雲からものを召還できたりする人の日常
今日はいい天気だ。雲ひとつない快晴。こうなると、物を呼び出せない。
熟練者は、雲を生み出し、そこにイメージを投影できるらしい。
いい天気なので、洗濯物を干すことにした。
しまった。カビが生えてやがる。おれは1週間に一度しか洗濯をしない。また、タオルがダメになってしまった。とりあえず、洗剤と柔軟剤をセンスでぶちこみ、洗濯機を回す。
テレビをつけると、大雨被害のニュースが流れている。涙ながらに、人生の再出発とおっしゃっている方が印象的であった。床上浸水とは、大変なものだ。家財一式ダメになっちゃあ、心中穏やかにはいられまい。あれほどの大雨なんて、以前には、無かったように思うのだが、気候変動を社会問題として取り上げるニュースによる先入観だろうか。天気を操ってしまおうなんて考えもあるらしいのだが、どこまでほんとなのやら。
洗濯機が仕事を終えたので、ベランダに洗濯物を移動する。物干しに、ひとつひとつぶらさげていく。なんて、面倒な作業なんだ。これを楽しめるやつは、本当に、人生の天才だと思う。よし、しばらくすれば乾くだろう。昼寝でもして、待つか。
そして、昼寝を選んだことを、後悔した。
あんなに天気がよかったのに。なぜ。
雨がふってやがる。
再び洗濯機へ。すまないな、何度も。
人は、気候には無力である。