第三十話 「裏カジノ」
夜が明けてから俺とグラヴィス教授は何とかして、大学に帰ってきた。
今はもう夜だ。
俺も教授もへとへとだっため部屋に置いてあるソファの座って寝た。
次の日起きると教授はまだ寝ていた。
そういえば今日は仕事が休みだと気が付いた。
俺は重い体を動かして、家に帰ろうとしたが、思うように体が動かない。
俺は仕方がなく、家に帰るのをあきらめて、大学の敷地の中を歩いて回ることにした。
大学内は洋風なレンガ造りで、19世紀ごろのヨーロッパのような雰囲気だ。
広場には大きな噴水があり、なかなかに綺麗だと思う。
周りにいるカップルたちがいなければ完壁だったのに。
俺は、前世を含めて一度も彼女どころか、女友達すらいなかった。
そんな俺からするとここは地獄そのものだ。
俺は、心を落ち着かせるために別の場所に移動した。
少し歩くと陸上競技場があった。
そこでは、リレーをやっていた。
俺は、ふとリレーの様子を見ていると知らない男が後ろから声をかけられた。
「そこのお兄さん~ギャンブルに興味ありますか?」
と聞かれた。その男はチャラい感じのいわゆるギャル男のようだった。
ギャンブル?俺は、パチンコや競馬はやったことがないのだが、興味はあったので
「はい。あります」
と答えた。
するとその男に連れられて、近くの建物の路地裏にある壁の前に立たされた。
その男はドアに向かって
『ロースギャンブル協会』
と言った。
すると、その壁は形を変えて大人一人が通れるくらいのサイズの穴が現れた。
その男は俺についてこいと言って中に入った。
中に入ると中は薄暗かったが、10人ほどの人がいて、ポーカー台などが置いてあった。
その中のバーテンダーのような服装をした初老の男が、
「おかえり。ジーカまた、連れた来てくれたのかい?」
と言って
「ああ。今度また奢ってくれよな」
「ああ。もちろん」
と連れて来た男と会話し出した。
すると連れて来た男が窓口らしいところに行って
「俺の名前はジーカだ。ここは裏カジノで、いろんなギャンブルをしている。今はリレーの1位を賭けて勝負をしているところだな。お前も賭けてみろ」
と言わた。
俺は言われるがままに何となく、2レーンのチームにポケットにはいっていた1金貨賭けてみた。
そして、窓口で券をもらうとジーカに連れられて、奥に連れられた。
そこにはスクリーンのようなものがあってそこからリレーが鑑賞できた。
リレーが終わるまで見ると俺の賭けた2レーンは見事1位に輝いていた。
俺はとりあえず喜んでおいた。
ふと横を見るとジーカが
「うそだろ…」
と言って地面に這いつくばっていた。
俺はひとまずそこを離れて窓口にさっきの券を見せた。
すると窓口の男性が
「一着ですね。1金貨なら、10倍の10金貨の払い戻しになります」
と言われた。
俺はそのまま払戻金を手にして外に出た。
俺は金は銀行にあるが、この年齢だと一人で引き出せないから今月金欠だったところを救ってくれた。
臨時収入だ。
俺はウキウキしながら家に帰った。
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