第十一話 「最上級魔術」
1週間が経った。今日は初めてツェネガー教授に教えてもらう日だ。
早くツェネガー教授に教えてもらいたくて胸の高鳴りが抑えきれない。
ああ。今から教授直々に魔術を教えてもらえるんだ。
俺が我慢しきれずに早めの時間に大学に行くと、既に校門の前にツェネガー教授が立っていた。
ツェネガー教授を見つけた俺は元気よく声をかける。
「こんにちは!」
教授も気が付いたようで笑顔でこちらにやってきた。
「早いな。まぁいいじゃろう。さぁ乗るぞ」
と近くにあった馬車を指さす。
「えっ?ここでやるんじゃないんですか?」
「大学では魔術の実践のときは専用の練習場で教えるんじゃ。だから乗ってくれ」
俺は言われるがままに馬車乗った。
30分ほど馬車に乗っていると馬車がやっと止まった。
教授がドアを開くと、俺は顔を出して外を見た。
そこは、城外の荒野だった。
「ここなら安全に魔術が使える」
広いスペースが必要なのはわかっていたがこれほど広いスペースが必要なのか…。
城壁のどこかなのかもわからない。
きっと、街からずいぶん離れたところにあるのだろう。
「早速じゃがやるぞ。わしは時間がない教えられるのはせいぜい1時間ほどじゃ」
1時間という言葉を聞いて俺はすぐに始めた。
「とりあえず聞くが、グレイスの得意な属性はなんじゃ?」
「一応水属性のつもりです」
「そうか。なら。まあ、見とれ」
そういってツェネガー教授は持っていた大きな杖を前に差し出し詠唱しだした。
「静寂なる深淵よ、我が声に応え、その質量を解き放て。水底より来たる水の巨人『聖水巨兵』」
そして、ツェネガー教授の杖の先が青白く光った。
杖の先から大量の水が生成され、目の前に水でできた巨人が現れる。
おお!これが最上級魔術なのか!?
「これが、最上級魔術の『聖水巨兵』じゃ。この魔術はどちらかというと援護向けじゃ。まぁ、お前にはもっと有能な教えるから安心せい。まぁ、今日は見るだけでよいが…」
そう行って、ツェネガー教授が地面を腰を下ろす。
「ツェネガー教授、大丈夫ですか?」
「ああ。人類の使う、最上級魔術は魔力効率があまりよくないものも多い…。疲れた…」
「やはり、最上級魔術は使えなくっていいんですかね?」
「いいや。最上級魔術を使えれば、国から大変重宝され、金にありつけるぞ」
すると、ツェネガー教授は思い立ったように俺に言った。
「そうじゃ。せっかくじゃし、王級魔術を見せてやろう。済まんが、グレイス、『回復』を使ってくれんか?」
「えっ!本当ですか?わかりました『回復』」
俺が『回復』を使うと、ツェネガー教授は立ち上がり、再び杖を掲げ詠唱しだした。
「聖域たる水よ、その怒りを解き放て。清き奔流は刃となり、罪深き者を滅ぼさん。いざ、浄化の嵐を――ウォーター・サンクチュアリ」
詠唱を終える、ツネェネーガー教授の杖の先が、先ほどとは比較にならないほど青白く光り、見える限りの地平線全てが水色に染まってきた。
なんだこれ!?
すると、俺と教授のいる場所以外の水色の部分から巨大な水柱が噴出した。
そして、その水柱が消えるとさっきまで見えていた、コヨーテの群れが一切見えなくなっている。
辺りには、生命の気配すら根こそぎ奪われた静寂が広がっていた。
これが王級魔術!?
「これが、水属性王級魔術の『聖水聖域』じゃ、恐ろしいじゃろ。この魔術を防ぐことなど不可能に近い。まさに、王級じゃ」
「はい、見惚れてしまいました。」
「水属性魔術は美しいのじゃが、水属性魔術の恐ろしいところは美しながらも、圧倒的質量で敵を追い詰める。そして忘れてはならないのは水は生命の源ということじゃ。水は生命の源であるが故に、時として人を苦しめる悪魔と化すのじゃ」
「今日はこれで終わりじゃ。また、来週じゃ。早く馬車に乗るぞ。」
もう1時間たったのか?
そのまま馬車で大学に帰ると、教授に誘われた。
「少し寄っていかないか?少し調べたいことがある」
俺は教授についていき、研究室のようなところに連れてこられた。
なんだここ…?
目の前には1つのベットがア置いてあった。
まさか…!?
ツェネガー教授ってそっち系の趣味があるんじゃ...。
「グレイス、そこのベットにあおむけで寝転んでくれんか?」
ひっ!
まさか...。本当に…?
俺は言われるがまま寝ころんだ。
すると、教授は俺の体に手を当て驚いた。
「お前の魔力量は異常じゃ...。ありえん。熟練の魔術師をはるかに超える魔力量。もう少し、詳しく体を調べてもいいかね?」
「わかりました。」
何か異常でもあったのか?
すると、すぐに上の服を脱がされ、左胸の心臓に近い場所に向かって教授が魔術を使った。
どんな魔術を使ったのかはわからなかったが、使った瞬間に教授の手が緑色に光っている。
「お前の体は魔力を生成している。ありえん、珍しいというレベルではない。人間は周囲の魔力を借りる器に過ぎん。だが、君は魔力そのものを生み出す源泉そのものじゃ。一部の魔族や高位の魔物にみられる特徴じゃが、人間では聞いたことがない…」
なんと!普通の人は地面などから湧き出す魔力を吸収して自分のものにしているところを俺は体から、魔力を生成していたというのだ。
「お前の魔力量はその辺の熟練の魔術師をはるかに超える魔力量があるぞ」
俺は驚いた。
俺の体に一体なにが?
自分の体に秘められた、人間離れした事実。 教授は「遺伝の突然変異だろう」と結論づけたが、俺の心には言いようのない不安が広がっていた。
だが、本当の理由は分からない。
なんか、得体の知れな恐怖が俺を襲ってきた。
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