法廷の渡り鳥 【天界裁判編】 3
事は開廷から30分前。
場所は『大都市』という名前をした大きな大きな海に面している地域があった。
大まかに分けて7つの区域に分けられ、それぞれの役割を果たしているらしい。
ドロシーはその少し外れた比較的質素な地域『新都』に住んでいた。
12階と屋上で構成されているマンションの4階、ヨンマルイチ号室に住んでいて仕事帰りでさり気なく自室の扉を開ける。
室内には色々訳あって一緒に住んでいる金髪で学校に行ってたら中学生ぐらいの男の子だ。名前は猩々緋 伶と言い、大人しくベランダにある花壇の水やりをしたり、雑草を抜いたりしている。
「おかえりドロシー」
「ただいま! あのー相談なんだけど、高校……行ってみない?」
「できるかな」
「編入として入る手配はお姉さんの風音ちゃんにやってもらえるし、勉強も頑張ったでしょ? できるできる!」
背中を優しくポンと触っては思いっきりの笑顔で買い物してきた物を雑にキッチン付近に置いてシャワーを浴びに行く。
しょうがないなと、そんな感じの表情で黙ってエコバッグに入ってる物を冷蔵庫に入れたり、然るべき配置を行う。
「なにこれ」
変な緑色の玉が奥底に入っていた。色んな緑が混ざり合ってでも輝いてて綺麗だ。
「そのへんに置いとこう」
後で出てくるであろうドロシーのためにメモと一緒にテーブルの上に残す。
さり気なくコンビニに行こうと扉を開けると、ナゾ子が仁王立ちしていた。伶の方が身長が低いのでより一層威圧感があった。
「伶! ドロシーどこだ!」
「シャワーあびてる」
「そっか!」
ずけずけとすれ違って入室。
少し遠巻きに「お……い! ……んだこれ……!」と荒々しく騒ぎに。
素直にとんぼ返りしてみるとナゾ子がよく分からない緑色の玉を、包帯で目元は見えないが口と仕草で焦っているのが分かった。
「どうしたの」
「うるせえボケ! 龍神の宝玉盗んだのドロシーかよ! ったく。よく犯人としてバレてねぇよな……めんどくせー!」
バスタオルを体に巻いてドライヤー片手に呑気に出てきた。やあやあと小さく手を振る。
「今すぐ天界に返しに行く! 服を着ろ!」
「……やだよ」
「問答無用!」
魔法で魔女の服を無理やり着させられて、更にワープの魔法を使い行ってしまう。
伶は困り果てたが大人しくテーブルの近くにある椅子に座って、一人料理を始める事にした。