<27・浸食。>
●まいか @bold7_kaima
知ってはいけない言葉、って聞いたことある?なんか今大流行の都市伝説らしいんだけど、私は詳しく知らなくて
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●チョーチョ @sfjpHla8ko
返信先: @bold7_kaima
遅れてんねーまいかちゃん。最近はどこもかしこもその話題で持ちきりだっていうのに。
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●まいか @bold7_kaima
返信先: @sfjpHla8ko
悪かったね情弱でwww
でもそんなに有名なんだ。その言葉を知ると呪われるらしい?ってことしか知らない……
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●チョーチョ @sfjpHla8ko
返信先: @bold7_kaima
それで大体あってる。なんでも、ネットにその呪いの言葉を貼りつけて回ってる人がいるんだって
だから怪しいリンクを踏んだらいけないらしい。ワンクリ詐欺みたいだよなwww
その言葉を知ると、足を引きちぎられて殺されるんだって!こわくね?
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●まいか @bold7_kaima
返信先: @sfjpHla8ko
ひいいいい((( ;゜Д゜)))
さ、さすがにそんな死に方はしたくない……!
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●チョーチョ @sfjpHla8ko
返信先: @bold7_kaima
って、普通は思うじゃん?でもその言葉を突き止めようと頑張ってる人が、結構いるみたいなんだよなあ……
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●堕天使になりきれなかったワイ @daaaaaaak_angelboy
知ったら呪われる言葉ってどんなんだろうな!
なんかやばい神様の名前なんじゃないかって説が最有力になってるけど。気になるわー
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●カナコたんの同坦は拒否します @kanako_lovelove_mine
返信先: @daaaaaaak_angelboy
呪われるのに知りたいとか勇者やなーwwww
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●堕天使になりきれなかったワイ @daaaaaaak_angelboy
返信先: @kanako_lovelove_mine
だって普通に気になるじゃん?なんか知った人のところに神様が現れて呪いにくるってことだけどさ
それって地球の裏側でも来るの?とかって思うしさー
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●カナコたんの同坦は拒否します @kanako_lovelove_mine
返信先: @daaaaaaak_angelboy
俺は知りたくないわ、足ひきちぎられて死ぬとか考えただけでぞっとするし
でも知りたがってる奴多いんだよな、不思議
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●堕天使になりきれなかったワイ @daaaaaaak_angelboy
返信先: @kanako_lovelove_mine
みんな自分だけは大丈夫だって思ってるんだよ、きっと
あと、面白そうーとか思ってるやつの大半は信じてないんじゃね。神様の社を壊すとか、変なところに侵入したわけでもないのに祟られるなんてことあるわけないとか思ってるんじゃないかな
まあ俺もそうなんだけど
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●カナコたんの同坦は拒否します @kanako_lovelove_mine
返信先: @daaaaaaak_angelboy
そういえばカナコたんも面白そうとか言ってたなあ。最近のアイドルはああいうことにも興味あるのかな
なんか、その名前を知っても特に死なない祭祀?みたいな人がいるって噂があるよね
そいつがその名前を、ネットのあちこちに貼って回ってるって。
それで神様に生贄を捧げてるって
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●堕天使になりきれなかったワイ @daaaaaaak_angelboy
返信先: @kanako_lovelove_mine
こえー
そいつが真っ先に生贄になれよって話ではあるよな
そして怖いのにどんな名前なのか知りたくもある俺。人間の興味は尽きぬのだ
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●カナコたんの同坦は拒否します @kanako_lovelove_mine
返信先: @daaaaaaak_angelboy
まあ、わからんでもないwww
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●YUZUYUZU @serena_friend
どうしよう。友達と本当に連絡が取れなくなっちゃった……。まさか、ほんとに祟り殺されたとかないよね?
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●シンゴビート! @gewniS8lGa5
返信先: @serena_friend
どうしたユズユズ?なんか悩み事でもあんの?俺様が相談乗ってやろーか?
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●YUZUYUZU @serena_friend
返信先: @gewniS8lGa5
あんたもホラーな話し詳しかったっけ?知ってはならない言葉って聞いたことある?
なんかそれについて検証してたサイトがあって、あたしとるりちゃんで見てたのよ
そしたらその掲示板に「その言葉を発見したから検証してみてほしい!」みたいにアドレス貼った人がいたみたいでさ。ただのテキストファイルみたいだったんだけど、あたしは怖くて見られなくて
で、るりちゃんだけ見たんだけど、そしたら様子おかしくなって慌ててパソコンの電源切っちゃって
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●シンゴビート! @gewniS8lGa5
返信先: @serena_friend
は?るりちゃんって、お前がルームシェアしてるあのるりちゃん?ものすごく豪胆で、リアリストな子じゃなかったっけ。オカルトなんか全然信じないっていう
なんでるりちゃんとそんなサイト見てるんだよ
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●YUZUYUZU @serena_friend
返信先: @gewniS8lGa5
リアリストだから検証したかったぽい。こういう噂を振り撒く人の目的が知りたい、とか。どういう言葉を設定して人を催眠術にかけてるのか気になる、みたいな。本当にオバケに遭遇するとはまったく考えてなかったみたいよ。
それなのに、そのるりちゃんがちゃんとした手順も踏まないでいきなり金切声を上げて電源ボタン押してパソコン切っちゃったの。
で、あたしに「ユズユズは絶対見ないで」って真っ青な顔で言って……本気でそれから怯えてて
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●シンゴビート! @gewniS8lGa5
返信先: @serena_friend
信じられねえ、あのるりちゃんが?会うたびに俺にゲンコツかましてきたるりちゃんがか!?
