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無気力転生者の怠惰な暮らし  作者: ふぇりちた
無気力転生者、賢者の遺産を手に入れる
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2



「おお~っ!

これが王都かぁ」



 入門したそばから、活気ある街並みがあった。

 食べ物屋というよりは、雑貨屋が目立つ。

恐らく、お土産用だろう。



「ハルト、そんなキョロキョロしてたら危ないわ。

スリとか気をつけてね」

「すみません。すごい賑やかでビックリしちゃって」



 今の俺は、おのぼり感が滲み出ているに違いない。

 どうしよう。お土産どれくらい買えるかな。

まだ店にも入ってないのに、誘惑がすごい。



「ココは外れの方だから、奥はもっと賑やかになるわ」

「そうなんですか!」

「広場なんて、エディンバラとは比べものにならないんだから」



 すげー。

 兄さんのとこまで、たどり着ける気がしない。



「リーザさん。俺、無事帰れますかね?」

「うーん。心配だから、目的地までついて行くわ。

その方が私も安心だし」

「なんか、申し訳ありません」



 お土産は諦めて、その分リーザさんにお礼しよう。

ご飯か物か……兄さんにアドバイスしてもらうか。



「とりあえず、ギルド行こう。

クロの登録をしておいた方が良いと思うの」

「仮にギルド行くとして、魔物じゃなくても登録出来るんですか」

「さあ。でもクロは魔物でしょ?

それに、ぬいぐるみのフリなんてムリよ。絶対動くかしゃべるわ」



 もういっそ、行くだけ行って「神獣です」って言っちゃおうか。どうせ痛い子認定されるだけだし。

………いや待てよ。それで兄さんの弟だってバレて噂になったら、騎士への道が遠のくかもしれない。

やっぱり、ダメだ。村1番の期待の星なんだから。



「大丈夫です。うちのクロは賢いので!」

「あーうん、あの」

「何ですか、その目は」

「いや、そうね。たしかに賢いかもしれないわ」

「ですよね! だから演じ切ってみせます」

「うーん。それとこれは別というか。

そもそもフリするのは、クロであってハルトじゃないし」



 一応、バックの中に入ってもらう時、口を酸っぱくして注意はしている。

魔物と一緒にされたくなかったら、ぬいぐるみのフリしろって。

 クロは、当然不服そうだったが仕方ない。

魔物じゃないお前が悪い。



「うちの子天才なんで」

「あー、もういいや。罰金取られても助けないからね」

「もちろんです」



 ひとまず、宿を確保してから兄さんを訪ねよう。

 日が暮れて満室ですなんて言われたら死ぬ。

王都の綺麗な街並みで野宿とか出来ない。

いっそ、兄さんの寮に忍び込めないだろうか。



「リーザさん、比較的良心的な価格の宿屋を知ってたりしますか?」

「あるっちゃあるんだけど、人気だからねー」



 リーザさんが言う宿は、王都の外れにあり、駆け出しの冒険者達が愛用する場所らしい。

 問題は、回転率の悪さだ。

 俺の様な観光客と違い、王都でひと稼ぎするために来ているからだ。

クエスト数にもよるが、最低でも1週間。長くて2~3ヶ月滞在する冒険者も多いらしい。

 あぶれた冒険者為は、他の宿を取り、彼らが出て行くのを今か今かと待っているとか。

 何日も前からスタンバってる人いるなら、無理じゃね。

俺、来たばかりよ。



「これでお金足りますか」



 帰りは最悪兄さんに借りようと、有り金を全部を見せてみる。

 少し高くなっても1泊ぐらいならイケるよな?



「うん、全然イケるわ」

「本当ですか!」

「ええ。ただし今じゃなければね」

「え?」



 何ということだ。

 今王都は3日後に祭りを控えているらしい。

当然、前乗りの観光客がいっぱいいるわけで。



「冒険者だけじゃなく、観光客までっ!

ジーザス!」

「ジーザ? まあ、そういうこと。

だからね、普段なら2泊でも余裕なんだけど、今回は高級宿しか残ってないってわけ」

「困るんですけど」

「あはは。未来の騎士候補生がうじゃうじゃ出るからね。

平民も貴族も楽しみにしてんのよ」



 剣術大会の何が面白いんだ。知り合いが出るなら話は別だけどさ。

そんなの見るために前乗りとか、信じられん。



「どうすれば……」

「何軒か回ってなければ諦めるしかないわ」

「野宿ですか?!」

「ご飯屋で時間潰すのよ」

「ああ」



 ファミレスでオールする様なもんか。

 徹夜で帰るのは、キツイけど仕方ない。

馬車の中で寝ればいい。








 その後、約1時間かけて泊まれる宿を探したが、どこも満室だった。

貴族や商家などが泊まる宿は、お金さえ払えば受け入れてくれる所も多いらしい。

しかし、お金も足りない上にドレスコードも満たしてないので最初から除外した。

結果、ギリギリのラインまで当たりまくったけど惨敗。



「諦めるしかないわ。

とりあえず、ハルトの用事を済ませましょ」

「はい。宿探しまで手伝ってもらってすみません。

えっと、騎士学校に行きたいんですが」

「……君が?」

「はい」



 違うぞ? 俺は、騎士学校に通う兄さんに会いたいのであって、入学希望者とかじゃないからな。

だから「お前みたいな、もやしが剣を?」的な目で見るのは勘弁して下さい。



「騎士学校の前まで送るのは簡単だけど、中に入るのは難しいわよ?」

「そうなんですか?

どうしよう………兄さんに会えない」

「えっ! 騎士学校にお兄さんがいるの?」

「はい」

「ええっ! まさか、ハルトって貴族の血筋なの?!」



 んなわけあるか。見ろ、このTHE 田舎スタイルを。

隠せない農民オーラが溢れてるだろうが。



「そんなふうに見えます?」

「……ごめん、ちっとも」

「地味に傷つくんですけど……まあ事実なので。

正真正銘のド平民。それも田舎の農民です!」



 開き直って、少し威張りながら言ってみた。

 リーザさんは、うんうんと頷いて満足気だ。

ただ、街を行き交う人々の視線は微妙だった。

そりゃそうだよね。街中で「俺は農民だ!」って言いながら、ドヤ顔してたらヤバイ奴だよ。

うん。俺だったら絶対関わらないね。



「だよね!

っはー、良かった! お貴族様だったら、不敬罪になるとこだったから」

「あはは。兄さんが騎士学校に通ってるのは事実ですけど」

「そうなんだ。すごいね!

だったら、大丈夫かも。守衛の人に伝えて、お兄さんを呼んでもらうの」

「なるほど」



 家族だからといって、中に入れるわけじゃないのか。

まあ、安全面から言って当然か。




「ってことで、着いたわ」



 マジで? もう?



「うわ、デカ」

「そりゃそうよ。王都で唯一の騎士学校なんだから」



 学校っていうか、城じゃない?

 兄さん、こんなとこで生活してんの?



「やっぱ帰ろうかな」

「あ、守衛の方ぁー!」



 ちょっ、リーザさん!?






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