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無気力転生者の怠惰な暮らし  作者: ふぇりちた
無気力転生者、村を出る
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4

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 森から戻ると、既に父さんと兄さんが家にいた。

入れ違いだったか。


 父さんと母さんは、たった1週間しか離れていないというのに、もはや感動の再会みたいになってる。

なんなんだ。毎月よく飽きねーな。


 つうか、兄さんは?

 3ヶ月ぶりの兄さんだぞ。父さんよりレアだよ、母さん。



「おー、ハルト。元気にしてたか?

また背が伸び………てないな。ハハハ」



 騎士学校に編入してから、兄さんは異常に背が伸びた。

16歳で175cmってどうなの? まだ伸ばす気か?



「3ヶ月で伸びるわけないだろ。兄さんがおかしいんだよ」



 喧嘩売ってんのか。

 だいたい俺は10歳のお子様なわけ。むしろ伸び代しかないね。兄さんは後2~3年ってとこだろ。

 それに比べて、俺は8年もある。たぶん。



「そうか? オレは伸びたぞ」



 うそ、、、だろ?! そんなことあっていいのか!



「へ、へえ。何センチくらい」

「先週の計測で177だった。同室の奴が180超えたっつってたから、オレも早く伸ばしたいんだけど」

「へえ~177。180超えてんだー。へー」



 そうだ。問題ない。俺だって16になればそれぐらい。

父さんだって182あるし?

父さんと兄さんの遺伝子を考えたら余裕じゃね。

まあ俺、母さん似だけど!

 


「ほい。コレ土産な」

「あんがと」



 土産をくれたって、俺の傷付いた心は癒されないぞ。



「っ、コレは!」

「手紙で欲しいって言ってただろ。犬用のブラシ」

「おおっ! 兄さんバンザイ! 神!」

「ハッハッハ。もっと褒めても良いぞ。

それより、そのクロはいないのか? 前回も会えなかったしよー」



 そういや、そうだったな。



「また明日来ると思うから、会えるって」

「ならいいけど。それよりハルト。

お前わざと気付かないフリしてるだろ」



 ギクッ。



「な、何が」

「右向け、右。父さんが手を広げて待ってるぞ」



 知ってる。

 本当にウチの両親はどうなってるんだろう。

 母さんとのハグに満足したらしい父さんは、次の標的に俺を選んだ。

俺もう10歳だよ、父さん。

たった1週間なんだよ、父さん。



「兄さんじゃない。3ヶ月ぶりなんだから」

「フッ。オレは街で先に合流したからな。

もう終わった」



 さいですか。

そう話した兄さんが、なんだか一気に老け込んだ気がした。 



「ごめん」






 母さんがご飯を食べようと言い出すまで、俺は父さんに撫でくりまわされた。







 只今、朝の5時です。



「いや早過ぎない?

まだ朝も食べてないよ」



 兄さんと俺は、森にいた。



「ハルトの言う通りだ。父さん」

「だいたい、2人は昨日帰って来たばっかりじゃん。

疲れてないわけ? 寝た方が良いって。休めって」



 なんなの、体力バカなの。

まだ寝足りないんですけど! ダラダラが足りない!



「いやー、実はな。街の神殿に寄った時、御告げを授かったんだ父さん」



 当たり前みたいに言ってるけど、だいぶヤバくないか。

神の御告げなんて、神官や神子の役目だろ。

俺達、一般人には関係ないものだ。



「よし、父さん。とりあえず医者に診てもらおう。

まだ母さんには言うなよ、ハルト」

「はーい」

「さっ、帰ろう」



 兄さんも同じ考えだったらしい。

冷めた目で父親をあやす様に見ている。背中ぽんぽん叩きながら。



「こら、お前達。父さんが嘘をついていると思ってるのか。

ハルトの名前だって、あの神殿で授かった御告げで決めたんだぞ!」

「またその話かよ。変な名前のせいで、ハルトがどれだけ苦労してると思ってんだ」

「カルロ! ハルトの名前は特別なんだ。誇らしいことはあっても、恥ずべきことなど1つもない!」



 御告げ云々は怪しさ満点だが、名前に関しては何も言えない。

 西洋系の名前ばかりの国で、俺の名前は浮いている。

 前世と同じ名前だと考えると、どうにも転生関係の影響だとしか思えない。


 あと別に苦労した覚えはない。



「ところで、どんな御告げだったの」

「ちょ、ハルトっ」

「さすがハルト! お前は信じてくれるか!

森の最奥に祠があるだろう。そこに行って、必要な物を持ち帰れという内容だ」

「何、お宝でもあるわけ?」

「知らん」



 えー。じゃあ父さんだけで行けばいいじゃん。

俺達要らなくない。



「ついでに息子を同行させよ、とのことだったからな。

お前達2人を連れて来たわけだ」





 何故だろう。とてつもなく嫌な予感しかしないんだが。



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