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●YUZUYUZU @serena_friend
返信先: @gewniS8lGa5
ほんとなんだってば!!今日も布団被って震えてるんだから、学校も休んで!
どうしよう、あんたこういう話詳しいんじゃなかったっけ?なんとか、呪いを解く方法ないの!?
るr
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●シンゴビート! @gewniS8lGa5
返信先: @serena_friend
ユズユズ?どうした?
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●YUZUYUZU @serena_friend
返信先: @gewniS8lGa5
るりちゃ
なんで ふとんがまっかに
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『昨日の十六時頃、宗教法人“浄罪の箱”で事件がありました。浄罪の箱三階の執務室にて、人事部長を務めている濱田寛助さん五十三歳が亡くなっているのが発見されました。濱田さんは両足を切断された状態で意識を失っており、すぐに救急車で地元の病院に搬送されましたがその場で死亡が確認されたとのことです。
直前まで、以前同僚だった男性と面会を行っていたという情報があり、警察はその男性がなんらかの事情を知っているものと見て行方を追っています。
ここ最近、日本各地で“人の足首を切断して殺害する”という猟奇殺人が続いており、警察は同一犯による連続殺人の疑いもあると考えて捜査を続けているようです……』
――濱田さんも、亡くなったのか。
N駅東口に、念のため十時四十分には到着した千夜と憐。しかしその時にはもう、遠田の部下と思しき男性が黒塗りの車を待機させて待っていた。いかにも高級車、と言わんばかりの車に若干ドン引きしたのは事実である。外車だねえ、と憐はのんびりとした感想を漏らしたが、千夜にはそういったことはまったくわからなかった。なんとなく、これだけ車幅があると駐車するのも大変そうだとか、なんか外交官の乗ってる車みたいだなんて感想を持っただけで。
車に乗っていたのは、部下らしきノッポの黒スーツの男性と、それから遠田寿本人だけだった。遠田寿は真っ黒な魔術師のようなローブを着こんでいる上、顔には笑顔を貼りつけた真っ白な仮面を身に付けているという、なんとも怪しい風体の人物である。声と体格からして、多分中高年の男性なのだろうということはわかるのだが。
今から儀式の場所に向かいますので、と。それだけを言われて、車に乗せられた千夜と憐。それ以上のことは何も聞かされないまま、車はどんどん町の郊外へと向かっている。
その間、誰もが無言だった。そんな中千夜はスマホを見て――ますます“知ってはいけない言葉”の被害が拡大していることと、昨日会ったばかりの濱田寛助が死亡したことを知ることとなったのである。
時間的に見るのなら、自分達が彼と別れてすぐのことだ。尋ねてきた元同僚というのは、恐らく秋風かその関係者だろう。自分の意に沿わぬことをした、あるいはこれから邪魔しようとしているとみなして、濱田を消しにかかってきた可能性が高い。
そして、このままでは自分達も秋風の標的になる可能性は高いだろう。
恐ろしいことに。自分達はきっと、その呪われた言葉を聞いてしまうだけで祟りを受けてしまう可能性が高い立場である。秋風に遭遇したら、耳を塞ぎでもしない限り呪殺を免れることはできまい。
――一応、耳栓とか、多少の呪符は持ってきたけど。……俺、祓う能力は大してないしな。効くかなあ。
ここまできたら、遠田の言う“秋風を制して神様を封じる方法”とやらが真っ当な手段であることを祈るしかないというのが歯がゆいところである。
「御影千夜さん、霧生憐さん」
「!」
町を離れ、景色に緑が増えてきたところで。遠田がゆったりとした口調で語りかけてきた。
「我が同胞である濱田が命を落としたことは、大変残念ではありますが……彼は、自らの使命を立派に果たした、と私は解釈しております。どうか、嘆かれることなきよう。あの者は、私と貴方がたを巡り合わせてくださったのですから」
「……お、遠田さん……」
まるで、千夜の心を読んだかのよう。それに。
「その言葉だと……なんていうか、神様の封印に俺達が絶対必要だと言っているように聞こえるのですけど」
すると。助手席に座っている遠田は、少しだけ首を傾けてこちらを見た。仮面の奥から、黒い瞳がじいっと覗いている。
「仰る通りです。お二人の力なくして、封印は成功しないでしょう。……もう少しばかりお待ちください。例の場所は、既に準備してありますから」
大きな橋を渡り、山道をどんどん登っていく。やがて、自分達が辿りついたのは豪奢なオレンジ色の洋館だった。
その横に車を駐車させる遠田の部下。――一番目を引いたのは、その派手派手しい洋館よりも、洋館の庭である。
「凄いね」
憐が、ストレートな感想を漏らした。庭の広い敷地には一切の草がなく、茶色の地面がむき出しになっている。そしてその上には、消石灰のようなもので真っ白な円が描かれているのだった。
明らかに、魔方陣だとわかるものが。




