。
このゲームは、親がカードをシャッフルして一枚選んで引くそして、子側の相手はカードに書かれた数を当てる。
そんなゲームだ。
俺が引いたカードの数字は6だった。
相手は俺のほうをじっと見つめて考えているようだった。
俺はカードを相手に見えないように握っていると急に
「6だ」
と言ってきた。
何!?当てられるだと…と俺は膝を落として掛け金の13倍の130金貨払った。
俺の勝利伝説が…と思っていると相手が
「もう一回やりましょ。」
と言ってきた。
次こそ勝つと決め、勝負を承諾した。
俺達はまたじゃんけんをすると負けてしまった。
そして、相手はまた子を選んだ。
賭け金は130金貨のようだ。
俺は、払った金を取り戻すためにも本気で挑むしかない。
俺はシャッフルしてから1枚引いた。
書かれていた数字は12だ。
俺は冷や汗をかきながら相手をじっと見つめた。
相手も俺のほうをじっと見つめた。
そんな時間が1分ほど続いたとき相手が
「12だ」
と言い当ててきた。
なっ…と俺がなっていると
おかしいと思い後ろを見るとひとりの男が俺の真後ろにいた。
気がつかなかった。
この男があいつにどの数字かを教えていたなんて。
このカジノではイカサマはばれなきゃOKだ。
おれが泣きかけていると近くにいたボディーガードの男が来て俺の金貨の入った袋をとっていった。
俺の袋には70金貨ほどしかない。
俺が相手に払うのは130金貨の13倍の1690金貨だ。
全く足りない。
すると、奥からボディーガードを連れたジーカがきた。
「よぉ。金払えねんだろ?銀行にはないのか?」
といつもの優しい口調とは裏腹に893のような口調で話しかけてきた。
「銀行にはあります…マーロ銀行の114514番金庫に入っているはずです...」
と震えながら言った。
「調べろ」
とボディーガードに『紙知板』調べさせていた。
少しするとボディーガードが
「ありました。本人確認がいるから、ここに指をのさえろ」
と言われ『紙知板』に指を載せて魔力を込めた。
すると、
「あれれーちがうなー」
と言われた。
俺が焦っているとふと思い出した。
そういえばこの年齢だと作れないから父親名義で作ったことを。
俺は必死にこのことを伝えたが聞いてもらえずに口にハンカチを当てられた。
俺は抵抗しようとしたが、同時に手錠をかけられていて上手く魔術が使えずに眠ってしまった。
最後に聞えたのはジーカの
「こいつを売れば2000金貨は超えるぞー。まだ、若いからもっと行くかもな」
と言っていたセリフだった。
信用していたのに...
※ペーパーパッド:特殊な木で作れた紙。これに魔力を通すことで辞書やメモなどとして使用できる。この世界のi〇ad的な役割。
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